2017年11月2日 1:25 pm

養子縁組で相続税対策~法定相続人を増やして節税~

 

 

2015年1月1日に相続税改正が施工されました。

これにより国税庁のデータによると、課税対象者が約2倍に増えました。

この課税対象者が増えた背景には「基礎控除額」が引き下げられたことにあります。

基礎控除額は法定相続人が何人いるかにより変わってきます。

 

 

基礎控除額

相続税は相続税の課税対象になる財産が基礎控除額を超えると税金を支払わなければいけません。

以下が改正前後の基礎控除額の算定式となります。

「改正前」

5000万円+1000万円×法定相続人の人数

「改正後」

3000万円+600万円×法定相続人の人数

 

例えば、法定相続人が3人だと仮定します。

この場合の基礎控除額は改正前だと8000万円なのに対して、改正後は4800万円となります。

改正前後を比べると4割も基礎控除額が低くなっており、課税対象者が約2倍になったのも納得できます。

 

 

法定相続人

次のような関係が法定相続人とされています。

・配偶者

・子どもなどの直系卑属

・親などの直系尊属

・兄弟姉妹

 

そしてこの法定相続人を数を元に相続税の計算をする場合が4つあります。

 

 

法定相続人を基に行う相続税の計算

・相続税の基礎控除額(上記参照)

・生命保険金の非課税限度額(500万円×法定相続人の人数)

・死亡退職金の非課税限度額(500万円×法定相続人の人数)

・相続税の総額の計算(相続人1人あたりの金額にそれぞれの累進課税による税率をかける)

 

このように法定相続人の人数は相続税の計算をする際に大きく影響することが分ります。

そして、法定相続人の人数を増やす方法が養子縁組です。

 

 

養子縁組について

養子縁組とは、親子関係のない者同士を、法律上、親子関係があるものとすることです。

養子縁組をする相手は、自分より年下の人であることが条件になっています。また、おじやおばなど上の世代の人も養子にはできません。養子縁組の手続きは市区町村役場に「養子縁組届」を提出します。届には養親と養子、証人(2人)の署名・押印が必要です。また、養子が未成年の場合は、家庭裁判所の許可が必要になります。

さらに、相続税対策としてむやみに養子縁組を組むことのないように相続税の計算上で認められている養子の数が決められています。

・実子がいる場合→1人まで

・実子がいない場合→2人まで

 

養子縁組を活用すると法定相続人の人数は増えるので、その節税効果は大きいです。

しかし、注意点及びデメリットもあります。

 

 

注意点・デメリット

・遺産分割協議の際に意見がまとまらない、難航する可能性がある

→遺産分割協議は相続人全員の合意が必要となります。養子を加えることにより、相続人の数が増え意見がまとまりづらくなることや養子も実子も、相続人としては同等の立場のため元々の相続人からの不満が出ることも考えられます。

 

・孫養子は2割加算

→孫を養子にした場合には、相続税の計算時に税金が2割加算になります。

 

 

まとめ

相続人が複数いる場合には、慎重に養子縁組を行うことが必要です。

相続発生後に相続人間で揉める可能性がある場合には、話し合いや遺言書の作成など養子縁組を活用するにも準備をすることが大切です。

 

相続税の申告・生前対策・相続財産シュミレーションを検討される場合は、名古屋市東区の会計事務所、末松会計事務所にお任せ下さい。