COLUMN経営コラム

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クラウド会計ソフトに使えるIT導入補助金とは?活用について詳細解説

投稿日:2024.07.19

更新日:2024.07.25

税務経理補助金助成金クラウド

クラウド会計ソフトを導入して業務の効率化を図りたい方の中には、役に立つ制度としてIT導入補助金を利用したい人もいますよね。

しかし「IT導入補助金って名前は知っているけど仕組みが分からない」「補助金を使ってどんなクラウド会計ソフトが導入できるの?」など、様々な疑問を持たれている方もいるでしょう。

本記事では、IT導入補助金で導入できるクラウド会計ソフトを紹介するとともに、IT導入補助金の仕組みや申請方法、会計ソフトを含むITツールの検索方法なども詳しく解説します。

なお、当記事はIT導入補助金2024の公式サイトにある5つの補助金のうち、「通常枠」及び「インボイス枠(インボイス対応類型)」をベースに作成しているのでご留意下さい。

IT導入補助金が使える会計ソフト

IT導入補助金では事業者が補助を受けて導入できる対象にITツールがあり、そのひとつが会計ソフトです。

具体的にIT導入補助金で導入できる会計ソフトとしては、マネーフォワードクラウド会計、freee会計、弥生会計、やよいの青色申告など多数あり、いずれも仕訳の自動化や確定申告が簡単にできる会計ソフトです。

上記のクラウド会計ソフトはすでに多くの企業で導入・活用されているソフトウェアですが、IT導入補助金では、ビジネスで一般的に使用されている会計ソフトが補助の対象となっています。

この他にも、会計ソフトには農業や建設業等、特殊な業種に特化した会計ソフトもありますが、これらのソフトウェアもIT導入補助金が利用できます。

IT導入補助金を活用して会計ソフトを導入したい会社や個人事業主はぜひ利用をご検討下さい。

5千円や1万円などの5万円以下の会計ソフトも申請できる

IT導入補助金2024では、5万円以下の会計ソフトも申請可能です。

IT導入補助金で会計ソフトを申請できる枠としては2つあり、それが「通常枠」と「インボイス枠(インボイス対応類型)」です。

そのうち「インボイス枠(インボイス対応類型)」に申請すると、補助枠に下限がないため5万円以下の会計ソフトでも補助されます。

【会計ソフトを申請できる2つの枠の概要】

項目インボイス枠(インボイス対応類型)通常枠
補助金額下限なし~350万円以下5万円~450万円以下
補助率2/3、3/4、4/5以内のいずれか ※事業規模や会計ソフトの機能数による1/2以内
補助対象経費・ソフトウェア購入費(インボイスに対応し、会計、受発注、決済等の機能を有するもの) ・オプション ・役務 ・ハードウェア関連費・ソフトウェア購入費 ・クラウド利用費(クラウド利用料最大2年分) ・オプション ・役務

参照先:補助対象について|IT導入補助金2024

上記の概要によれば、通常枠利用の場合、会計ソフトだけで申請するなら最低10万円以上の会計ソフトを申請する必要があります。

なぜなら通常枠での最低補助金額は5万円であり、補助率1/2から逆算すれば10万円以上の会計ソフトの申請を要するからです。

一方でインボイス枠(インボイス対応類型)を申請すれば、最低補助金額が設定されていないので、5千円や1万円の会計ソフトでも申請できます。

その他にもインボイス対応類型から申請すれば、複数の枠が設定されているため、会計ソフトに加えて、ハードウェア関連費も補助され、パソコンやタブレット等も申請できます。

【インボイス枠(インボイス対応類型)/PC・ハードウェア等(一部抜粋)】

補助対象補助率補助額
PC・タブレット等1/2以内10万円以下

参照先:補助対象について|IT導入補助金2024

IT導入補助金を利用するためには

IT導入補助金の補助を受けて会計ソフトを導入するには、申請者(補助事業者)が補助金の仕組みをきちんと理解しておく必要があります。

なぜならIT導入補助金の仕組みを理解していないと、会計ソフトを申請しても交付決定がなされない可能性があるからです。

IT導入補助金の仕組み

IT導入補助金とは、中小企業や小規模事業者(個人事業主含む)等の労働生産性の向上を目的に、業務効率化やDX化に向け、各種ITツール(ソフトウェア・クラウドサービス・ハードウェア等)の導入を資金的に一部補助して支援する制度です。

なお、補助金を申請する際には、IT導入補助金事務局に事前に登録されたIT導入支援事業者のサポートを必要とします。

画像引用元:申請・手続きの概要|IT導入補助金2024

どのような人が申請可能なのか

IT導入補助金2024はどのような方が申請できるかというと、補助金の対象事業者(法人及び個人事業主)であり、それぞれの希望枠に対して申請要件を満たしている方です。

