2018年2月14日 7:47 pm

配当金の確定申告~所得税と住民税~

今までは一般的に所得税と住民税は同じ内容で申告していましたが、29年度税制改正大綱によって異なる課税方式で申告できると明確化されました。

つまり配当所得について、所得税の確定申告で総合課税を選択し、住民税の申告では申告不要制度を選択できるということです。

まず先に配当金に関する申告について簡単に説明します。

 

 

配当金の申告方法

1.総合課税

給与所得や事業所得など各種の所得の金額を合計して所得税額を計算するというものです。大口株主である場合や非上場株式の配当の場合は原則総合課税になります。

総合課税の対象とした配当所得については、一定のものを除き配当控除の適用を受けることができます。

所得税率は5.105%から45.945%、住民税は10%です。

配当控除は、所得税について配当所得の10%、住民税について配当所得の2.8%です。ただし、課税所得が1000万円を超えた部分については控除割合が半分になります。

 

2.申告分離課税

大口株主以外の上場株式等の配当の場合選択が可能です。

上場株式等の売却損がある場合、申告分離課税を選択することで売却損と配当所得を損益通算することができます。

所得税率は15.315%、住民税は5%です。

配当控除は受けられません。

 

3.確定申告不要制度

次のものは確定申告をしない選択ができます。この場合、配当金に対する源泉徴収で課税が完了します。

・上場株式等の配当等の場合(大口株主等が受ける場合を除きます)

支払を受ける配当等の金額に関係なく選択できます。

・非上場株式の配当等の場合

1回に支払を受ける配当等の金額が、次により計算した金額以下である場合に選択できます。

10万円 × 配当計算期間の月数(注) ÷ 12

年1回の配当であれば10万円以下、半年に1回の配当であれば5万円以下になります。

 

どの方法で申告するかは、配当金の源泉徴収税額との比較や、上場株式の譲渡損の有無などで判断することになります。

配当金にかかる源泉所得税は次の通りです。

・上場株式の場合(大口株主を除く)、所得税15.315%、住民税5%

・大口株主である場合や非上場株式の配当金の場合、所得税20.42%住民税なし

 

 

課税方式の選択

総合課税の説明で住民税10%、配当控除2.8%と書きましたが、所得税の確定申告で総合課税を選択し、住民税の申告では申告不要制度を選択すれば、7.2%の税負担が源泉所得税で引かれている5%で済みます。また国民健康保険に加入している方は保険料の算定の対象から外れますのでメリットは大きくなります。

実はこの制度、自治体によっては以前から可能だったようですが、税制改正によって明確化されたことによって、どの自治体でも利用できることになりました。

ただし、この制度を利用するにあたっての申告方法が自治体によってまちまちなようです。

所得税の確定申告書の提出よりも先に住民税の申告書を提出してくださいという所もあれば、住民税の納税通知書が送達される日までに住民税の申告書を提出してくださいという所もあるようです。

この制度を利用される場合には事前にお住いの自治体にご確認ください。

 

 

上記について不明点がございましたら、名古屋市東区の税理士事務所、末松会計事務所にお尋ねください。