複数会社から報酬・給与が発生する場合の社会保険
1人の社長が複数の会社を持ち、それぞれの会社から給与(役員報酬)を受けとったり、会社員が副業を行い2か所以上から報酬を受け取ることは少なくありません。
では、その場合の社会保険の加入はどうなるのでしょうか?
社会保険の加入要件
① 1週間の所定労働時間が一般社員の3/4以上である。
② 1ヵ月の所定労働日数が一般社員の3/4以上である。
③ 勤務先が社会保険の適用事務所である。
* ①及び②の要件を満たさない場合でも次の「短時間労働者の要件」全てに該当する。
④ ・週の所定労働時間が20時間以上である。
・勤務期間1年以上またはその見込みがある。
・月額賃金が8.8万円以上である。
・学生以外である。
・従業員501人以上の企業に勤務している。
2か所以上の会社がいずれも加入要件を満たす場合
① 要件を満たした日の翌日から10日以内に「健康保険・厚生年金保険被保険者所属選択・2以上事業所勤務届」を提出する。
* 健康保険の保険者や厚生年金保険の管轄年金事務所が、それぞれの会社で異なる場合のみ。
② 該当する会社でのすべての賃金の合算をもとに標準報酬月額が決められ、保険料は各社ごとの賃金で按分される。
複数の会社のうち、1か所のみが加入条件を満たす場合は、その会社でのみ社会保険に加入します。
要件を満たしていなければ2重加入は出来ません。
計算例
A社とB社から報酬を受けていて、要件を満たし、両社の会社において被保険者に該当した時の計算方法が以下の通りです。
A社・・・月額20万
B社・・・月額40万
① A社とB社の報酬を合算して、報酬月額を算定します。
報酬月額=20万+40万=60万円
② 標準月額の決定をします。
平成29年4月分(5月納付分)からの健康保険・厚生年金保険の保険料額表より引用(愛知県)
標準月額=59万円
③ 保険料の按分を行う。
保険料=87,768円
A社の保険料=87,768.4円×20万/60万円=29,256円
B社の保険料=87,768.4円×40万/60万円=58,512円
このように報酬額で按分して、計算を行います。
まとめ
社会保険の取り扱いをきっちり行っていない会社も多くあると思われます。
なので、自分自身でも被保険者として該当するのか確認を行いましょう。
上記についてご不明点がございましたら、専任の税理士が担当しますので、お気軽にご相談下さい。