COLUMN経営コラム

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【医療法人】税理士報酬の相場|良い税理士を適正価格で雇う

2022.10.21

税務経営

ご存知かもしれませんが、医療法人が税理士を雇う際の報酬相場は他の業種の相場とやや異なります。

この記事では、病院やクリニック、歯科医院などの医療法人向けに、税理士を雇う際の報酬相場を解説しています。また、併せて税理士選びのコツもご紹介しています。

料金基準が頭の中にない状態だと、税理士選びは進めづらいものです。

この記事を役立てていただき、適正価格で質の良い税理士を雇っていただけますと幸いです。

医療法人が税理士を雇う際の報酬相場

医療法人が税理士と顧問契約を結ぶ際の報酬相場は以下のとおりです。

基本料:月1.5万〜6.5万円(年間18万〜78万円)【表1】

決算申告料:月額基本料の40〜60%【表2】

追加料金(記帳代行)【表3】

追加料金(その他)

飲食業・製造業など多くの業種の基本料の相場は月1万〜5万円(年間12万〜60万円)程度です(こちらの記事参照)。

ですから、医療法人は相場が少し高めとなります(法人ではなく個人医院の場合は他の業種とほぼ同じです)。

報酬相場①基本料

報酬相場が簡単にわかるよう、売上高ごとの基本料(月額)を一覧でまとめました。

法人の年間売上高と照らし合わせてご覧ください。

【表1】基本料の相場
<月額>
年間売上高 / 面談頻度毎月 3、4ヶ月に1回半年に1回
1000万円未満・開業初年度2万〜3万円1.5万〜2.5万円1.5万〜2万円
1000万円〜5000万円2.4万〜4万円2万〜3.5万円1.5万〜3万円
5000万円〜1億円3.5万〜5万円2.5万〜4.5万円2万〜4万円
1億円〜3億円4万〜6万円4〜5.5円4万〜4.5万円
3億円〜5億円5万〜7万円4.5万〜6.5万円4万〜5.5万円
5億円〜6.5万円〜

料金に幅があるのは、医療法人の規模の大小により料金が変動するためです。

詳しくは税理士事務所に相談しましょう。料金体系は本当に多種多様です。

▼ 一例

  • 開業初年度の値下げがある場合
  • 内科・外科など医院の形態に応じた相談に対応してくれる場合

基本料を決定する仕組み

具体的に、料金の高い低いは一般的に以下の要因で決定されます。

  • 医療法人の売上高
  • 税理士が法人を訪問し面談する頻度

加えて、税理士事務所によっては法人の従業員数が考慮される場合があります。

報酬相場②決算申告料

「決算や法人税申告がまさに税理士に頼みたい業務である」場合も多いかと思います。

決算申告料は、月額基本料の40%〜60%を決算申告時に支払うのが一般的です。

下の【表2】に具体的な決算申告料(年額)をまとめましたので、 売上高と照らし合わせてご覧ください。

【表2】決算申告料の相場(セット価格)
<年額>
年間売上高 / 面談頻度毎月3、4ヶ月に1回半年に1回
1000万円未満・開業初年度8万〜18万円6万〜15万円6万〜12万円
1000万円〜5000万円9.6万〜24万円8万〜21万円6万〜18万円
5000万円〜1億円14万〜30万円10万〜27万円8万〜24万円
1億円〜3億円16万〜36万円16万〜33万円16万〜27万円
3億円〜5億円20万〜42万円18万〜39万円16万〜33万円
5億円〜24万円〜

表の決算申告料は、基本料に加えて支払う場合のセット価格です。

決算申告のみ依頼し費用を抑えることも可能

顧問契約を結ばずに決算と法人税申告のみを依頼することも可能です(スポット契約)。

セット価格によりも割高にはなりますが、総額は抑えられるため、開業初年度など費用を抑えたい場合に有用な選択肢となります。

決算申告のみ依頼する場合(スポット契約)
年間売上高年額
1000万円未満・開業初年度年20万円〜
1000万円〜5000万円年25万円〜

決算申告はセットで扱われるることが一般的。理由は、法人税申告は決算に基づいて行われるためです(決算と申告は一体)。

決算申告のみを依頼するか迷われる場合は、顧問契約との違いや決算申告のみ依頼するメリット・デメリットをまとめたこちらの記事をご覧ください。

報酬相場③記帳代行料

税理士に依頼する主な業務に記帳代行があります。

必要に応じて、これまでの料金に【表3】記帳代行料(月額)も加算しましょう。

【表3】記帳代行料の相場
<月額>
仕訳件数(月)記帳代行料
〜100件0.8万〜1.5万円
101~200件1.5万〜3万円
201~300件1.8万〜5万円
301~400件2.5万〜7万円
401件〜3万円〜
※ 記帳代行料はサービス内容によって大きく変動します。
詳しくは税理士事務所にご確認ください。

