消費税改正④~軽減税率導入後の経理の注意点~
第4回目は軽減税率導入後の経理に関する変更点、注意点です。
事業者の方は、請求書、経理の帳簿の記載方法や消費税の申告等にも注意が必要になります。
経理事務に関しての変更点は大きくわけて2つあります。
一つ目は、税率ごとに区分した経理が必要になるという点。
二つ目は、消費税の仕入税額控除には「区分記載請求書等」の保存が必要になるという点です。
この経理に関する変更点については、事業者によって必要となる事務が違います。
ポイントは下記の3つで、6パターンにわかれます。
・消費税の課税事業者か免税事業者か
・課税事業者の場合一般課税か簡易課税か
・軽減税率対象品目の売上があるかないか
パターン1 免税事業者で、軽減税率対象品目の売上が無い場合
変更点はありません。今まで通りの経理でOKです。
パターン2 免税事業者で、軽減税率対象品目の売上がある場合
「区分記載請求書等」の交付を求められる可能性があります。
パターン3 簡易課税で、軽減税率対象品目の売上が無い場合
変更点はありません。今まで通りの経理でOKです。
パターン4 簡易課税で、軽減税率対象品目の売上がある場合
売上について、税率ごとに区分した経理が必要になります。
「区分記載請求書等」を作成します。
パターン5 一般課税で、軽減税率対象品目の売上が無い場合
仕入(経費)について税率ごとに区分した経理が必要になります。
パターン6 一般課税で、軽減税率対象品目の売上がある場合
売上、仕入(経費)について税率ごとに区分した経理が必要になります。
「区分記載請求書等」を作成します。
「税率ごとに区分した経理」について。
これは消費税の税率が10%と8%の2種類になるので、請求書等の発行や、記帳をする際に税率ごとの区分をして下さいという事です。消費税の申告をする際、税率ごとに集計する必要があるからです。
帳簿に記載する際、軽減税率対象のものには「飲食料品8%」などと摘要欄に記載します。
売上に軽減税率対象品目が無くても、厚生費や交際費、新聞図書費等の経費には含まれることがあると思います。
消費税を一般課税で申告している場合には必ず記載して下さい。
軽減税率対象品目を含む売上がある場合、請求書や領収証は「区分記載請求書等」の要件に沿って作成しましょう。
「区分記載請求書等」について。
消費税を一般課税で申告している場合、「区分記載請求書等」が無いと仕入税額控除ができなくなります。
一般課税の場合、売上に係る消費税から仕入(経費)に係る消費税を引いて申告・納付しますが、この仕入に係る消費税額が引けなくなるということです。
「区分記載請求書等」とは、以下の項目が記載された請求書、領収書、レシートなどです。
・請求書等発行者の氏名又は名称
・取引年月日
・取引の内容
・対価の額
・請求書等受領社の氏名又は名称(不特定多数の者と取引する事業者は省略できます)
・軽減税率の対象品目である旨(追加)
・税率ごとに合計した税込対価の額(追加)
下の2項目が今回の改正で追加された部分です。
軽減税率対象品目の売上がある場合に は記載の必要があります。対象品目が無い場合は今まで通りの請求書等になります。
仕入税額控除をするには、この「区分記載請求書等」が必要となりますので、免税事業者の方も軽減税率対象品目の売上がある場合には交付を求められる場合がありますので、作成した方が良いでしょう。
次回は区分記載請求書等について詳しく説明します。