2017年7月26日 4:10 pm

複数の法人を持つメリットとは!?

 

一つの法人で複数の事業を行っている経営者の方で、

「なぜあの経営者はわざわざ複数の会社で事業を行っているんだ!?」と思われている方も多いかと思います。

 

それは複数の法人を持つことには様々なメリットがあるからです。

 

複数法人を持つことで、事業の危機回避が出来る融資を受けやすくなるなどありますが、今回は税金対策のメリットについて解説していきます。

 

 

法人税と事業税

 

法人税と事業税は累進課税といって課税所得が上がるにつれ、段階的に税率は高くなります。

 

複数の法人に所得を分散する事で法人税等を抑えることができます。

 

法人税を例にとって見てみましょう。

 

法人税率

   
平成28年度 平成29年度 平成30年度以降
中小法人、一般社団法人等及び人格のない社団等 年800万円以下の金額 15% 19% 19%
年800万円超の金額 23.4% 23.4% 23.2%
中小法人以外の普通法人 23.4% 23.4% 23.2%
一般社団法人等以外の公益法人等、協同組合等及び特定の医療法人(*1)

(一定の法人を除く)

年800万円以下の金額 15% 19% 19%
年800万円超の金額 19%

 

(*1)・・・協同組合等又は特定の医療法人である連結親法人については税率20%が適用されます。

 

 

1000万円の所得がある法人を例に計算してみます。※28年度

 

1つの法人・・・800万円×15%+200万円×23.4%=166.8万円

 

複数(A社とB社)法人・・・「(A社分)500万円×15%=75万円+(B社分)500万円×15%=75万円」=150万円

*A社とB社で500万円ずつ所得があった場合

 

上記のように1000万円の所得のうち500万円を別法人に分けた場合、法人税だけでも16.8万円の節税効果があります。

 

法人税額が下がることで、それをベースにして計算する法人県民税、法人市民税も下がるので節税効果は上記以上となります。

 

下記の事業税も法人税と同じように所得をベースにして計算されるので、所得が分散されることで節税の効果があります。

 

 

事業税率

    平成26年10/1以降に開始する事業年度
普通法人

 

年400万円以下の金額 3.55%(3.4%)
年400万円超800万以下の金額 5.319%(5.1%)
年800万円超の金額 6.988%(6.7%)

 

( )内の標準税率が適用される法人・・・普通法人:資本金の額又は出資金の額が1億円以下で、かつ、年所得(分割前の総額)5,000万円以下の法人(公益法人等及び人格のない社団等にあっては年所得5,000万円以下のもの)、 特別法人:年所得5,000万円以下の法人

 

 

また、複数の法人に分けた初年度、次年度では消費税の優遇もあります。

 

消費税

 

原則、設立1.2年目については消費税が免除されます。

これを使って事業を別法人に分けてその分の消費税を免除することが可能です。

 

ただし、免除されない例外が2つあります。

 

・創業1.2年目で事業年度開始日の資本金が1000万円以上の場合

・前年の上半期の売上が1000万円を超えた場合

 

この2ついずれか該当する場合には課税事業者となり、消費税を支払わなければなりません。

 

 

まとめ

 

複数会社を持って1番大きいメリットはやはり税金対策に繋がることだと思います。

上記で記載した内容以外にも複数の法人から給与をもらうことで場合によっては社会保険料が抑えられるということもあります。

 

複数会社から報酬・給与が発生する場合の社会保険の記事はこちら

 

 

 

経営者の方は自社にとって視野を広げ、ベストな選択をしていきましょう!!

 

上記についてご不明点がございましたら、専任の税理士が担当しますので、お気軽にご相談下さい。

 

参考資料・・・国税庁ホームぺージ参照