またIT導入補助金の補助対象経費に係り、会計ソフトはIT導入補助金の「IT検索ツール」に登録されている会計ソフトのみ申請できます。

同じ会計ソフトでも、「IT検索ツール」に登録されていないソフトウェアはIT導入補助金の対象外となりますので注意が必要です。

参照先:ITツール・IT導入支援事業者検索(コンソーシアム含む)| IT導入補助金2024

IT導入補助金の補助対象者とは

IT導入補助金2024では以下の5つの枠が準備されています。

  • 通常枠
  • インボイス枠(インボイス対応類型)
  • インボイス枠(電子取引類型)
  • セキュリティ対策推進枠
  • 複数社連携IT導入枠

このうち、複数社連携IT導入枠を除いて、補助対象となる事業者は、資本金や常時雇用の従業員が一定以下の中小企業と常時雇用の従業員が一定以下の小規模事業者(個人事業主含む)になります。

いわゆる大企業と関連のない事業者(※)や、一定の事業規模を満たす中小企業等がIT導入補助金の補助対象になれるのです。

(※)大企業が株式の1/2以上を持つ子会社や関連会社は補助対象外

以下の2表はIT導入補助金の通常枠、インボイス枠等の補助対象となる中小企業者、小規模事業者の範囲を示しています。

【中小企業者等の定義】

業種資本金または出資金従業員数(常勤)
製造業、建設業、運輸業3億円以下300人以下
卸売業1億円以下100人以下
サービス業 (ソフトウェア業、情報処理サービス業、旅館業等除く)5,000万円以下100人以下
小売業5,000万円以下50人以下
ゴム製品製造業(一部、タイヤ、チューブ、ベルト製造業除く)3億円以下900人以下
ソフトウェア業、情報処理サービス業3億円以下300人以下
旅館業5000万円以下200人以下
上記以外の業種3億円以下300人以下

これ以外に、医療法人、学校法人、NPO法人等においても、一定の要件を満たせばIT導入補助金の補助対象となります。(常時使用する従業員の数が300人以下)

【小規模事業者の定義】

業種従業員数(常勤)
宿泊業、娯楽業20人以下
商業、その他サービス業5人以下
製造業その他20人以下

なお、小規模事業者の定義において、会社役員、個人事業主は常時雇用する従業員には該当しませんのでご注意下さい。

参照先:IT導入補助金2024公募要領|通常枠|サービス等生産性口上IT導入支援事業事務局

IT導入補助金の申請方法

IT導入補助金2024の申請方法について、その流れを大まかに解説します。

募集要項や制度の趣旨について確認

IT導入補助金の申請予定の中小企業・小規模事業者は、まずIT導入補助金2024事務局の公式サイトにアクセスして補助金の募集要項や制度の趣旨について確認します。

そしてサイト内にある申請・導入までの流れを大枠でつかんでおきます。

以下が公募要領等の確認~交付申請~ITツール導入~補助金交付までの流れです。

画像引用元:申請・手続きの概要|IT導入補助金2024

画像引用元:申請・導入までのフロー| IT導入補助金2024

IT導入支援事業者やITツールを選択

上記プロセスのSTEP4において、申請事業者は、IT導入支援事業者とのマッチングやITツールの選定を行います。

ここでIT導入支援事業者とは、補助事業者がITツール等を導入するにあたり、サポートを行うITベンダーやサービス事業者のことで、事業者のパートナーとして補助事業全般に渡り支援活動を行います。

なお、IT導入支援事業者になるには、事前にIT導入補助金2024事務局に登録申請を行い、採択される必要があります。

またIT導入支援事業者、ITツールを探す際には、以下の「ITツール・IT導入支援事業者検索」を利用します。

参照先: ITツール・IT導入支援事業者検索(コンソーシアム含む)| IT導入補助金2024

ITツールの選択

IT導入補助金で補助の対象となる会計ソフトは「ITツール検索」で探せます。

すでに自社が導入したい会計ソフトの名前が決まっている場合、「ITツール検索」の「ツール名から探す」に購入したい会計ソフトの名前を入力すれば見つけられます。

また「ITツール検索」では、補助事業者が決定済みの会計ソフトだけでなく、複数の会計ソフトが検索できるので、様々な条件を詳しく設定して、よりよい会計ソフトがないか、探してみて下さい。

たとえば、インボイス対応の会計ソフトを探したいなら、「要件/目的から探す」の「インボイス枠」のタブをクリックして「インボイス対応類型」の「会計・財務ソフトウェア」にチェックを入れて検索します。

さらにインボイス対応類型はハードウェアとの同時申請が可能なので、下部にあるハードウェアの項目にチェックを入れると、会計・財務ソフトウェア関連のハードウェア(PC・タブレット等)が検索できます。

また「ITツール検索」を活用すると、探したい会計ソフトに加えて、その会計ソフトを取り扱しているIT導入支援事業者がセットで表示されてきます。

導入目的の会計ソフトとIT導入支援事業者が同時に見つけられるので効率的です。

IT導入支援事業者の選択

IT導入支援事業者は上記のような探し方も可能ですが、「ITツール検索」の「ITツールを探す」タブを「IT導入支援事業者を探す」タブに切り替えることで直接に検索できます。

