COLUMN経営コラム

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【就職】弁護士と税理士、どっちを選ぶべき?気になるポイントを比較

2022.07.23

税務

「弁護士と税理士のどっちに依頼すべきか」迷っている方は、こちらの記事も参考になさってください。
税理士とは?簡単に解説|検討初期の経営者や学生向け

将来何の職業に就くのか。誰もが悩む重要なテーマです。

この記事では、弁護士と税理士のどっちの職業を選べばいいのか?進路に悩む高校生や大学生に向けて、判断材料をまとめました。

本質的な仕事内容・難易度・収入。判断の助けになるよう解説していきますので、有効に活用して進路の悩みを解消してください。

弁護士と税理士、どっちを選ぶべき?【仕事内容比較】

働くにあたって、その職業の本質に共感できるかはとても大切です。

弁護士・税理士の仕事はそれぞれどのようなものか、よく知っておきましょう。

弁護士を選ぶべき人は?

以下が弁護士という職業の目的です。共感する場合は、弁護士についてさらに検討してみると良いでしょう。

  • 社会で暮らす人々の自由や平等、人間らしい生活を守る(権利を守る)
  • 筋が通った、理不尽のない世の中を作る

想像しづらいかもしれませんが、過去、自由や平等が守られない時代が長く続いてきました。

  • 行動や考え方を理不尽に制限される
  • 生まれた環境によって酷い扱いを受ける
  • 劣悪な環境で生活し病院にも通えない

憲法や法令を人類が作り上げてきたからこそ、現代の社会があります。そして一般人には難しい憲法・法令を専門家として扱い、権利を守るのが弁護士というわけです。

【弁護士の主な業務】

  • 法律トラブルの予防活動
  • 法律相談を受ける
  • 依頼者の代わりに裁判を行う
  • 被疑者・被告人の権利を守る弁護人になる
  • 法律に関する書面の作成 など

法律全般の専門家として、人の権利を守りたい場合は弁護士を検討してみましょう。

弁護士は、基本的人権を擁護し、社会正義を実現することを使命とします(弁護士法1条1項)。
引用:弁護士の使命と役割|日本弁護士連合会HP

税理士を選ぶべき人は?

以下が税理士という職業の目的です。共感する場合は、税理士について更に検討してみると良いでしょう。

  • 税務・会計の専門家として、企業や個人で商売をする人の経営をサポートする
  • 確定申告などで適正な納税を促進し、住みやすく豊かな暮らしができる社会を作る

経営するということは、日々膨大なお金の出入りがあるということです。それらを日々計算し(会計)、毎年税務署に確定申告して納税しなければなりません(税務)。

経営者は税務・会計の専門家ではありませんから、経営に集中して事業を進めたくても、難しい税務・会計が足を引っ張ります。時間・労力・ミスした時の追加納税…などです。

このような経営についてまわる税務・会計分野の専門家として、経営者のパートナーとなるのが税理士です。

【税理士の主な業務】

  • 確定申告の代行
  • 経営者に代わって税務署とやりとりをする
  • 税金に関する相談を受ける
  • 一年に一度の決算書作成に向け、企業の日々のお金の出入りをまとめる(経理業務)
  • 経営が上向くよう、税務・会計の専門家としてアドバイスする(コンサルティング) など

起業・開業するからには、何らかの思いがあります。その思い、ビジネスの成功を税務・会計の専門家として助けたい場合は税理士を検討してみましょう。

税理士は、税の専門家として納税者が自らの所得を計算し、納税額を算出する申告納税制度の推進の役割を担います。
引用:税理士とは|日本税理士会連合会HP

税理士の仕事についてもっと詳しく知りたい場合は、こちら記事をご覧ください。

【入門】税理士の仕事内容をわかりやすく解説|知らずに就職はNG

【補足】司法書士・公認会計士も考えている方へ

司法書士も弁護士と同様に法律の専門家ですが、法律の関係する書類を作成するプロという面が強くなります。裁判書に提出する書類や、企業情報・不動産情報を公的に証明する書類の作成(登記)が主な仕事です。

公認会計士は税理士同様、企業会計に関わります。しかし税理士とは異なり経営者のパートナーではありません。あくまで中立の立場として、財政書類が正しく作成されているかチェックします。

