COLUMN経営コラム

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クラウド会計の選び方|価格編

2021.11.12

経理クラウド

前回の記事では、クラウド会計システムの機能について、機能の内容や重要度をご説明しました。

同記事では、代表的なクラウド会計システムであるマネーフォワードfreeeについて実装の状況も記載しています。

本記事では、料金面からクラウド会計を比較します。

個人事業主から中規模の企業まで、代表的な事例ごとに両者の社料金を比較しますので、ご自身の状況に合わせて参考にしてください。

なお、金額等の数字は全て記事執筆時のもので、代表的な事例の平均値をとって記載しております。
ご了承のほど、お願いいたします。

クラウド会計システムの機能|まとめ

前回記事で紹介したクラウド会計サービスの機能をまとめておきます。

分類サービス概要需要度
日常業務・会計仕訳入力事業上の取引を帳簿に記載☆☆☆☆☆
口座・クレジットカード等との連動口座やクレジットカードの明細情報を帳簿と連動☆☆☆
請求書の作成および会計との連動請求書発行・会計との連動☆☆
税務個人の確定申告書作成・送信確定申告書の作成と電子送信☆☆☆
法人税申告書作成・送信法人税申告書の作成
消費税関連消費税の集計☆☆☆☆
その他給与計算給料の計算と、会計との連動☆☆☆

以下の料金比較では、上記機能のうち、重要度において☆3つ以上のものを実装しているプランを参照しています。

個人事業主|税理士との契約がある場合には、マネーフォワードのコストパフォーマンスが目立つ

個人の確定申告については、税理士を介さずに自身で申告する場合も合わせて検討します。

まずは比較表をご覧いただきましょう。

税理士
消費税
給与計算
マネーフォワード12,936円10,560円39,336円
freee53,272円26,136円39,072円12,936円45,658円43,780円45,658円43,780円

(凡例) 各項目について「◯=あり」「☓=なし」を意味します。

  • 税理士:◯=顧問税理士あり。申告は顧問税理士に依頼する。 ☓=自分で申告。
    (また、税理士の関与がない場合は、電話相談などのフルサポートが必要であるという前提で試算しています。)
  • 消費税:◯=消費税を申告する必要あり。 ☓=消費税申告の必要なし
  • 給与計算:◯=従業員がおり、給与計算が必要。 ☓=従業員なし

(※)最も安い金額を太文字にしています。

上の表をみると、いずれもマネーフォワードの方がお得な金額設定となっています。

結論として、個人事業主の方にはマネーフォワードが最もバランスの取れた選択と言えるでしょう。

一応、freeeの利点を挙げますと、全く会計や簿記の知識がない方向けの操作性に優れており、消費税の申告書もサービス内で作成・送信できることから、「とにかく全部自分でやりたい」という人に適しています。
しかし、基本的には、売上高が2千万を超えるようであれば、税理士と顧問契約をした方がよいと考えられます(こちらの記事も参照のこと)。

法人(中小企業)|給与計算機能を求めるなら、マネーフォワードがおすすめ

さて、次に法人(会社)の比較をしていきますが、以下の比較では、

  • 法人(会社)は、税理士に申告業務を依頼する(=顧問税理士がいる)
  • 消費税の課税事業者である

ということを前提としています。

よって、個人事業主の場合で比較した上の表と異なり、「従業員数」でクラス分けし、料金比較します。

税理士事務所などのサービスは「売上高」を基準に料金設定が行われる場合が多いのですが、クラウド会計サービスはほとんどが「従業員数」でクラス分けされます。

税理士事務所などが顧客へのサービスのために投入する人的・時間的リソースと、クラウド会計サービスが必要とするサーバなどの資源の質的な違いによって料金体系が異なってくるのです。

では、表を見てみましょう。

役員・従業員数5人20人30人
給与計算
マネーフォワード40,436円98,736円138,336円
freee79,662円52,536円129,162円52,536円203,412円52,536円

これでは、どれがお得なのか、わかりにくいですね。
なぜ分かりにくい料金比較になってしまうのでしょうか?

マネーフォワードは、給与計算などが全てセットになっており、対してfreeeは会計と給与計算などがそれぞれ別のサービスになっているというのがその理由です。

そこで、わかりやすくするために、グラフにしてみてみましょう。
横軸は役員・従業員の人数、縦軸はクラウド会計の料金年額を表しています。

クラウド会計の選び方|価格編_グラフ1

オレンジのラインが、シルバーの領域よりも常に下回っています。
ここから分かるのは、給与計算の機能を付けるなら、マネーフォワードの方が安いということです。

一方、黄色の領域は人数に関わらず一定で、オレンジよりも下回っている部分があります。
これにより、人数が9人以上で、給与計算機能をつけない場合はfreeeの方が安くなるということが分かります。

つまり、以下のような分析結果となります。

  • 9人以上の会社で、給与計算にはクラウド会計を用いない → freee
  • 給与計算にもクラウド会計を活用する。 → マネーフォワード

役員・従業員が9人以上となると、給与計算も大変です。現実的には、中小企業はマネーフォワードを利用するという選択になるかと思います。

ただし、個別の事情もありますので、必ずしもこれが結論ではありません。一つの目安とお考えください。

まとめ:クラウド会計サービスの選択には、色んな視点が必要です

前回の記事と合わせてここまで、主にマネーフォワードfreeeのサービス内容・料金を比較してきました。

今回の分析では、個人・法人ともにマネーフォワードを選択した方が良さそうです。

ただ、クラウド会計サービスを選ぶ際には、顧問税理士の対応状況や、経理担当者の使いやすさなども勘案する必要があります。

どのクラウド会計サービスにするか、決定するときには必ず、顧問税理士や経理担当者の意見も確認するようにしてください。

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この記事の執筆者

末松和真

税理士法人末松会計事務所代表社員。税理士。 (株)FLAGSコンサルティング 代表取締役 税理士として税務・会計はもちろんの事、経営支援・クラウド会計支援・融資実行・補助金に強く、幅広い知識とサービスで企業の成長を支援している