COLUMN経営コラム

COLUMN経営コラム

クラウド会計給与計算ソフトとは?機能~メリット・デメリットを解説
投稿日:2024.07.18
更新日:2024.07.18
税務経理クラウド
皆さん方の企業では、従業員の給与の管理や計算にどんな方法を使っていますか。表計算ソフト、Excelを使っている企業もあるでしょう。
しかし、もっと便利な方法があります。それが給与計算ソフトの利用です。今回は、この給与計算ソフトの機能やメリット・デメリットを詳しく解説しますから、納得できたらぜひ使ってみてください。
この記事を執筆しているのは各分野のプロフェッショナルが在籍する団体です。権威ある人たちが執筆を担当しているので、内容は確かです。
▼ この記事の内容
給与計算ソフトとは?
まずは、給与計算ソフトの基本的な特徴を解説しましょう。
従業員の勤怠情報と紐付けて給与計算を行えるツール
給与計算ソフトは従業員の勤怠情報に連動して、給与計算ができるソフトです。
従業員の給与を自動で算出してくれて、適切な給与を支給できるようになっています。
従業員のマイナンバーを安全かつ効率的に収集や管理!社会保険料や税金の計算、年末調整などの対応もお任せ!
給与計算ソフトでは、従業員のマイナンバーの収集や管理を安全かつ効率的に行います。。そのほか、給与計算では欠かせない社会保険料や税金の額の計算、年末調整にも対応可能。
つまり、給与管理・計算に関わる様々な業務がこれ一つでできるということです。
給与計算ソフトの主要機能
給与計算ソフトの基本的な特徴を紹介しましたが、ここからはさらに主要機能の特徴に迫ってみます。
勤怠管理システムと連携した給与計算ソフトであれば、残業時間や残業代のほか、社会保険料や源泉所得税の計算も自動で行える
給与計算ソフトを使うと、従業員の勤務日数・残業時間・遅刻回数などの勤怠管理ができ、その勤怠情報を元に正確な給与計算ができるようになります。残業代なども正しく計算できます。人的ミスもなくなりますから、企業側にとっても従業員側にとっても納得できるツールとなるでしょう。
又、社会保険料や源泉所得税額の計算も自動で行ってくれるのが給与計算ソフト。これらの項目の計算は複雑になりがちで、人手で行おうとするとミスも起こりやすいですが、給与計算ソフトに任せておけば大丈夫な場合が多いです。
自動計算された給与の情報を元に、給与明細書を発行
給与計算ソフトは従業員の給与を自動計算し、その情報を元に明細書として発行してくれます。明細書はデータ化され、過去の分の検索・確認も容易にできます。従業員も給与明細をパソコンやスマホで閲覧できるので、自分の給与の内訳などはすぐに分かるでしょう。
給与明細を手書きで発行したり、紙ベースの明細書を探したりするとなると、大変な労力を伴いますが、給与計算ソフトはその作業を自動化。転記ミスも防げ、印刷代や用紙代なども節約できます。
等級の変更登録を自動で行うだけではなく、社会保険料の料率改定があった際に自動で反映し、行うものもある
社会保険料の計算では、標準報酬月額と社会保険料率という数値を元にします。
標準報酬月額とは、従業員の給与などの平均額を等級に分類したものです。次のような等級があります。
- 健康保険料・介護保険料⇒1~50等級
- 厚生年金保険料⇒1~32等級
標準報酬月額は毎年4月〜6月の賃金を元にして決定し、毎年9月に改定され、1年間は同じ額で保険料の計算をします。
給与計算ソフトの中には、この等級の変更登録を自動で行ってくれるものがあります。
さらに社会保険料の料率改定にも自動対応するものも。自動対応してくれる給与計算ソフトを使えば、間違えて古い料率で計算することもなくなるでしょう。常に最新の料率に更新されるからです。
これで社会保険料の計算における課題は解決します。
源泉徴収された税金額が正確であることを確認し、年末調整に必要な書類や申請書を作成可能
年末調整に対応した機能がある給与計算ソフトもあります。このようなソフトでは、従業員の給与から源泉徴収された税金額を自動で算出し、正確であることをまず確認。そのうえで、年末調整に必要な書類・申請書の作成から電子申請まで行ってくれます。
年末調整に必要な情報は、従業員にパソコンやスマホで質問に答えてもらうだけで収集可能。従業員の方はスマホカメラで書類を撮影するだけでOKです。あらためて必要な書類をを提出したりコピーしたりしなくてもダイジョウブです。
企業にとっても従業員にとっても非常に便利な機能になっています。
企業に備え付けが必要とされている法定三帳簿(労働者名簿・賃金台帳・出勤簿)の作成と保管
労働基準法では、法定三帳簿の作成が義務となっています。法定三帳簿とは、労働者名簿・賃金台帳・出勤簿のことです。
もし法定三帳簿の作成に不備があると、30万円以下の罰金というペナルティもあります。
しかし、法定三帳簿を人手で作成するのは大変なことで、かなりの労力も要します。
その点、法定三帳簿に対応している給与計算ソフトを使用すれば、登録データをベースにして自動で作成してくれるのです。これで大幅に手間が簡略されるとともに、人為的ミスも防げるようになります。
従業員のマイナンバーを給与計算ソフトに登録・管理できる
マイナンバー管理対応の給与計算ソフトなら、法律に準拠した形で従業員のマイナンバーの登録・管理ができます。
ここで従業員が心配になるのは、自分のマイナンバーを会社の給与計算ソフトに登録・管理されて大丈夫かということでしょう。
この点については、マイナンバーが暗号化されて登録され、退職時には一定期間を経過すると復元できない状態となり、完全に削除されます。これなら従業員も安心でしょう。
