子・孫への教育資金の援助は1500万円まで非課税~教育資金の一括贈与~
子どもが大学に進学する年齢になるとやはり学費のことが心配になりますよね?
日本の学費は諸外国と比べても高く、OECD(経済協力開発機構)32か国の中でも国が教育費を負担してくれる順位で日本はビリなのです。
この結果が表している通りに学費の自己負担がとても大きく、自分たち(親)だけで子どもの学費を負担するのは厳しいので父母(祖父母)に援助してもらおうと考えてる人も少なくないと思います。
父母(祖父母)からの援助が将来の相続税の節税に繋がれば、資金援助もさらに増えるのではないでしょうか。
そこで今回は教育資金の援助時に使える贈与税の特例をご紹介します。
この「教育資金贈与の非課税特例」を活用すると一括で1500万円を贈与しても贈与税がかかりません。
では制度について詳しくみていきましょう。
教育資金の範囲
・学校等に対して直接支払われる次のような金銭をいいます。
①入学金、授業料、入園料、保育料、施設設備費又は入学(園)試験の検定料など。
②学用品の購入費や修学旅行費や学校給食費など学校等における教育に伴って必要な費用など。
・学校等以外に対して直接支払われる次のような金銭で教育を受けるために支払われるものと して社会通念上相当と認められるものをいいます。
(ⅰ)役務提供又は指導を行う者(学習塾や水泳教室など)に直接支払われるもの。
③教育(学習塾、そろばんなど)に関する役務の提供の対価や施設の使用料など。
④スポーツ(水泳、野球など)又は文化芸術に関する活動(ピアノ、絵画など)その他教養 の向上のための活動に係る指導への対価など。
⑤③の役務の提供又は④の指導で使用する物品の購入に要する金銭。
(ⅱ)(ⅰ)以外(物品の販売店など)に支払われるもの。
⑥②に充てるための金銭であって、学校等が必要と認めたもの。
⑦通学定期券代、留学のための渡航費などの交通費。
適用要件
①直系尊属(両親・祖父母等)から30歳未満の子や孫への贈与であること。
②金融機関等の営業所等を経由して教育資金非課税申告書を提出すること。
非課税金額
①学校等に対して直接支払われる金銭→1500万円
②学校等以外に対して直接支払われる金銭→500万円
教育資金が余ったり、受贈者・贈与者が死亡した場合
・教育資金が余った場合
①贈与者に戻す→契約終了
②そのまま受贈者が受け取る→110万円を超える金額に贈与税がかかります。
・贈与者が死亡した場合
教育資金の贈与の場合には相続開始前3年以内だとしても相続税に加算されません。
・受贈者が死亡した場合
仮に贈与者よりも先に30歳未満の子や孫が先に死亡した場合には、その時点で契約終了となり、使い切れなかった教育資金については税金の対象となりません。
ここまで「教育資金贈与の非課税特例」についての要件等を説明していきましたが、この「教育資金贈与の非課税特例」は一括で1500万円の贈与が非課税で出来るというのが最大のメリットです。
しかし、教育資金贈与を行うためには、信託銀行等の金融機関との教育資金管理契約が必要となります。
さらに一度この契約を行うと簡単に預金の引き出しを行うことができなくなりますので、いざというときに他の用途に預金が使えなくなってしまう可能性もあります。
なので、この教育資金贈与を本当に行うべきかを慎重に判断していけないといけません。
この教育資金贈与を使う、唯一の目的は「相続税の節税」です。
「相続税の節税」に繋がらなければ、この制度は利用すべきではありません。
例えば祖父母が孫が30歳になるまで(教育資金が必要にならなくなるまで)、生存していることが確実であれば、この制度を使って一括で贈与をする意味はないこととなります。
通常通りに、教育資金が必要になるつど贈与を行えば良いでしょう。
教育資金の一括贈与を使うのかを判断をするためには、家族構成・財産内容を把握した上で、「どのくらい財産があるのか?相続税が現状いくらかかるか?」を生前に把握することが必要になります。
教育資金の一括贈与をご検討の方、まずは現状の財産を把握して、しっかりと生前の財産診断をおこないましょう。
参考資料;国税庁
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