直接、IT導入支援事業者名を入力して探すほか、「要件/目的から探す」で絞り込むことも可能です。

たとえば「要件/目的から探す」から「インボイス枠」のタブを開き、「会計・財務ソフトウェア」にチェックを入れ検索すると、該当する会計ソフトを取扱いしているIT導入支援事業者が複数出てきます。

IT導入支援事業者と連携し申請する

IT導入補助金は補助事業者が単独で申請して審査を通過できる補助金ではありません。

かならずIT導入支援事業者の支援を必要とします。

IT導入補助金で会計ソフトを導入する際には、IT導入支援事業者と必ず二人三脚で手続きを進めなければならないことをしっかり押えておきましょう。

支援の一例として、補助事業者がIT導入支援事業者に連絡を入れると、IT導入支援事業者は事業者が補助事業の対象となるか、申請要件を満たしているかを確認します。

なぜならIT導入補助金においては、申請要件を満たさない事業者が申請しても最初の段階で不採択となってしまうからです。

またIT導入補助金のルールとして、事業者が申請を行う際には、必ずIT導入支援事業者から「申請マイページ」のリンクを受け取り、その欄から行うことになっているのでご注意下さい。

以上のように、IT導入補助金で会計ソフトを導入する手続きにおいては、補助事業者は必ずIT導入支援事業者と連携して行います。

クラウド会計ソフト導入とIT導入補助金の賢い使い方

最後にクラウド会計ソフトの導入に係るIT導入補助金の賢い使い方について解説します。

補助金ありきでなく自社の理想型から逆算してツール等を選定する

IT導入補助金に関しては、会社の実態を無視して補助金ありきで使うのでなく、ITツール等を使って「会社が将来どうあるべきか」「どのように業務改善につなげるか」等の理想型から逆算して、必要なツール等を選定した上で導入費用軽減のため補助金を活用すべきです。

ここで自社の理想型とは、具体的には、インボイス制度に対応した会計ソフトや受発注ソフト等を導入して業務の効率化を図りたい、自社の課題に合ったITツールを導入して業務改善を図りつつ売上をさらにアップしたい、などの明確な目標をいいます。

最初に事業者に達成すべき明確な達成目標があってこそ、ツール選定もうまくできて、IT導入補助金も活きてくるのです。

クラウドの活用・DXのポイントは導入支援の活用がカギ

クラウド会計ソフト等のITツールを自社に導入しただけではDX(デジタルトランスフォーメーション)とはいえません。

クラウド化は単なる業務のデジタル化のひとつです。

クラウド会計を自社で導入したまではいいものの、むしろ従業員の会計知識やITリテラシーが少ないことによって、逆に業務負担が増加したり、誤った使用をされてしまったりする可能性もあります。

一方ITツールを導入して、その後の初期設定や業務上のフロー構築、運用までフォローできれば確実にDXは推進されます。

そしてIT導入補助金の補助対象には、上記の導入時の一連の作業費も含まれています。

たしかにITツールの費用のみの方が会社の経費負担は少なく済むでしょう。

しかし上記のような経営上の懸念を回避して経営を効率化させるためには、フロー構築やリテラシー教育等を含む一連の作業に係る投資は必要不可欠なものといえます。

ITツールを導入後の効果を最大化させるためにも、IT導入支援事業者のようなプロによる導入支援の活用は重要です。

クラウド会計ソフトと一緒に導入すべきツール

IT導入補助金を活用してクラウド会計ソフトを導入する場合、一緒に導入すべきツールには以下のようなものがあります。

  • インボイス制度に対応した「受発注ソフト」「決済ソフト」
  • オプション(機能拡張、データ連携ツール、セキュリティ)
  • 役務(導入コンサルティング、導入設定、マニュアル作成、導入研修、保守サポート)
  • PC・タブレット等のハードウェア(ただしハードウェアのみの単独申請は不可)

さらに自社資金に余力があれば、上記以外にも、業務効率化や売上アップにつながるソフトウェアやシステムの追加導入を検討しても良いでしょう。

まとめ

会計ソフト導入に使えるIT導入補助金2024の制度概要や活用方法について説明するとともに、DXまでつながるクラウド会計ソフトを、補助金を活用して自社にどのように採り入れていくかまで詳しく解説しました。

IT導入補助金が採択されるためには、提出する申請書類の内容が厳しく問われることになるので、どうしてそのITツールを選択したかの根拠や導入後の効果など、説得力ある情報の記載が必要です。

そのためにもIT導入支援事業者のサポートは欠かせません。

IT導入補助金を利用して自社に適切なクラウド会計ソフトを導入できれば、当初に期待した様々な効果も時間の経過とともにやがて実現することでしょう。

本記事ではIT導入補助金で導入できる有名なクラウド会計ソフトもいくつか紹介しましたので、ぜひ利用して頂き各業務の効率化につなげて下さい。

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この記事の執筆者

末松和真

税理士法人FLAGS代表社員。税理士。 (株)FLAGSホールディングス 代表取締役 税理士として税務・会計はもちろんの事、経営支援・クラウド会計支援・融資実行・補助金に強く、幅広い知識とサービスで企業の成長を支援している。