COLUMN経営コラム

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副業の所得税はいくらから?確定申告は?ペナルティと会社バレを防ぐ

2022.06.23

税務

副業を始めると、嫌でも向き合わざるを得ないのが「所得税」と「確定申告」です。

副業している人はあまり確定申告していない印象があるかと思います。実際のところ、副業収入いくらから所得税を納税するのでしょうか?

結論、1年間の副業所得が20万円を超えれば、確定申告して所得税を納税する必要があります。また、確定申告不要の場合でも、住民税の申告が必要になる場合が多くあります。

この記事では、確定申告して所得税を納税するのか判断できるよう、副業収入に関する注意点と併せて解説していきます。

申告しないことでペナルティ対象になる場合もあります。安心して副業を進めていけるよう、この記事をご活用ください。

副業の所得税はいくらから?【答え:20万円超から】

お伝えしたとおり、副業所得が1年間で20万円を超えると、確定申告をして所得税を納める必要があります。

会社員の方だと、確定申告はあまり身近ではありませんよね。確定申告は「1年間でこれだけ所得があるので、この額の所得税を納税します」と税務署に伝える目的で行います。

以下は結論を簡単にまとめた表です。

所得税
(確定申告し、国に納税)
住民税
(確定申告または住民税申告し、地方自治体に納税)
・副業所得20万円超
(内職・クラウドソーシングなど)
・または副業の給与収入20万円超
(アルバイト・パート)
納税する納税する
・副業所得20万円以下
・または副業の給与収入20万円以下
納税しない納税する
・副業収入なし納税しない納税しない

次の見出しで、この表のどの部分に当てはまるのか判断できるよう解説していきます。(住民税についてはあとの見出しで解説しています。)

副業所得が20万円を超えるか判断しよう【副業種類別】

副収入の形としては、主に以下のものがあります。

  1. 給与以外の副収入がある場合(内職・クラウドソーシングなど)
  2. 本業以外の会社から給与をもらっている場合(アルバイト)
  3. 給与以外の収入がある + 本業以外の会社からも給与をもらっている

参照:確定申告が必要な方|国税庁HP

①給与以外の副収入がある場合(内職・クラウドソーシングなど)

【副業例】
アフィリエイトブログ、ポイントサイト、せどり、クラウドソーシング、内職、ハンドメイド販売、など

副業で得た所得が、1年間で20万円を超えている場合は、確定申告して所得税を納めます。

しかし会社からの給料のように明細もありませんから、ご自身の副業所得がいくらなのか判断しづらいかと思います。

▼ せどりについてはこちらの記事で徹底的に解説しております。参考になさってください。

「せどり」の確定申告は税理士に頼むべき?|料金の相場、安く抑える方法も解説!

副業所得の計算方法

1年間の所得金額 = 1年間の収入合計 − 1年間の経費合計

所得金額は、収入金額(売上)から経費を差し引いたもの。つまりは利益を指します。

具体例を挙げますと、パンを売って得た収入合計(売上)から、材料費など経費合計を差し引いたものが所得金額(利益)です。

事業規模ではなくお小遣い稼ぎ程度の副業で得た所得は「雑所得」と呼ばれ、上記の計算で算出できます

日頃から月々の収入や経費を記録しておきましょう。記録さえしておけば、いざ計算しようというときに面倒がありません。

※ 基本的に仕事に必要で使ったお金は経費になり、生活のために使ったお金は経費になりません。

②本業以外の会社から給与をもらっている場合(アルバイト)

アルバイトやパートで、本業の以外の会社にお勤めの場合です。この場合、いたってシンプルな判断方法となります。

副業の会社からのお給料(額面の給与収入)が1年間で20万円を超えている場合、確定申告して所得税を納めます。

額面ですから、給与所得控除(会社員の経費に該当)や税金・保険料が天引きされる前の金額をご確認ください。

具体的には、年末に会社からもらえる「源泉徴収票」の「支払金額」が20万円を超えているかでご判断いただけます。

引用:給与所得の源泉徴収票|国税庁HP

③給与以外の収入がある + 本業以外の会社から給与をもらっている

①と②の複合パターンです。例えば自宅でインターネットを通して副収入を得、さらに本業以外の会社でアルバイトもしている場合です。

この場合、給与以外の所得(雑所得)と、副業の会社の1年間のお給料(額面の給与収入)を合計して、20万円を超えれば確定申告して所得税を納めます。

※ 一定の条件を満たせば申告不要になる場合もあります。詳しくはこちらの国税庁HPをご覧ください。

副業所得20万円以下でも確定申告する場合がある

副業所得が20万円以下でも確定申告する場合があります。その場合は副収入にも忘れずに申告しなければなりません。

とはいえ嫌がる必要はありません。副業所得20万円以下で申告するのは、一般的に還付金を受け取る場合です。得のほうが大きいから申告するのです。

【例】

  • 医療費控除を受ける
  • 住宅ローン控除を受ける
  • ふるさと納税する
  • 副業で所得税をたくさん給与天引き(源泉徴収)されたので、還付金を受けたい など

▼ 医療費控除を受けられる方は、こちらの記事も参考になさってください。

医療費控除はe-taxで簡単!|コロナ関連の医療費はどこまで控除できるか?

