COLUMN経営コラム

COLUMN経営コラム

【徹底解説】税理士を変える”全タイミング”|変更スケジュールも

2022.11.25

税務経営

経営者様が懸念されている通り、税理士は「変えたい」と思ったタイミングで変更すればうまくいくものではありません。

顧問税理士変更のタイミングによっては、新しい税理士の準備が間に合わず、決算・申告の漏れや誤りに繋がってしまいます。

この記事では、税理士を変える良いタイミングを、様々な状況に応じて徹底解説いたします。わかりやすいビジュアル付きで、視覚的なイメージも描けるはずです。

何年何月に何をすれば良いのか、具体的にスケジューリングし、スムーズに税理士変更をなさってください。

【徹底解説】税理士を変える”全タイミング”

基本的な考え方として、新しい税理士が決算・申告までに準備期間を十分に確保できるタイミングがベストです。

普通、引き継ぎに変更前の税理士は立ち会いません。新しい税理士が適切に業務を進めるためには、時間をかけて経営状況や税務処理を把握する必要があるのです。

しかし、そうも言っていられない状況が、多々あることは承知しております。実際に[税理士を変えるタイミング]はいつが良いのでしょうか?

税理士を変えるタイミング

【ベストタイミング】法人税申告書の提出直後

[税理士を変えるタイミング]として最も良いのは、法人税申告書を提出した直後です。

例えば決算月が3月であれば、3月31日の2ヶ月後、申告期限「5月31日」までには法人税申告が完了します。

税理士は月次業務などを経て、年度末に法人の財務状況をまとめ決算書を作成しますが、その決算書に基づいて最後に作成されるのが「法人税申告書」です。

法人税申告で税務署に年度の納税額を伝えてしまえば、現在の事務所にお願いする大きな業務は、もうありません。

ですから、法人税申告書を税務署に提出した直後が、最もスムーズな[税理士を変えるタイミング]だといえます。

参照:主な国税の申告期限及び納期限等|国税庁HP

【変更の工夫】旧税理士と新税理士を一時的に同時に雇う

決算直後〜法人税申告が終わるまでの間、現在の税理士と新しい税理士を同時に雇うやり方もおすすめです。

この場合、新しい税理士は決算直後、つまり新しい事業年度の開始と同時に契約開始します。

現在の税理士と新しい税理士を同時に雇うメリットは、以下のとおりです。

  • 新しい事業年度開始と同時に、新しい税理士が業務開始できる
  • 現在の税理士の決算・申告処理に問題点がないかチェックしてもらった上で、スムーズに引き継げる

一方のデメリットですが、円滑さ正確さと引き換えに数ヶ月の間、税理士料金が二事務所分かかることです。

この方法は特に、現在の税理士に不満があって税理士を変更する場合に有効ですから、ご検討ください。

【税務調査がある場合】修正申告が終わった後がベスト

提出した法人税申告書は、税務署から漏れや誤りの疑念を持たれることがあります。

税務署による調査(税務調査)の対象であるとわかった場合は、修正申告書を提出した後がベストな[税理士を変更するタイミング]です(正しい内容の申告書を提出し直したタイミング)。

修正申告は、法人税申告の漏れや誤りを修正する一連の業務ですから、法人税申告をした税理士が処理するのが最も円滑です。

さらに、新しい税理士が税務調査対応・修正申告する際に必要な「税務代理権限証書」の手続きも、税務調査が決まってからの税理士変更では間に合わないリスクが高くなります。

ちなみに、絶対ではありませんが、7月〜11月に税務調査が実施される事が多いと言われています。

税理士を変更しても、税務調査には入られない

なお、税理士を変更したからと行って税務調査に入られやすくなるという事実はありません。
税務署は、申告の漏れや間違いを見つけたいのであり、税理士が誰かなど気にしていないのです。

【その他】決算3ヶ月前〜法人税申告を外せば変更可能

税理士を変えたいとお考えの時期が、法人税申告から遠い場合もあるかと思います。

そのような場合、決算3ヶ月前〜法人税申告の期間を外していただければ、比較的スムーズに税理士を変更していただけるかと思います。

なぜ、決算の3ヶ月前〜法人税申告の期間を外すべきなのか。

それは、新しい税理士が引き継ぎに割く期間が不十分だと、決算・申告の漏れや誤りにつながってしまうからです。

実際、税理士の多くは、決算の3ヶ月前には準備に入っています。

決算3ヶ月前〜法人税申告の期間に入った場合は、現在の税理士にそのまま決算申告をお願いするのが無難でしょう。

どんな状況にあれば、税理士を変える理由になるのか?

税理士の変え時について調べておられた場合は、こちらの記事で徹底解説しております。お役立てください。
税理士を変えるか?【よくある理由と解決法】判断し現状改善へ

決算3ヶ月前〜法人税申告にどうしても税理士を変えたい場合

決算3ヶ月前〜法人税申告の期間に入っていても、条件次第で税理士変更は不可能ではありません。実際、「決算の終盤で税理士を変える事態になったが、税理士がなんとかしてくれた」というケースもございます。

基本的には難しいのですが、駄目で元々、新しい税理士に変更可能か確認してみましょう

考え方としては、法人の規模が小さいほど引き継ぎ量が少なく、変更できる可能性があります。また、税理士が忙しくない時期かどうかも重要です。

税理士を変更できる可能性(決算3ヶ月前〜法人税申告)
可能性あり
  • 税理士事務所の閑散期(多くは6月〜10月)
  • 仕事を積極的に受ける税理士事務所である(若手・事務所のスタンスなど)
  • 法人の売上規模が小さい(引き継ぎ量が少ない)
厳しい
  • 税理士の繁忙期(多くは11月〜5月)
  • 法人の売上規模が5億円超(引き継ぎ量が膨大)

税理士変更のスケジュール|「いつ」「何」をすれば良いのか?

