COLUMN経営コラム

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【最新】創業融資の自己資金割合|審査通過の考え方を解説

2023.02.02

融資

事業を立ち上げる時、資金面の不安はつきものです。創業融資を受ける際も、ある程度の自己資金がないと融資を受けられません。

自己資金は何割程度用意すれば良いのでしょうか?

結論、創業融資の審査に通るための自己資金割合は、3割が目安です。

しかしこれは、あくまでも目安です。

今から、日本政策金融公庫などの創業融資を受けるための自己資金割合について、詳しくお伝えしてまいります。創業融資の審査に通過し、事業を軌道に乗せるためご活用ください。

創業融資の自己資金割合|審査に通るには

創業融資を受けるために、自己資金割合は重要な審査基準の一つです。

今から、日本政策金融公庫信用協会の自治体制度融資で創業融資を受けるための、具体的な自己資金割合を解説してまいります。

(なお、自己資金割合とは、創業時にかかる全ての資金のうち、自身で用意した資金で返済義務がないものを指します。)

日本政策金融公庫の「新創業融資制度」の場合

日本政策金融公庫の「新創業融資制度」による創業融資を受けたい場合、全創業資金のうちの3割を目安に自己資金を用意しましょう。

日本政策金融公庫が2021年に行った調査では、日本政策金融公庫が融資決定した企業の自己資金割合の平均は、約24%でした(開業1年以内の企業が対象)。

創業資金に占める自己資金割合(平均)

参照:日本政策金融公庫「2021年度新規事業実態調査」

約24%は平均ですから、創業融資を受けるための自己資金割合は3割程度を目指すのが良いでしょう。

自己資金割合の最低ラインは1割

たとえ3割程度の自己資金を用意できなくても、全創業資金の1割以上の自己資金が用意できるなら、審査要件は満たし融資を受けられる可能性があります。

▼ 審査要件

新たに事業を始める方、または事業開始後税務申告を1期終えていない方は、創業時において創業資金総額の10分の1以上の自己資金(事業に使用される予定の資金をいいます。)を確認できる方

引用:新創業融資制度の概要|日本政策金融公庫HP

審査通過の可否を分けるのは、創業計画の内容です

自己資金が少なくても創業計画の内容によっては審査に通る

創業資金に占める自己資金割合が3割に満たない場合でも、創業計画全体がしっかりしていれば、創業融資の審査に通る可能性は十分にあります。

▼ 日本政策金融公庫の方針

自己資金は重要な要素のひとつですが、それ以上に創業計画全体がしっかりしているかが重要になります。

引用:自己資金はいくらあれば融資を受けられますか?|日本政策金融公庫

審査に通る創業計画作成については、調達率100%・希望資金調達額95%の末松会計グループ創業融資サポートが全面バックアップいたします。お気軽にご相談ください(お問わせはこちら)。
※上記%は、個人信用情報に問題がある場合を除いたものです。

自己資金なしで創業融資を受けられる場合もある

たとえ自己資金なしであっても、日本政策金融公庫の創業融資を受けられる可能性があります

特定の条件に当てはまれば、自己資金の要件を満たしたものとみなされるためです。

▼ 主な条件

  • 現在の勤め先と同じ業種の事業を始める場合
  • 認定特定創業支援等事業を受けて事業を始める場合 など

参照:新創業融資制度の概要|日本政策金融公庫HP

認定特定創業支援等事業を受けて事業を始めるには

認定特定創業支援等事業を受けたい場合は、創業予定地の自治体HPを確認しましょう。

▼ 名古屋市の例
名古屋市創業支援等事業計画について|名古屋市HP

認定特定創業支援等事業については、産業競争力強化法に基づいて自治体が創業支援等事業計画を策定し、この計画によって審査されます。

審査に合格すると自治体から証明書が交付され、この証明書をもって、自己資金要件を満たしたものとされるのです。

信用保証協会を利用した「自治体制度融資」の場合

自治体制度融資を利用する場合は、自治体によって求められる自己資金割合が異なってきます(3割〜5割の間が多い)。

創業地の自治体のホームページで確認しましょう。

なお、この自治体制度融資も、日本政策金融公庫の他によく利用される、現実的な創業融資元となります。

自治体制度融資は、自治体が信用保証協会を利用して行っているものですから安心して利用できます。

創業融資において自己資金の多寡はどう受け止められるか

自己資金を多めに準備しておくに越したことはありません。

なぜなら、自己資金の多い少ないは起業への心構えとみなされるからです。

しかし先述の通り、自己資金の割合は重要ではあるものの、全てではありません。

創業計画などから、「この人のこの事業なら大丈夫だろう」と受け止めてもらえることが重要なのです。

審査で自己資金とみなされるお金・みなされないお金

最後に、具体的にどのような資金が融資審査で自己資金と認定されるのかをお伝えしてまいります。(自己資金と資本金の違いについてはこちらの記事をご覧ください)

自己資金とみなされるためには、審査の際に、預金通帳の内容や口頭説明でお金の出どころを証明できるかどうかが大切です。

▼ チェックされる主な内容

  • 自己資金かどうか(どのような経緯で得た資金か)
  • 自己資金の額
  • 信頼できるか(家賃等の支払いがいい加減でないかなど)

預金通帳については、最低半年〜1年はチェックされると考えておきましょう。

自己資金とみなされるお金

全ての創業資金の内、以下のものが自己資金として取り扱われます。

  • 自身で用意した返済義務のない資金であると証明できるもの

▼ 具体例

  • 給与から貯金したもの
  • 退職金
  • 保険の解約返戻金
  • 売却資金(売買契約書や譲渡証明書での証明が必要)
  • 贈与されたお金(条件による返還の余地がないもの)
  • 現物出資(不動産や設備など金銭以外の出資)
  • みなし自己資金(創業にあたって既に支払った資金)

とにかく証明できることが大切です。

売却・贈与などの際には、必ず契約書を作成・保管するようにしてください。

自己資金とみなされないお金

全ての創業資金の内、以下のものは自己資金ではないとみなされます。

  • 資金の出どころについて説明できないお金
  • 借入金

例えば、現金で自宅保管しているお金(いわゆるタンス預金)は、所有者の証明が難しいため自己資金とはみなされません。

対応としては、早い段階で少しずつ預金にする、起業後の運転資金に回すなどが考えられるでしょう。

この記事のまとめ

創業融資を受けるための自己資金割合の目安は、3割ということでございました。

しかし、自己資金割合が3割に満たない場合でも、創業計画全体がしっかりしていれば審査通過は可能となります。

これまでの事業経験や創業計画の実現可能性など、プラスのポイントをアピールしていきましょう。

審査通過する創業計画など創業融資のサポートは、実績豊富な末松会計グループ創業融資サポートに、お気軽にご相談ください(お問わせはこちら)。

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この記事の執筆者

末松和真

税理士法人末松会計事務所代表社員。税理士。 (株)FLAGSコンサルティング 代表取締役 税理士として税務・会計はもちろんの事、経営支援・クラウド会計支援・融資実行・補助金に強く、幅広い知識とサービスで企業の成長を支援している