結婚・子育て資金の一括贈与 その2
こんにちは、スタッフのSです。
今回は「結婚・子育て資金の一括贈与」のメリットとデメリットについてです。
この制度を利用する理由として多いのは、1000万円が非課税で贈与できるんだから相続税対策になるだろう、という事だと思います。でもよく考えると、非課税になるのは1000万円のうち結婚・子育てに使う資金だけです。残額には贈与税がかかります。また期間中に贈与者が亡くなれば、その時の残高は相続財産に加算されます。支出の都度贈与してもらっても非課税になりますし。
では、具体的なメリット・デメリットはなんでしょう。
まず、メリットですが、相続税対策としては3つしか思いつきませんでした。内1つは実際にこんな事をする人はいないでしょうし、人としてどうかと思うので割愛します。
1.孫が贈与を受けていた場合、贈与者が亡くなって相続税が発生しても2割加算がされない。遺言書で孫に1000万遺贈すると書くよりは良いかも。
2. その都度贈与するのと違い、贈与者が認知症などになってもその後の費用があらかじめ贈与できる。
もちろんこれは税金対策のメリットだけです。ほかにも経済的・精神的にサポートできるとか、喜んでもらえて嬉しいというメリットもあります。
次にデメリットです。
1. 受贈者が50歳に達した時に残額があればその時点で贈与税が課税される。残額が多ければそれだけ多くの贈与税が課税されることになります。
税金面のデメリットはこの位でしょうか。これも期間が最大30年と長いこと、支出の適用範囲が広いことを考えれば大きなデメリットではないかもしれません。ですが、デメリットについては税金面以外のところが大きなウェイトを占めていると思います。
1、 その支出が結婚・子育てのための支出であることを証明する書類を金融機関に提出しなくてはなりません。この手間を考えたらその都度贈与してもらってもよいのでは?
2、 上記の手間をかけても、贈与者が亡くなると残高が相続財産に加算されるので相続税対策にならない場合もあります。
3、 一度贈与すると戻すことができない。贈与者の生活も考えて贈与のしすぎには注意する必要があります。またメリットの1で「遺言書で孫に1000万遺贈すると書くよりは良いかも。」と書きましたが、良いかもというのは遺言書は書き直せますが、贈与は戻せない、という点です。
4、 子や孫が複数ある場合、公平にしないと後々もめるかもしれません。
思いつくものを書き出してみましたが、メリット・デメリットを慎重に考慮して、利用して下さい