企業の財務情報は全世界に公開されます。財務情報の信頼性を確保するのが公認会計士の仕事です。

弁護士なら税理士の仕事もできる?【ダブルライセンス】

弁護士資格を取得した場合、自動的に税理士資格も取得します(税理士法5条3項)。

そう聞くと、「じゃあ弁護士を目指すことにして、税理士をしたくなったら税理士もやろう!」と思われるかもしれません。

結論、税理士の仕事がしたいなら、税理士を目指すべきです。

弁護士の仕事をしながら、税理士の仕事を十分に行うのは困難です。

  • 弁護士は税務・会計の専門知識を持っていない
  • 弁護士も税理士も暇ではなく、一方だけでも学ぶべきことが多い

税理士の仕事をするには資格を持っているだけでなく登録が必要なのですが、税理士登録をしている弁護士は1%未満で、それも一部の税理士業務を行っている程度です。

参照:日本弁護士連合会HP「複数の資格登録をしている弁護士」「弁護士人口

税務の知識を持つことで、他の弁護士との差別化を図れる面もありますが、まずは弁護士の仕事をしっかりするというのが大前提となります。

難易度はどっちが高い?【資格取得方法】

弁護士・税理士の資格取得の難易度はどの程度なのか?気になる方が非常に多いテーマです。

資格取得の流れと併せて解説していきます。

どっちの方が難易度が高い?

結論からお伝えすると、どちらも難易度が非常に高い資格に位置づけられ、弁護士資格の方がより資格取得の難易度が高くなっています。

合格率については、弁護士が20〜33%の間で推移、税理士は20%前後で推移しています。

▼ 司法試験の合格率推移

引用:司法試験合格者の状況|日本税理士会連合会HP

税理士試験の令和3年度の合格率はこちらの国税庁HPでご確認ください。

弁護士のほうが合格率が高いので、「あれ?弁護士のほうが難易度が低い?」と一瞬思われるかもしれません。

しかしそうではありません。司法試験は限られた人しか受験できないため、このような合格率となっているのです。

弁護士資格取得の流れ

弁護士資格取得の一般的な流れは、以下のとおりです。

  1. 法科大学院で3年間あるいは2年間学んで司法試験の受験資格を取得(通えない場合は予備試験合格で受験資格取得)
  2. 司法試験合格に合格
  3. 法律事務所や裁判所で1年間研修を受けて弁護士資格取得

法科大学院に通う期間やお金も必要で、そもそも法科大学院の入学試験にも合格しなければならないので、司法試験受験者は限られてきますね。

より詳しい資格取得方法についてはこちらの日本弁護士連合会HPをご覧ください。

税理士資格取得の流れ

税理士資格取得の一般的な流れは、以下のとおりです。

  1. 大学で法律学あるいは経済学を1科目以上学ぶ
  2. 税理士試験に合格して税理士資格取得
  3. その後、税理士事務所や会計事務所で2年間実務経験を積んで税理士会に登録する必要あり

税理士試験は大学で法律学か経済学を学んでいれば受験資格がありますので、弁護士試験よりも遥かに幅広い人が受験できると言えます。

また、先ほどお伝えしたとおり、弁護士資格を取得した人は税理士資格も取得できます。

より詳しい資格取得方法についてはこちらの日本税理士会連合会HPをご覧ください。

【補足】司法書士・公認会計士試験の難易度

司法書士・公認会計士も、非常に難易度が高い資格です。

司法書士試験の合格率は3〜5%程度で、一般的には税理士試験よりも難しいと言われています。

公認会計士試験の合格率は、1次試験が20〜25%、2次試験が35〜40%程度です。しかし、試験範囲が非常に広いという難しさがあります。

収入はどっちが高い?

収入面も非常に気になる方が多いテーマです。

弁護士は高収入というイメージがありますし、税理士も比較的高収入なイメージではないでしょうか。

それでは実際のところを見ていきましょう。

収入はどっちが高い?

結論からお伝えすると、弁護士・税理士ともに就職先や個人の力量に依る部分が大きく、一概には言えません

平均収入でいえば、弁護士の方が高くなっています。

  • 弁護士・・・1,000万円前後
  • 税理士・・・700万円前後

しかしながら、平均はあくまで平均です。その中身を見ていくと、いずれも就職した事務所や企業によって大きく左右されます。

特に、事務所に所属するのではなく自分自身が事務所を開く(個人で開業する)場合は、高収入・低収入の差が非常に激しくなってきます。

弁護士でも税理士でも、高収入を得られるかは自分次第だといえるでしょう。

この記事のまとめ

この記事では弁護士と税理士のどっちに就職するのが良いのか、進路に悩む学生に向けてお伝えしてきました。

  • 【弁護士がおすすめ】社会で暮らす人々の自由や平等、人間らしい生活を守りたい
  • 【税理士がおすすめ】税務・会計の専門家として、企業や個人で商売をする人の経営をサポートしたい

この記事を参考に、ぜひ就職活動を前進させてください。

弁護士あるいは税理士として、大いに活躍されることをお祈り申し上げます。

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この記事の執筆者

末松和真

税理士法人FLAGS代表社員。税理士。 (株)FLAGSホールディングス 代表取締役 税理士として税務・会計はもちろんの事、経営支援・クラウド会計支援・融資実行・補助金に強く、幅広い知識とサービスで企業の成長を支援している。