COLUMN経営コラム

COLUMN経営コラム

会社設立の流れを解説!必要な手続きと準備すべきポイント

投稿日:2024.11.11

更新日:2025.04.16

経営

会社を設立することは、夢の実現に向けた大きなステップです。しかし、事業を始めるには法律的な手続きや準備が欠かせませんが、多くの人にとって初めての経験であり、その具体的な流れや手続きについてわかりづらい部分が多いでしょう。

本記事では、会社設立の各ステップを具体的に解説し、必要な手続きや準備事項を詳細に説明していきます。これから会社を設立する方や、個人事業主からの法人成りを検討されている方は、ぜひ参考にしてみてください

会社設立の全体像を把握しよう

会社設立は、多くのステップを踏む必要があり、各段階での細かな作業が求められます。会社を設立する際には、まず事業形態を選び、必要な書類を整備し、法務局での登記手続きまでを完了することが基本的な流れとなります。

この全体像を理解することで、具体的に何をすべきか、どの順番で進めるべきかが見えてきます。以下で詳しく説明していきます。

会社設立の基本ステップと全体の流れ

会社設立の基本ステップは以下のように進みます。最初に会社形態を選定し、その後、定款の作成、資本金の決定、登記申請という流れです。これに加え、税務署や社会保険の手続きなども発生します。これらの手続きを計画的に進めるためには、スケジュールを立て、必要な期間や手続きに関する法的な要件を事前に確認することが重要です。

特に定款作成や登記は、法律に基づいた内容でなければ認められないため、慎重な対応が必要です。

会社設立に必要な期間と大まかな準備

会社設立にかかる期間は、個々の作業スピードや選択する手続き方法により異なりますが、通常、会社形態の決定から登記完了までに1ヶ月から1ヶ月半程度かかります。

特に電子定款を使用する場合、定款認証のスピードが早まるため、紙定款よりも短期間で完了することができます。準備段階では、まず会社名や所在地、事業目的などの基本的な事項を決定し、それに基づいて書類を整えていきます。このプロセスでは、法律や税務に詳しい専門家に相談することが推奨されます。

会社設立に必要な費用の詳細については、下記の記事をご確認ください。

会社設立にかかる費用は?必須費用から節約方法まで徹底解説

会社の形態を選ぶ:株式会社・合同会社・個人事業主の違い

会社設立の際にまず決定すべき重要な要素は、どの会社形態を選ぶかです。日本では主に「株式会社」「合同会社」「個人事業主」の選択肢があります。それぞれに特徴があり、事業の性質や今後の展開に合わせて適切な形態を選ぶことが求められます。以下で詳しく説明していきます。

会社形態の種類とその特徴

株式会社は、株主が出資して会社を運営する形態であり、株式を発行することで資金を集めることが可能です。一方、合同会社は出資者がそのまま経営に携わる形態で、株式会社よりも設立コストが低く、柔軟な運営が可能です。また、個人事業主は法人ではなく、個人として事業を運営するため、税務手続きが比較的簡易である反面、個人の責任が大きくなります。

株式会社、合同会社、個人事業主の比較

株式会社は、資金調達能力が高い一方、経営の透明性を求められ、株主総会や取締役会の開催が義務付けられています。合同会社は、経営と所有が一体化しているため、意思決定が迅速に行えますが、外部からの資金調達は難しい傾向にあります。個人事業主は、設立や運営がシンプルですが、所得に応じた税負担が大きくなることがあります。

自分に適した会社形態を選ぶ基準

事業の規模や将来的な発展性、資金調達の必要性を考慮し、自分に適した会社形態を選ぶことが重要です。例えば、将来的に上場や大規模な資金調達を目指す場合は株式会社が適していますが、少人数で迅速に経営を進めたい場合は合同会社が適しています。

また、初期コストを抑えたい場合には個人事業主として事業をスタートし、後に法人化することも一つの選択肢です。

会社設立に必要な書類と準備

会社設立には、さまざまな書類を準備しなければなりません。これらの書類は、登記手続きや法的な要件を満たすために必要であり、正確かつ迅速に整えることが求められます。

特に定款は会社の基本情報を記載した重要な文書です。以下で詳しく説明していきます。

定款の作成方法:電子定款と紙定款の違い

定款は、会社の設立において不可欠な書類です。これには会社名、所在地、事業内容などが記載され、会社の基本的な運営方針が定められます。作成には紙定款と電子定款の2つの方法があり、電子定款を使用すると、印紙税の免除を受けることができるため、コストを削減できます。