確定申告不要でも住民税の申告が必要な場合がある

さて、冒頭の表では「所得税の確定申告は不要でも、住民税の申告が必要な場合」がありました。

住民税もれっきとした税金。納税しないと追加納税などペナルティもあります。

住民税の申告が必要な場合は、意外と多くあります。しっかりとご確認ください。

副業所得20万円以下でも住民税の申告は必要

「住民税の申告」は地方自治体に対し、地方税である住民税を納税するために行います(確定申告は、国税である所得税を国に納めるための申告)。

住民税の申告は、副業収入の多い少ないに関わらず必要です。忘れられがちなので注意しましょう。

国(税務署)に確定申告した場合は、申告データが地方自治体に転送されるため、住民税の申告は不要です。副業収入があって、かつ確定申告をしない場合のみ、住民税の申告をしてください。

住民税申告のやり方

住民税の申告は、お住いの市区町村に対して行います(都道府県ではありません)。

申告用紙をインターネットでダウンロードあるいは窓口で取得し、市区町村それぞれの方法に従って手続きしてください。

ややこしければ、市区町村の課税業務の担当課に問い合わせるといいでしょう。市区町村では日頃からこのような相談に対応しているため、気軽に相談できます。

所得税の確定申告をすると会社に副業が伝わるか?

「確定申告をすると、本業の会社に副業がバレるのではないか?トラブルになるのではないか?」このようなご心配はごもっともです。

会社が副業を認めていても、公表しづらいことは多いでしょう。

確定申告で副収入が会社に伝わるリスクあり

結論として、副業収入を確定申告した場合、本業の会社に副業収入の存在が伝わるリスクがあります。

理由は、確定申告により副業所得が住民税額に反映され、会社が給与天引きする住民税の額が変動するからです。

そもそも従業員の住民税は、会社が給与天引きして従業員の代わりに納税しています。市区町村からの通知により、会社は従業員の住民税額を把握しているのです。

ですから、住民税額に変化があると、会社の担当者は「副収入があるのかな?」と想像することが可能なのです。

会社に副収入が伝わるのを防ぐ対策

確定申告の際に、一箇所印をつけるだけで対策ができます。

引用:確定申告書|国税庁HP

これで、副業収入分の住民税が切り分けられ、自分で納付できます(自宅に納付のための用紙が送られてきます)。

ただし注意点があります。市区町村によっては、原則全ての住民税を給与天引きで納付しなければならない場合もあるということです。

過去には市区町村の職員のミスにより、自分で納付の手続きができていなかった事例もあります。

会社との間でトラブルになるのは誰もが避けたいことです。心配な場合は市区町村に問い合わせ、確実に手続きがされたことを確認しましょう。

必要なのに確定申告しないのはペナルティのリスクがある

普段は確定申告しない会社員にとって、確定申告はなかなかの面倒です。「可能ならやりたくない」これが本音かもしれません。

結論、必要があるのに確定申告しないのは、問題があります

以下のような事態を引き起こす可能性があるので、必ず確定申告するようにしましょう。

  • 税務署から電話が来て、指導が入る。
  • 結局あとから申告書を作成することになり、加算金・延滞金のペナルティを受ける。
  • 脱税を疑われて、自宅に調査が入る(税務調査)。

「青色申告」「白色申告」どちらで申告すべきか?

いざ確定申告するとなった場合、「青色申告」「白色申告」のどちらにすべきかという問題があります。

この記事でご案内してきたような副業(他社でアルバイト、小遣い稼ぎ程度の内職・クラウドソーシング・趣味的なものなど)の場合は、基本的には簡易的な申告である「白色申告」をします。

副業が事業レベルになってきますと「事業所得」として「青色申告」すれば、納税額を小さくする優遇措置を受けることができます。ただし、より細かな複式簿記での日々の帳簿付けが必要となります。

個人事業主として開業、事業として副業の規模を大きくしていきたい方でなければ、基本的には白色申告となります。

確定申告のやり方

引用:確定申告書|国税庁HP

難しそうに見えるかもしれませんが、実際に記入するのは一部です。

いざ確定申告するとなった際に焦らなくて済むよう、手続きの全体像を簡単にお伝えしておきます。

時期副業収入があった翌年の2月16日〜3月15日
申告書の入手先国税庁HP・税務署窓口
提出先ほとんどの方は自宅住所を管轄している税務署
こちらの国税庁HPで調べられます)
提出方法郵送・インターネット(e-Tax)・窓口に持参

詳細については、こちらの国税庁HPをご覧ください。

この記事のまとめ

この記事では、副業収入いくらから確定申告して所得税を納めるのか、判断できるよう解説してまいりました。

  • 基本的な判断基準は、1年間の副業所得が20万円を超えるかどうか
  • 内職など給与以外の副収入がある場合は、副業で得た所得(売上 − 経費)で判断
  • アルバイトなど副収入として給料をもらっている場合は、副業で得た額面の給与収入で判断

慣れない所得税・確定申告と向き合い、苦労されていることでしょう。

この記事が少しでも役立ち、安心して副業を進めていかれることを願っております。

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この記事の執筆者

末松和真

税理士法人末松会計事務所代表社員。税理士。 (株)FLAGSコンサルティング 代表取締役 税理士として税務・会計はもちろんの事、経営支援・クラウド会計支援・融資実行・補助金に強く、幅広い知識とサービスで企業の成長を支援している