COLUMN経営コラム

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マネーフォワードと記帳代行の強力なタッグ | クラウド会計の時代、税理士に記帳代行を依頼するべき理由。

2021.12.14

経理クラウド

以前、『「クラウド会計の導入」イコール「完全自計化」なのか?|最も効率的な会計・税務の方法を考察する。』というタイトルで、 クラウド会計と税理士による記帳代行業務の共存について、主に料金面から考察しました。

その際の結論は、少なくとも料金面からはクラウド会計を導入して税理士に記帳代行を依頼するのが最も効率的(だと思われる)。ということでした。

今回は実務的な面から、クラウド会計と税理士による記帳代行の並存がいかに重要であるかを解説したいと思います。

  • クラウド会計で全てが自動化できれば、税理士は申告だけしてくれればいいのではないか
  • 税理士が、税務・会計の監査業務において何をしてくれているか、よくわからない
  • クラウド会計システムが充実してくれば、税理士はいずれ不要な存在となる

といったお考えをお持ちの方。本記事をお読みいただいた後には税理士の必要性がお分かりいただけることと思います。

どうか最後までお読みいただき、「クラウド会計導入 + 税理士事務所の記帳代行」という選択が有用であることをご確認ください。

事前知識|補助簿の重要性

会計帳簿は主要簿と補助簿に分けられます。

主要簿とは、会計上「仕訳帳」「総勘定元帳」および「日記帳(仕訳帳と合一して「仕訳日記帳」とも)」を指します。それぞれの説明は省きますが、経理上絶対に作成しなければならない書類です。会社はこれらを元に損益計算書などの財務諸表を作成します。

補助簿は、主要簿に付随して作成されるものです。具体的には、売掛帳・買掛帳・現金出納帳などがこれにあたります。

補助簿は何のために作成され、どのように役立つのでしょうか?

複数の視点からの確認

補助簿は、会計上、複数の視点から取引を確認するのに役立ちます。

例えば100万円の売上があった場合の処理は、

  • ① 請求書の発行
  • ② 売掛帳への売上記載
  • ③ 総勘定元帳への売上記載
  • ④ 入金確認
  • ⑤ 売掛帳への入金記載
  • ⑥ 総勘定元帳への入金記載