ただし、電子定款を作成するには、特別なソフトウェアや電子署名が必要になるため、その準備も必要です。

会社の基本情報(商号、所在地、目的)の決定

会社設立の第一歩は、会社の商号(名前)、所在地、事業目的を決定することです。商号は自由に決められますが、他社との重複がないかを事前に確認する必要があります。

また、所在地は事業を行う拠点となる場所であり、事業の性質によっては特定の場所に適した免許や許可が必要となる場合があります。事業目的も、具体的かつ広範囲に設定することで、将来の事業展開に柔軟に対応できるようにしておくことが望ましいです。

登記に必要な書類一覧とその取得方法

登記を行うためには、定款をはじめ、発起人の印鑑証明書や資本金の払い込み証明書など、複数の書類が必要です。これらの書類は法務局に提出され、会社設立の正式な手続きが行われます。印鑑証明書は市区町村役場で取得でき、資本金の払い込みは金融機関の証明を受ける必要があります。書類の不備があると登記が遅れる可能性があるため、事前に確認を徹底することが重要です。

定款認証と登記手続き

会社設立における重要なステップの一つが、定款認証と登記手続きです。定款は会社の設立目的や基本情報を記載した公式文書であり、公証役場での認証が必要です。その後、法務局への登記手続きが行われ、正式に会社として認められます。これらの手続きは法律に基づいて行われ、設立手続き全体の中でも重要な役割を果たします。以下で詳しく説明していきます。

公証役場での定款認証手続きの流れ

定款認証は公証役場で行われる手続きで、これによって会社の定款が法的に有効となります。電子定款を利用する場合は、事前に電子証明書を取得し、定款の作成を行います。紙定款の場合、印紙税として4万円の費用がかかりますが、電子定款を利用するとこの費用が免除されるため、コスト削減につながります。公証役場においては、必要な書類とともに定款を提出し、公証人による確認を経て認証が完了します。この手続きが完了すると、次に登記申請に移ることができます。

登記申請書類の準備と法務局への提出手続き

定款認証後は、法務局に対して会社の設立登記を申請する必要があります。この際に必要な書類は、定款認証済みの定款、発起人や代表取締役の印鑑証明書、資本金の払込証明書などです。これらの書類は、正確に準備しなければならず、不備があると登記が遅延する可能性があります。登記申請は、法務局に直接持参するか、郵送で提出することが可能ですが、近年はオンライン登記も普及しており、電子申請を利用することで手続きの迅速化を図ることができます。

登記完了までにかかる期間と確認すべきポイント

登記が完了するまでには、通常1週間から2週間程度かかります。法務局での審査が行われ、問題がなければ会社設立の登記が完了します。登記完了後には、会社の登記簿謄本を取得することができ、これをもって銀行口座の開設や税務署への届け出を行うことが可能となります。登記が完了した時点で会社は法的に存在することとなり、正式に事業を開始することができます。

ただし、登記内容に間違いがないかを事前に確認することが重要です。例えば、会社名や所在地、事業目的に誤りがあると、再度手続きを行う必要が生じる可能性があります。

資本金の設定方法と資金調達の考え方

資本金の設定は、会社設立において非常に重要な決定事項です。資本金は、会社の信用度や事業展開に大きく影響を与えるため、慎重に設定する必要があります。

また、資金調達方法も多様で、自己資金だけでなく融資や出資を活用することが可能です。これらを総合的に考慮して、設立時の資本金を決定することが重要です。以下で詳しく説明していきます。

資本金額の設定に影響する要素

資本金の額を決定する際には、いくつかの要素を考慮する必要があります。まず、会社が必要とする初期投資額や運転資金を計算し、それに見合った資本金を設定することが基本です。

また、取引先との信頼関係を築くためにも、適切な資本金の設定が重要です。特に、資本金が低すぎると信用を損なう可能性があるため、事業規模や業種に応じて適切な金額を設定することが求められます。