税理士を変えても良いタイミングがわかったところで、「では具体的に、いつ、何をしたらいいのか?」の問題があります。

税理士変更に向けて、「いつ」「何」をすれば良いのかを把握し、落ち着いて税理士変更業務を進めていきましょう。

税理士変更の手順

手順①契約内容を確認し[税理士を変えるタイミング]を決める

税理士の変更を検討し始めたら、まず契約書で「契約解除できる期間」を確認しましょう。一般的に、契約期間終了の何ヶ月前までに契約解除を伝える必要があるか、定めがあります。

契約内容の確認は大切です。契約違反する形での解約になればトラブルになるからです。引き継ぎに必要な書類の返却が滞る可能性もあります。

契約内容に反しないことを確認した上で、[税理士を変えるタイミング]を決定しましょう。

手順②早めに新しい税理士を見つける

[税理士を変えるタイミング]に間に合わせるために、早めに次の税理士を見つけておかなくてはいけません

現在の税理士の契約が終わった後、税理士不在の期間ができてしまうのを防ぐためです。税理士不在期間ができると、税理士に依頼していた業務を自社で行うなど、様々苦労する必要が出てしまいます。

特に、決算・申告に時期が近い、法人の売上規模が大きい、税理士事務所が繁忙期である場合など、引き受けてくれる税理士が見つかりづらいことが予想されます。

早めの税理士探しが大切ですね。

税理士の報酬相場を把握してから、新しい税理士を探す

報酬相場や費用を抑えて効果を上げる考え方については、以下の記事をご参考になさってください。
税理士は月いくらで雇える?費用を抑えて効果を上げる方法

手順③期間内に現在の税理士に断りを入れる

契約で定められた契約解除可能期間が終わる前に、現在の税理士に断りをいれましょう

経営者様にとって、非常に気の重い手順かと思います。しかし揉めない断り方・伝え方は重要です。

決算・申告がまだなら、残りの業務を行ってもらわなければならないからです。決算・申告後であっても、次の手順④、書類返却業務を協力的に行ってもらう必要がありますよ。

具体的な断り方

こちらの記事で詳しく解説しておりますので、円満なやり取りにお役立てください。
【揉めたくない】税理士を円満に変更する断り方|コツ&トラブル対策

手順④早めに書類を返却してもらう

現在の税理士に断りを入れたら、預けていた書類をできるだけ早めに返却してもらいましょう。

「できるだけ早めに」がポイントです。

現在の税理士と揉めた場合や、現在の税理士事務所が多忙な場合、引き継ぎに必要な書類の返却がスムーズにいかないことがあるのです。

しっかり仕事をしてくれる税理士がほとんどだとは思いますが、「書類がなかなか返してもらえない」「データがもらえない」という事例も現実にあります。

普通、新旧税理士の間で直接の引き継ぎは行いませんから、書類を協力的に返却してもらうことは本当に大切なのです。

返却してもらうべき書類

  • 総勘定元帳3期分
  • 決算書3期分
  • 会社の定款
  • 登記簿謄本
  • 法定調書・償却資産申告書
  • 税務署へ過去に提出した届出書(消費税関係など)
  • 年末調整関係書類
  • 期中の会計データ(試算表、仕訳表、総勘定元帳) など

手順⑤新しい税理士が引き継ぐ

必要書類の返却を受けた後、新しい税理士が法人の経営状況や事業を正確に把握し、業務を開始します。

ここまでお読みいただけば、[税理士を変えるタイミング]が決算3ヶ月前〜法人税申告の期間になると困難が伴うことがおわかりいただけたのではないでしょうか。

最もスムーズに税理士変更できるタイミングをご検討くださいね。

【デメリット】スムーズな税理士変更に向けて注意すべきこと

税理士を変えるタイミングによって業務に支障が出るのは、税理士変更のデメリット・リスクの一つであると言えます。

その他のデメリット・リスクには、以下のものがあります。

  • 会社への理解・肌感覚は引き継げない
  • 引き継ぎがスムーズに行われない可能性がある
  • 新しい税理士にも不満を抱く可能性がある

以上3点のデメリット・リスクについて、以下の記事で解説しております。気になるものがありましたら、ご覧いただき対策をなさってください。

税理士を変えるデメリット|面倒なリスクを回避し円滑に変更する方法

この記事のまとめ

税理士を変えても良いタイミングは、以下のとおりでした。

  • 法人税申告書の提出直後がベストタイミング
  • 税務調査がある場合は、修正申告が終わった後
  • 決算3ヶ月前〜法人税申告の期間は変更が難しいが、不可能ではない

末松会計事務所は「中小企業経営者様が思い描く未来を、共に切り拓きたい」思いで、先進的なサービスを展開しております(2022クラウドアワード「クラウドマスターチャレンジ賞」受賞)。

「税理士を変える」。これもビジネスの未来を切り開く一手です。

職員一同、お力になれる日を心よりお待ちしております。

お電話でのご相談・・・052-932-0007(受付時間 平日 9:00~17:30)

メールでのお問い合わせ・・・お問い合わせフォーム

アバター画像

この記事の執筆者

末松和真

税理士法人末松会計事務所代表社員。税理士。 (株)FLAGSコンサルティング 代表取締役 税理士として税務・会計はもちろんの事、経営支援・クラウド会計支援・融資実行・補助金に強く、幅広い知識とサービスで企業の成長を支援している