となりますが、ここで②と③、⑤と⑥の処理は似たような作業で、重複しているように感じるかもしれません。

しかし、一見無駄に見えるこの作業が、会計上のミスを防ぐために重要な役割を果たすのです。

補助簿が実際に役に立つ例|売上高の場合

売掛帳は売上とその入金状況を確認するために作成する補助簿です。

これが会計チェック上役立つのは、例えば上記の例で③の「総勘定元帳への売上記載」が漏れていた場合を考えます。

このとき、売掛帳を作成していれば④の入金時に⑤「売掛帳への入金記載」が行われるため、③の売上計上処理が漏れていることが容易に発見できます。

もちろん、売掛帳がなくても総勘定元帳をしっかりと確認していればミスは発見できるのですが、売掛帳があればより確実・簡単に発見できるということです。

また、売上日報など別の書類も作成し、売掛帳や総勘定元帳などと照合する事務規定を設けていれば、入金を待つまでもなく売上高の計上に漏れがないことを確認できます。

自動化・連動には弊害もある

クラウド会計システムなどでは、各種の会計連動機能が実装されています。

例えば売上高で言うと、

  • ① 請求書の発行
  • ② 売掛帳への売上記載
  • ③ 総勘定元帳への売上記載

が、請求書発行処理だけで一括して行われます。

また、銀行の取引データとの連動によって

  • ④ 入金確認
  • ⑤ 売掛帳への入金記載
  • ⑥ 総勘定元帳への入金記載

は、ほぼ完全に自動的に処理されます。

たいへん便利な機能で、経理担当者の業務負担は大幅に軽減されることになります。

しかし、このような自動処理・連動処理に過度に依存してしまうと、重大なミスを見逃してしまう場合があるので、注意が必要です。

自動化・連動が失敗やミスの原因となる例

上記の売上高連動機能においては、①の「請求書発行」が適切に行われていることが大前提です。

請求書発行時点で売上高を100万円とすべきところ、誤って10万円と記載してしまったとしましょう。

全てを連動処理に任せていると、取引先が気づいて教えてくれるまで、売上が90万円も漏れていることを発見することが出来ません。

最悪の場合、取引先にも気づいてもらえず、90万円を損してしまうこともあり得ます。

自動化によるミスを防止するためには

このようなミスを防ぐためには、売上日報など連動処理とは別の補助簿が必要となります。

上記の例では、売上日報など別の補助簿に売上高100万円が記載されていて、それとクラウドシステムによる会計帳簿を照合する機会を定期的に設けていれば、そのタイミングで必ずミスを発見できます。

このように、会社の経理を正確かつ健全に行うためには、クラウド会計システムの自動化・連動処理機能を有効に活用するだけでなく、それによるミスの危険性を認識して未然に防止する経理体制を整えることが大切です。

記帳代行の効能

税理士事務所に記帳代行を依頼する。または定期的な会計監査・記帳指導を受けることは、これまでに見てきたようなクラウド会計システムへの過度な依存の危険を避けるのに有効です。

記帳代行や記帳指導では、クラウド会計システムの利用に伴う処理漏れやその他のミスを防ぐため、以下のような取り組みが行われます。

  • 1. 会社の事業形態や規模に応じた補助簿作成(または作成の指導)

    会社の業種や規模・取引先件数などによって、作成が必要な補助簿が異なってきます。

    税理士は、クライアントの状況に応じてどのような帳簿が必要であるか、またどういった形式で作成すれば効率的であるかを考えて提案します。

    いわゆる「丸投げ」を依頼している場合でも、最低限の補助簿作成を求めたり、確認用の資料を作成するなど会計上の間違いが起きないような工夫のノウハウ・経験を豊富に持っているのが税理士事務所です。

  • 2. 複数のプロによるチェック体制

    税理士事務所による記帳代行や会計監査では、クライアントの担当者を含めて通常2~3名以上が会計処理を確認します。

    中小企業では自社で複数のチェック体制を構築するのが困難な場合が多いでしょう。
    税理士事務所に記帳代行を依頼することで、入念なチェックを受けることが出来ます。

    その上、税理士事務所の監査担当者は会計・税務のプロです。豊富な経験から「この数字はなんかおかしい」というカンが働きますので、単に補助簿を設けるよりも一層のチェック効果が期待できます。

  • 3. 多方面・いろんな視点からの分析

    会計のミスをチェックするだけが記帳代行の効果ではありません。

    売上や利益率、経費の傾向など経営者が知りたいと思う情報はもちろんのこと、プロに会計資料を見せていれば「この会社の経営に役立ちそうな分析」を提案してくれることもあります。

    また、税理士事務所独自のデータから同業他社などとの比較もできるため、自社だけでは決して行えない経営分析が可能となるでしょう。

まとめ:クラウド会計システムは税理士事務所の記帳代行サービスと組み合わせてこそ最強

クラウド会計システムは非常に便利なサービスですが、これを真に有効に使うためにはプロである税理士の助力が必要です。

クラウド会計サービス+記帳代行サービスの組み合わせで、会計を会社経営の武器とできるような仕組みを整えましょう。

末松会計事務所では、クラウド会計システムに対応した記帳代行・記帳指導のご相談をお待ちしております。
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この記事の執筆者

末松和真

税理士法人FLAGS代表社員。税理士。 (株)FLAGSホールディングス 代表取締役 税理士として税務・会計はもちろんの事、経営支援・クラウド会計支援・融資実行・補助金に強く、幅広い知識とサービスで企業の成長を支援している。