さらに、資本金額が税務面にも影響を与えるため、税理士と相談しながら決定することが推奨されます。

資金調達方法(自己資金、融資、出資)の選択肢

資金調達方法には、自己資金、融資、出資の3つの主要な選択肢があります。自己資金は、創業者が自身で用意する資金ですが、限度があるため、多くの場合、融資や出資を併用することが一般的です。銀行からの融資は、ビジネスプランや信用状況に基づいて審査されるため、事業計画書をしっかりと準備して臨むことが重要です。

また、投資家からの出資を受けることで、資本を強化し、事業展開を加速させることも可能です。これらの方法を組み合わせることで、設立後の資金繰りを安定させることができます。

設立後の資金繰りを考慮した資本金の決め方

会社設立後にスムーズに運営を進めるためには、資金繰りの計画が不可欠です。設立時の資本金は、その後の事業運営に大きな影響を与えるため、短期的な運転資金だけでなく、長期的な資金需要も考慮して設定する必要があります。

特に、資金繰りが厳しくなると、事業の成長が停滞するリスクがあるため、余裕を持った資本金設定が求められます。

また、銀行との取引や融資の際にも、資本金の額が重要視されるため、適切な資本構成を維持することが重要です。

会社設立後に必要な手続き一覧

会社設立が完了しても、事業を正式に開始するためには、各種手続きを行う必要があります。これには、税務署への法人設立届出や、社会保険・労働保険の加入手続きなど、複数の重要な手続きが含まれます。これらを漏れなく行うことで、法的に正当な運営を行うことができます。以下で詳しく説明していきます。

税務署への法人設立届出書の提出

会社設立後には、税務署への法人設立届出書の提出が必要です。この手続きは、会社設立後1ヶ月以内に行う必要があり、提出書類には登記事項証明書や定款、株主名簿などが含まれます。これにより、税務上の会社としての登録が完了し、法人税や消費税、その他の税務手続きが行われるようになります。

また、事業年度の設定や青色申告の申請もこのタイミングで行うことが一般的です。

社会保険・労働保険の加入手続きと注意点

従業員を雇用する場合、社会保険や労働保険への加入が必要です。これには、健康保険や厚生年金保険、労災保険、雇用保険などが含まれます。これらの手続きは、会社設立後5日以内に行う必要があり、未加入の場合には罰則が科せられる可能性があります。

さらに、従業員を雇用しない場合でも、代表者自身の健康保険や年金について考慮する必要があり、国民健康保険から社会保険に切り替えるなど、適切な対応が求められます。

銀行口座の開設と印鑑の登録手続き

会社設立後は、会社名義の銀行口座を開設することが必要です。これにより、事業取引や資金管理を効率的に行うことが可能になります。銀行口座の開設には、会社の登記簿謄本や印鑑証明書が必要となり、事前にこれらの書類を準備しておくことが重要です。

また、会社印の登録も行う必要があり、登記手続きの際に使用した印鑑を正式に登録することで、今後の重要な書類や契約時に活用されます。

会社設立に役立つ専門家の選び方

会社設立は多くの手続きが伴い、法律や税務に関する専門知識が求められます。そのため、適切な専門家のサポートを受けることが、スムーズな会社設立につながります。ここでは、会社設立に関連する専門家の役割や、相談すべきタイミング、さらに無料相談の活用方法について詳しく説明します。

会社設立における司法書士や税理士の役割

会社設立においては、司法書士や税理士といった専門家が重要な役割を果たします。司法書士は、会社の登記手続きや定款の作成・認証に関する業務を行います。

特に、登記手続きは法的な知識が必要であり、書類の不備があれば設立が遅れる可能性があります。そのため、司法書士に依頼することで、正確かつ迅速な手続きを実現できます。

一方、税理士は税務面でのサポートを行います。法人設立後には、法人税や消費税、所得税などさまざまな税務申告が必要となります。税理士は、適切な節税対策や会計処理のアドバイスを行い、事業の安定的な運営を支援します。

特に創業時は資金繰りが厳しくなることが多いため、税理士のアドバイスを受けることで、無駄な支出を抑えることが可能になります。

どのタイミングで専門家に相談すべきか

専門家への相談は、会社設立の初期段階から行うことが推奨されます。

特に、会社形態の選定や資本金の設定に関するアドバイスを受けることで、設立後のトラブルを未然に防ぐことができます。具体的には、事業計画の段階で税理士に相談し、適切な資金調達方法や税務面の対策を検討することが重要です。

