COLUMN経営コラム

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住宅ローン控除のための確定申告は税理士に頼むべきか?
投稿日:2021.08.15
更新日:2023.04.21
税務
家を建てる・マンションを買うなど「住宅の取得」は人生の中で最も大きなイベントの一つです。一般的なサラリーマンにとっては、生涯で最も大きな金額を使う機会になるでしょう。
住宅を取得する際、資金の捻出には大きく3つの方法があります。
- 完全な自己資金十分な資金を持っており、それで住宅を取得する場合。
- 金融機関からの融資(住宅ローン)銀行などから住宅ローンを借りる。
- 親などからの贈与または融資親などから住宅の取得資金をもらう、または借りる。
この記事では、上記3つの場合にどのような税制上の優遇があるのか、それを利用するにはどうすればよいかを解説します。
また、そのために税理士に依頼する必要があるのか、その判断基準についても説明しています。
最後までお読みいただき、住宅取得という人生最大のイベントにお役立ていただけたらと思います。
▼ この記事の内容
住宅取得にかかわる税制上の優遇措置
住宅の取得は大変大きな金額の支出を要します。そのため、住宅取得資金の借り入れや受贈については税制上多くの優遇措置が設けられています。
簡単に言うと、住宅取得のためにお金を借りたりしたときに税金が少なくなる仕組みがあるということです。
住宅取得資金の調達方法ごとに、代表的な税制度を紹介します。
資金の調調達方法 | 税制措置 | 減税 | 主要な適用条件 | 必要な手続き |
---|---|---|---|---|
自己資金 | 完全に事故の資金で住宅を取得するときには、税制上の融合措置は基本的にはありません。 | |||
金融機関からの融資(住宅ローン) | 住宅ローン控除(所得税の減税措置) | ローン残高の1%(13年間継続控除) | 10年以上のローン・床面積50㎡以上・合計所得3,000万以下など | 確定申告 |
親などからの贈与 | 住宅取得資金贈与特例 | 1,000万(省エネ等住宅の場合1,500万)の贈与まで贈与税が非課税 | 直系尊属からの贈与・合計所得2,000万以下など | 贈与税申告 |
相続時精算課税制度 | 贈与税非課税。相続の時に課税される(通常は相続税の方が税率が低い)。 | 上限2,500万・60歳以上の父母または祖父母からの贈与・受贈者が20歳以上など | ||
親などからの融資 | 親族などから住宅の取得資金を借りる場合には、住宅ローン控除が受けられません。 |
確定申告・贈与税(申告)とは?
上記のように、住宅取得資金について税制上の優遇措置を受けるには税務署への申告が必要です。では、確定申告・贈与税申告とはどのようなものなのか、簡単に見ていきましょう。
- 確定申告とは
確定申告は、給料や事業・不動産などの収入(これらをまとめて所得といいます)のある人がそれを国に申告し、税金(所得税)を払うための手続きです。一つの会社に務めているサラリーマンなどの方は、会社が給与から天引きして税金を払ってくれているので確定申告をする必要がありません。
逆に言えば、一か所からの給与以外の収入がある方は確定申告をする必要があります(二ヶ所以上から給与がある、給与以外に不動産収入があるなど)。また、サラリーマンであっても住宅ローン控除を受ける場合は初年度に確定申告をしなければなりません。
- 贈与税(申告)とは
誰かからお金や土地などの資産を(仕事の対価としてなどではなく)無償でもらった場合、もらった方に税金がかかります。これが贈与税です。
普通はもらった金額が年間で110万円を超えると贈与税の支払い義務が生じ、贈与税申告をしなければなりません。ただし、親や祖父・祖母から子・孫などへの贈与には税金を減免するための様々な制度が設けられています。子どもが住宅を取得する資金を贈与する際の非課税制度や、生前贈与しても相続(贈与税より税率が低い)と同じに扱える相続時精算課税制度もそういった優遇措置です。こういった優遇措置を受けるには相続税の申告をする必要があります。
優遇措置適用は税理士に頼むべきか? その場合の費用は?