記帳代行を頼むべき場合

以下の場合は記帳代行も依頼されると、経営に好影響を与えます。

  • 医師自ら記帳に時間・労力を割いているが、医療に集中したい
  • 「記帳→決算→法人税申告」を一連の業務として効率良くこなしてほしい
  • 財務コンサルテクィングを受けたい

記帳代行を依頼すると、税理士が医療法人の財政状況に詳しくなります。

その結果、その後の決算申告や財務コンサルテクィングを受ける場合のサービスの質が向上するというわけです。

報酬相場④その他追加料金(税理士事務所による)

その他、追加料金で依頼できる業務・料金は、必ず事前に税理士事務所に確認しましょう。

税理士事務所によって、提供しているサービスの種類・料金が様々だからです。

▼ オプションサービス一例

  • 給与計算代行
  • 年末調整
  • 請求書発行代行
  • 振込代行 など

このような経理業務を全て丸投げすれば、非常に助かるのは間違いありません。

ですが費用の問題があります。税理士に相談する前に、必ず依頼したい業務を明確にしておきましょう。

【税理士を初めて雇う場合】
下の記事も参考になさってください。税理士は経営者にとってどのような存在なのか?どのように貢献してくれるのか?を解説しています。
税理士とは?簡単に解説|検討初期の経営者や学生向け

医療法人経営を強力にサポートしてくれる税理士の探し方

この見出しで解説する項目を踏まえて税理士を探していただければ、良い税理士が見つかる可能性が高まり、経営に良い影響が出やすくなります。

探し方①複数の税理士事務所を比較検討する

税理士事務所による価格差・サービスの違いは大きなものです。

複数の税理士事務所を比較検討して初めて、良い税理士事務所を納得して選べます

医療特化型の税理士事務所という選択もある

医療法人を専門で顧客とする「医療法人特化型の税理士事務所」は、有力な選択肢となります。

一般的な税理士事務所よりも、医療業界での経験が豊富だからです(サービス内容が大きく異なるわけではありません)。

ただし、そもそものサービスの質が良いのが大前提となります。

医療法人特化型にこだわらず、サービス内容がニーズと合致する税理士事務所があればしっかり比較検討しましょう。

探し方②レスポンスが早い税理士事務所を選ぶ【医師は忙しい】

レスポンスが早く、質問に対する回答や連絡などコミュニケーションにストレスがない税理士事務所を選びましょう。

レスポンスが遅い不満は、実は税理士変更の理由で上位に入ります。

コミュニケーションのストレスが理由で税理士を変更することにならないためにも、やり取りの仕組みやレスポンスの早さは事前に確認しておくことが大切です。

探し方③料金体系・面談頻度を確認する

どこまでがセット価格でどこからが追加料金なのか、必ず税理士事務所に確認するようにしてください。どんぶり勘定だと、追加料金が膨れ上がることになります。

▼ 理由

  • 税理士事務所によって料金体系が異なる
  • 報酬規定が明確に定められていない場合も多い

また、面談頻度によって料金が変わりますから、必要十分な面談頻度を費用と相談しながら設定してください。

探し方④税理士の質や相性、考え方を確認する

税理士との相性を見ることも大切です。

税理士は、会計・税務の専門家として、共に経営を上向かせるパートナー。

話しやすく信頼できる税理士でなければ、長く共に仕事をし、成果を上げていくことはできないでしょう。

この記事のまとめ

医療法人が税理士を雇う際の報酬相場は、以下のとおりでした。

基本料:月1.5万〜6.5万円(年間18万〜78万円)

決算申告料:月額基本料の40〜60%

追加料金(記帳代行)


追加料金(その他)

ぜひ、適正価格で良い税理士を選んでください。良い税理士は経営者の心強いパートナーとなります。

医療を通して成したいことが成せるよう、心よりお祈り申し上げます。

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この記事の執筆者

末松和真

税理士法人末松会計事務所代表社員。税理士。 (株)FLAGSコンサルティング 代表取締役 税理士として税務・会計はもちろんの事、経営支援・クラウド会計支援・融資実行・補助金に強く、幅広い知識とサービスで企業の成長を支援している