また、登記手続きの際には司法書士のサポートを受けることで、必要な書類や手続きの流れをスムーズに進めることができます。設立後も定期的に専門家に相談することで、法改正や税制変更に対応するための情報を得られ、事業運営に役立てることができます。

特に創業初期は、売上や経費の管理が重要となるため、専門家のアドバイスを受けることで経営の安定を図ることが可能です。

無料相談を提供している公的機関の活用

会社設立に関する専門家に依頼することは重要ですが、費用がかかるため、事前に無料相談を活用することも一つの方法です。多くの公的機関や商工会議所では、創業支援の一環として無料相談を提供しています。これらの機関では、起業に関する基本的な知識や手続きについてのアドバイスを受けることができ、初めての方でも安心して相談することができます。

さらに、地域によっては、専門家による無料相談会が定期的に開催されている場合もあります。こうしたイベントに参加することで、実際の会社設立の流れや注意点について、専門家から直接アドバイスを受けることができるため、非常に有益です。初めての会社設立を考えている方は、これらの機会を利用して、情報収集やネットワーキングを行うことが重要です。

よくある質問(FAQ)

ここでは、会社設立に関してよく寄せられる質問に対して、具体的な回答をまとめました。これにより、疑問を解消し、スムーズな設立準備を進める手助けをします。以下で詳しく紹介していきます。

「個人事業主から法人化するタイミングは?」

個人事業主から法人化するタイミングは、事業の成長や収益が一定の規模に達した時点が一般的です。具体的には、売上が年間1000万円を超える場合や、複数の従業員を雇用する場合に法人化を検討することが多いです。法人化することで、社会的信用が向上し、融資や取引先との関係を構築しやすくなります。

また、法人としての利益が増加した場合、個人事業主としての税負担を軽減できるメリットもあります。

しかし、法人化には設立手続きや維持費がかかるため、慎重に検討する必要があります。

「定款に記載すべき内容は?」

定款には、会社の基本情報や運営方針に関する重要な内容を記載する必要があります。具体的には、商号、事業目的、所在地、資本金、株式に関する事項などが含まれます。

また、運営のルールを定めるため、株主総会や取締役会に関する規定、利益配分の方法についても記載することが求められます。定款は、会社の運営に関する基本的な規則を示す重要な文書であるため、正確かつ明確に作成することが重要です。これにより、将来的なトラブルを未然に防ぐことができます。

「会社設立後すぐに必要な手続きとは?」

会社設立後には、いくつかの手続きを迅速に行う必要があります。まず、税務署への法人設立届出書の提出が求められ、次に社会保険や労働保険の加入手続きが必要です。

さらに、銀行口座の開設も早急に行うべき手続きの一つです。これらの手続きは、会社の運営を円滑にするために欠かせないものであり、特に設立から1ヶ月以内に行う必要があるため、計画的に進めることが大切です。

まとめ

本記事では、会社設立の各ステップに必要な手続きや準備事項について解説しました。会社設立は、多くの手続きと準備が必要な重要なプロセスです。会社形態の選定から始まり、定款の作成、登記手続き、さらには設立後の各種手続きに至るまで、全てが会社の将来に影響を与える要素となります。専門家のサポートを受けながら、しっかりとした準備を行うことで、円滑な会社設立とその後の事業運営を実現できます。

特に、初めて会社を設立する方は、各ステップでの注意点や確認事項を理解し、計画的に進めることが成功への鍵となります。

FLAGSグループは、名古屋市で50年以上にわたり、中小企業の継続的な発展を支援しています。税理士・司法書士・社会保険労務士・弁護士・中小企業診断士を含む若手専門家集団がパートナーとなり、税務署、県・市町村へ開業の届出、社員を雇用したことによる労務関係の届出など、法人設立に関連した各種手続きをワンストップで解決します。

これから会社を設立する方や、個人事業主からの法人成りを検討されている方は、お気軽にお問い合わせください。

併せて読みたい:

飲食店を開業するには?必要な資格や手続きについて解説

飲食店開業を目指すなら飲食人大学!|寿司職人学校 飲食人大学

アバター画像

この記事の執筆者

末松和真

税理士法人FLAGS代表社員。税理士。 (株)FLAGSホールディングス 代表取締役 税理士として税務・会計はもちろんの事、経営支援・クラウド会計支援・融資実行・補助金に強く、幅広い知識とサービスで企業の成長を支援している。