時間外労働等助成金とは~長時間労働撲滅~
時間外労働等助成金の予算額が、平成29年度は1,088,951千円に比べ、平成30年度では約3倍強の3,501,528千円と大幅拡充となりました。
時間外労働等助成金には、①時間外労働上限設定コース(拡充)、②勤務間インターバル導入コース(拡充)、③職場意識改善コース(拡充)、④団体推進コース(新規)がありますが、今回はその中でも比較的取り組みやすい①時間外労働上限設定コースについて確認していきましょう。
概要
長時間労働の見直しのため、働く時間の縮減に取組む中小企業事業主が、時間外労働の上限設定に取り組んだ場合に助成が行われるコースです。
支給対象となる事業主
(1)労働者災害補償保険の適用事業主であること。
(2)次のいずれかに該当する事業主であること。
業種 | A.資本金または出資額 | B.常時雇用する労働者 |
小売業(飲食店を含む) | 5,000万円以下 | 50人以下 |
サービス業 | 5,000万円以下 | 100人以下 |
卸売業 | 1億円以下 | 100人以下 |
その他の業種 | 3億円以下 | 300人以下 |
(3)平成28年度又は平成29年度において「労働基準法第36条第1項の協定で定める労働時間の延長の限度等に関する基準(限度基準告示)」に規定する限度時間を超える内容の時間外・休日労働に関する協定を締結している事業場を有する中小企業事業主で、当該時間外労働及び休日労働を複数月行った労働者(単月に複数名行った場合も可)がいること。なお、限度基準告示第5条で適用が除外されている事業又は業務(建設の事業、自動車運転業務に係る事業等)を行う労働者がいる事業場も該当するものとする。
支給対象となる取組
(1)労務管理担当者に対する研修
(2)労働者に対する研修、周知・啓発
(3)外部専門家(社会保険労務士、中小企業診断士など)によるコンサルティング
(4)就業規則・労使協定等の作成・変更(時間外・休日労働に関する規定の 整備など)
(5)人材確保に向けた取組
(6)労務管理用ソフトウェアの導入・更新
(7)労務管理用機器の導入・更新
(8)デジタル式運行記録計(デジタコ)の導入・更新
(9)テレワーク用通信機器の導入・更新
(10)労働能率の増進に資する設備・機器等の導入・更新(小売業のPOS装置、飲食店の自動食器洗い乾燥機など)
※研修には、業務研修も含みます。
※原則としてパソコン、タブレット、スマートフォンは対象となりません。
成果目標に設定
支給対象となる取組は、以下の「成果目標」の達成を目指して実施してください。
事業主が事業実施計画において指定した全ての事業場において、平成 30 年度又は平成 31 年度に有効な 36 協定の延長する労働時間数を短縮して、以下のいずれかの上限設定を行い、労働基準監督署へ届出を行うこと。
(1)時間外労働時間数で月 45 時間以下かつ、年間 360 時間以下に設定
(2)時間外労働時間数で月 45 時間を超え月 60 時間以下かつ、年間 720 時間以下に設定
(3)時間外労働時間数で月 60 時間を超え、時間外労働時間数及び法定休日における労働時間数の合計で月 80 時間以下かつ、時間外労働時間数で年間 720 時間以下に設定
(+α)上記の成果目標に加えて、週休2日制の導入に向けて、4週当たり5日から8日以上の範囲内で休日を増加させることを成果目標に加えることができます。
事業実施期間
事業実施期間中(交付決定の日から平成31年2月1日(金)まで)に取組を実施してください。
支給額
以下のいずれか低い方の額
(1)1企業当たりの上限200万円
(2)上限設定の上限額及び休日加算額の合計額
(3)対象経費の合計額×補助率3/4※
※常時使用する労働者数が30名以下かつ、支給対象の取組で6から10を実施する場合で、その所要額が30万円を超える場合の補助率は4/5
締め切り
申請の受付は平成30年12月3日(月)まで(必着)です。
(なお、支給対象事業主数は国の予算額に制約されるため、12月3日以前に受付を締め切る場合があります。)
まとめ
「働き方改革」でも大きく取り上げられている「長時間労働」。長時間労働による過労死や過労自殺が後を絶たず、日本では深刻な社会問題となっています。
長時間労働の削減をする取組をしようとすることで、・優秀な人材の流出・従業員のモチベーションUP・残業代の削減・生産性向上など企業側にもメリットは生まれると思いますので、助成金などをきっかけにアクションを起こしてみてはいかがでしょうか。
上記について不明点がございましたら、名古屋市東区の会計事務所、末松会計事務所にお尋ねください。