2017年6月18日 11:55 pm

株式会社と何が違う!?あのアップルやアマゾンも!!合同会社(LLC)のメリット・デメリット

みなさん、合同会社を知っていますか?

 

 

合同会社とは、経済活性化のため2006年の会社法の改正に伴い、新たに設立できるようになった会社形態です。

 

 

近年では、「合同会社」の社会での認知度も上がり、AppleJapanやAmazonなどの大手外資系企業の日本法人も次々と株式会社から合同会社へ移行するなど、設立件数も増加傾向にあります。

 

「合同会社の登記の件数」

年度 登記件数
平成18年度 3,392
平成19年度 6,076
平成20年度 5,413
平成21年度 5,771
平成22年度 7,153
平成23年度 9,130
平成24年度 10,889
平成25年度 14,581
平成26年度 19,808
平成27年度 22,223
平成28年度 23,787

参考資料:政府統計の総合窓口

 

 

 

そもそも合同会社とは何か?株式会社と何が違うのでしょうか?

 

 

大法人(巨大な資本をもつグローバル企業等)が株式会社から合同会社に移行する目的は下記に記載されているものと、少し異なります。

 

 

 

1 合同会社とは

 

株式会社の場合は出資者(株主)=経営者ではありません

よって、株主に業務執行の権限はありません。

株主総会で取締役に選任された場合は別です。

 

一方、合同会社の場合には出資者(社員)=経営者です

よって、社員は業務執行権を有しているので会社経営の方針を決めることが可能です。

合同会社では出資者のことを社員と呼びます。

 

 

2 合同会社のメリット

 

2-1.設立費用が安い

株式会社の場合は、会社を設立するための費用が約20万円に対して、合同会社の場合には約6万円です。

 

株式会社と比べると、約14万円も安くなります

 

 

2-2.利益配分が自由

事業が上手くいき、会社に利益が出たとします。

 

株式会社の場合は、原則的に出資した割合に応じて、会社の利益が配当されると決まりがあります。

配当される利益100万円(分配可能額) 発行株式総数100株

Aさん(50株所有) 100万円÷100株×50株=50万円

Bさん(30株所有) 100万円÷100株×30株=30万円

Cさん(15株所有) 100万円÷100株×10株=15万円

Dさん(5株所有) 100万円÷100株×10株=5万円

 

このように、株式会社は株式の所有割合の大きさに比例して、受け取る配当金は決まります

 

しかし、合同会社の場合にはこの株式の所有割合に比例する必要がありません

 

なので、一番出資金を出しているAさんが5万円。一番出資金を出していないDさんが50万円の配当を受け取ることが可能です。

 

合同会社は出資金額で利益配分を決めず、能力や会社への貢献度に応じて利益配分を行います

 

 

2-3.決算の公表義務がない

株式会社は毎年の決算の内容を官報などで発表する義務があります。この官報に掲載する費用として最低約6万円程度の費用がかかります

 

しかし、合同会社には決算の内容を官報などで発表する義務がないので、6万程度の経費が節減できます

 

 

2-4.役員の任期が無制限

会社を設立した場合、取締役などの役員(合同会社の場合には代表社員)を選ぶ必要があります。

 

株式会社では、取締役の任期は原則2年間(最長10年)・監査役は4年間(最長10年)と会社法で定められています。この任期の度に変更手続きをする必要があるため、時間と費用(4万円~7万円)がかかります

 

 

合同会社の場合には、代表社員など役員の任期が定められていないため、役員の任期が無制限となっています

 

 

2-5.意志決定が自由

上記に記載したように合同会社は出資者=経営者なので意思決定にかかる時間が短くなります

ただし、デメリットとも言えます。

詳しくは合同会社のデメリットに記載しています。

 

 

3 合同会社のデメリット

 

3-1.信用力が低い

合同会社は株式会社と比べるとまだまだ認知度は低いです。

 

なので取引先や金融機関からの信用力は、株式会社には劣ってしまいます

 

また、人材募集の際にも認知度が低いゆえに、良い人材が獲得しにくいということも否定出来ません。

 

 

3-2.意見が割れた場合の対応

これはメリットでも上げたのですが、合同会社は出資額(議決権割合)で配当金額の決定や会社の経営に関する意思決定を行いません。原則として、出資者全員の過半数の同意により行うものとされています

 

例えば、出資者(社員)が2人の場合に、過半数の同意が必要なため、常に意思決定は2人の合意が必要となります。

 

この合意がない場合には会社の方針が定まらないまま、何も先に進まなくなってしまいます。

定款で意思決定の方法を過半数以外の方法を定めることも可能です。

 

 

4 まとめ

 

このように株式会社と合同会社には様々な異なる点があります。

 

 

合同会社は設立費用が安く、会社の経営を自由に出来ます。

 

しかし株式会社より信用力は低く、取引の選択肢が少なくなってしまうリスクや複数人の社員がいる場合には意思決定で意見が割れた時の対応の難しさなど注意点も多々あります。

 

 

よって、①設立費用をとにかく安くしたい方 ②将来に渡って一人あるいは家族内のみで経営を行う予定の方 ③法人相手ではなく、一般消費者を相手にするビジネスの方は合同会社の設立が向いてるのかもしれません。

 

 

ちなみに、合同会社を株式会社へと形態を移行することも出来ますので、業績が上がり、経営が安定して来てから株式会社に変更するというのも一つの手段であります。

 

 

会社設立=株式会社ではなく、合同会社も選択肢に含めて考えていきましょう。

 

 

上記の制度についてご不明点がございましたら、専任の税理士が担当しますので、お気軽にご相談下さい。