住宅取得のための資金にかかわる税制上の優遇措置を受けるには、確定申告や贈与税申告が必要であることはお分かりいただけたと思います。
では、そのために税理士に依頼する必要があるのか、3つのケースで考えてみたいと思います。
- 既に税理士と契約している個人事業主や会社経営者など
税理士にいつも確定申告を依頼している人は、住宅ローン控除だけ自分で処理することなどできません。顧問税理士に依頼しましょう。追加の料金は0~数万円と思われます。
贈与税についても同様で、顧問税理士に内緒で贈与税申告をしていいことなどひとつもありません。顧問税理士がいるなら、親からお金をもらう、子供や孫に贈与するといった行動に移る前に必ず相談するようにして下さい。 - サラリーマンで時間のある人
確定申告などに触れたことがないという方でも、住宅ローン控除くらいの申告であれば自分で行うことも可能です。ただ、必要書類や適用条件などを入念に調べたり、税務署に確認したりという手間はかかります。現在ではe-taxなどweb上の環境も整っており、確定申告書の作成そのものは難しくなくなっています。
贈与税の申告書もweb上で可能です。しかし、どちらも初めての人にとってはやはり難しい作業となります。
時間に余裕のある方はトライしてみるのもいいとでしょう。きちんと税務署等と話し合いながら時間をかけてやれば、失敗することはまずありません。 - サラリーマンで時間のない人
自分ではできない・したくないという方は、やはり税理士に依頼することになります。一例を言えば、サラリーマンの方で住宅ローン控除だけの申告を依頼される場合、税理士への報酬はおおよそ1.5万~数万円程度です。
住宅ローン控除のだけなら、確定申告は最初の1回だけでいいので(次年度からは勤務先の年末調整で処理できます)、毎年税理士に依頼する必要はありません。
自分で申告する場合にはこんなことに注意!
税法は複雑で、素人には分かりにくいところがあります。また、優遇措置などは年々変わっており、ネットの情報(古いブログ記事など)を参考にして判断すると間違ってしまう可能性が高くなります。税理士に依頼せず、個人で申告を行うときには必ず税務署に問い合わせるなど確実な方法をとるようにしましょう。
住宅取得にかかわる税理士の探し方3つを紹介!
自分では申告できないから税理士に依頼したいと思っても、どの税理士に依頼したらいいのか分からないという方も多いと思います。
住宅取得資金にかかわる税制上の優遇措置を受ける場合の税理士の探し方を3つ紹介します。
- 個人的なコネクション
知り合いに税理士がいれば話は簡単です。知人に自分の経済事情を知られたくないという気持ちが壁になることがありますが、プロの税理士は絶対の守秘はもちろん、知人・友人・親戚であっても他人の財布の中身など職務以外ではまったく気にしません。
- 金融機関に紹介してもらう
住宅資金を借りる金融機関に税理士を紹介してもらうことも考えられます。だいたいの金融機関は地元の税理士とのコネクションを持っていますので、適切な税理士を紹介してくれるでしょう。
- 建設会社や不動産会社から紹介してもらう
住宅を買う相手(建設会社や不動産会社)などから税理士を紹介してもらう方法もあります。特に不動産会社は住宅にかかわる税金に詳しい税理士と契約している場合が多く、間違いのない税理士を紹介してくれます。
まとめ:「サラリーマンの住宅ローン控除だけ」なら自分で確定申告するのもあり。
住宅ローン控除だけを受けるのであれば、確定申告は1回で済みますし、自分でするのもそう難しくはありません。税務署などに相談しながら申告してみるのもいいでしょう。
ただ、給料以外にも所得があったり、住宅資金の一部を親から援助してもらっているなどちょっとでも変わった事情があったり、不安なことがある場合には税理士に相談することをお勧めします。
当事務所では住宅ローン控除のご相談も承っております。ぜひ、お問い合わせフォームまたはお電話にてご相談ください。
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