2017年7月12日 12:31 pm

相続時精算課税のメリットとデメリット

みなさん、相続時精算課税制度をご存知でしょうか?

 

大雑把にいうと、贈与をすると贈与税がその年毎にかかりますが、それを相続の時にまとめて相続財産として計算し、相続税を支払うという制度です。

 

条件

 

1.贈与者は、贈与した年の1月1日において60歳以上の父母または祖父母

2.受贈者は、贈与を受けた年の1月1日において20歳以上の者のうち、贈与者の直系卑属のである推定相続人または孫

3.贈与を受けた年の翌年の2月1日から3月15日の間に必要書類を添付して相続税の申告をする事

 

相続時精算課税制は贈与者ごとに選択できます。

父親からの贈与は相続時精算課税制度を選択して、母親からの贈与は暦年贈与(一般的な贈与)にするなど。

 

贈与財産の種類、金額、回数に制限はありません。

ただし、初年度から合計して2500万円を超えたの贈与額については20%の贈与税を納税しなくてはいけません。

 

相続が発生した時に、相続財産に相続時精算課税制度で贈与された贈与額を加算して相続税を計算します。

2500万円を超えて贈与税を納税している場合、計算した相続税から贈与税を引きます。

 

 

メリット

 

1.相続財産が課税価格以下である場合、2500万円までは税金を払うことなく贈与できます。

たとえば子や孫が家を購入する時、住宅取得等資金の贈与の非課税と合わせて3200万円(省エネ等住宅であれば3700万円)まで贈与できます。

2.マンションなど収益のある不動産を贈与することで、利益が子に蓄積されるので相続対策になる場合があります。

3.財産の価格が相続の時ではなく、贈与の時に判定されるので、値上がりしそうな不動産や有価証券等は価格上昇分だけ節税ができます。

4.生前に贈与してしまうので、相続争いを防ぐ効果もあるかもしれません。

 

 

デメリット

 

1.一度相続時精算課税制度を選択すると変更できません。選択した贈与者からの贈与については110万円の非課税枠は使えません。

2.申告の手間が増えることがあります。110万円の非課税枠が無くなるので、少額であっても申告をする必要があります。

3.相続時精算課税制度で土地を贈与すると、相続税の申告の時に小規模宅地の特例が使えません。

※小規模宅地の特例とは、居住用の土地など一定の要件を満たす土地の評価を80%減額する特例

4.相続時精算課税制度で生前に贈与した土地等は物納に使えません。

5.2500万円の枠も非課税ではなく、相続時には相続財産に加算されますので、将来の相続時にはその分の納税資金の準備も必要になります。

 

 

まとめ

 

メリットもありますがデメリットも多く、この制度を利用するには十分な検討が必要です。

メリットの1で書いたような場合は使いやすいかもしれません。

 

上記についてご不明点がございましたら、相続税専任の税理士が担当しますので、お気軽にご相談下さい。