さらには、2段階アクセス認証・アクセスログ機能などのセキュリティ対策も施せば万全。
マイナンバーの登録・管理により、年末調整の手続き、源泉徴収税額の計算もしやすくなります。
給与計算ソフト導入のメリット・デメリット
給与計算ソフトを導入することで、どのようなメリット・デメリットがあるかを考えてみましょう。
メリット
まず、給与計算ソフト導入によるメリットを紹介します。
必要な設定を事前に済ませておけば、計算は自動で行ってくれるものがほとんど
給与計算ソフトがあれば、必要な設定を事前に済ませておくことで、従業員の給与を自動で計算してくれます。
これまで手入力や手計算で従業員の給与を計算していた企業は給与計算ソフトの利用で大幅に業務が効率化します。計算におけるミスも減り、各従業員に対して正確な給与を支給できるようにもなるでしょう。
年末調整や保険関係などの複雑なものも一括で計算して管理できるので効率的
給与計算というと、単に従業員への賃金を計算するだけではありません。年末調整や保険関係などの複雑な計算もする必要があり、全体の業務も面倒になります。
そんなときに役に立つのが給与計算ソフトです。年末調整や保険などの計算・管理も一括してやってくれるので、非常に効率的です。しかもミスもほとんどなくやってくれます。
担当者の負担が減って時間に余裕ができれば、これまで以上に精度の高い仕事ができるようになる
給与計算ソフトを導入すれば、従業員の給与計算が自動で行われるようになるので、担当者の業務負担が減ります。給与計算にかかっていた時間も手間も大幅に削減されるでしょう。
そうなると、時間に余裕が生まれます。時間に余裕ができることで、仕事の精度を高めることも可能になります。残業時間も減るでしょうから、担当者などの満足度も増すことでしょう。
給与計算ソフトを導入すると、今までとは違うやり方での給与計算になるので抵抗を示す従業員がいるかもしれませんが、導入メリットの方が大きいので、ぜひとも導入したいところです。
業務全体がスリムになるため、今までよりも少人数で仕事を行える
給与計算ソフトの導入で、業務は効率化してスリムになります。そうなれば、今までよりも少ない人数で業務をこなせるようになります。
その結果、人件費の削減にも繋がるでしょう。
又、人件費だけでなく、紙で発行していた給与明細をデジタル化することで、紙代・印刷代とその手間も不要になり、他の面での節約もできます。
デメリット
続いて、給与計算ソフトを導入するデメリットを見てみましょう。
慣れるまでに時間がかかる
給与計算ソフトのように新しいツールを導入すると、従業員がその操作に慣れるまでに時間がかかります。最初のうちは、操作間違いなどが起きることもあるでしょう。サポートに問い合わせるなどの手間が必要になることもあります。
本来は給与計算業務を効率化するために導入する給与計算ソフトですが、慣れるまでは効率化効果も十分得られないかもしれません。
又、従業員の中にIT製品が苦手な人がいると、操作を覚えるのに苦労することもあるでしょう。
給与関係のデータが全て入っているためセキュリティに関する不安がある
給与計算ソフトの中には、従業員の給与に関するデータが全て入っています。非常に重要なデータであり、外に漏らすわけにはいきません。
それだけ、セキュリティを重視した運用が求められるのですが、セキュリティというものはしっかり対策しているつもりでも、なにがしかの不安はつきまとうものです。
そのため、より高度なセキュリティ対策が行われている給与計算ソフトを利用したくなるでしょう。しかし、セキュリティ対策が高度になっているものは、高額になりがちです。
かといって、安価なソフトでセキュリティを疎かにもできません。会社の予算とも相談しながら、セキュリティ面ではあまり妥協をしないようにしたいところです。
給与計算ソフトを選定するときの基準
様々な給与計算ソフトがありますが、その中でどのようなものを選定すればいいのかは迷うところです。
そこで、給与計算ソフトを選定するときの基準を解説します。自社にふさわしいソフトを選定するためのポイントになる基準ですから、よくチェックしてください。
自社の給与計算業務担当者が求める機能やイメージに近いものを選ぶのが大切
どの給与計算ソフトでも基本的な機能は似たようなものですが、細かい点では異なるところもいろいろあります。機能やイメージなども様々です。
そこで大切になってくるのが、自社の給与計算業務担当者が求める機能やイメージに近いソフトを選定することです。
具体的には、画面の見やすさ・各種書類(給与明細書や賞与明細書)の作りやすさ・ナビゲーションのわかりやすさに注目してみましょう。
これらの点で担当者が満足できるソフトなら、充分に使いこなせるようになって、業務の効率化を図れるでしょう。
現在使っているシステムと連携できるかどうか
給与計算ソフト単体で利用することもありますが、より利便性を高めたければ、他のシステムと連携ができることが望ましいです。そこで現在社内で使っているシステムと連携できるかを確認してみましょう。
例えば、勤怠システムと連携できれば、給与計算ソフトの機能も最大限発揮されます。
そのため、自動連携が可能か、既存システムとの相性を事前に確認したうえで導入を検討してください。
できるだけサポート体制が充実しているところを選ぶ
給与計算ソフトを使っているうちに分からないことが出てくることもあるでしょうし、何らかのトラブルが発生することもあるでしょう。
そのようなときに頼るのがサービスのサポートですが、サービスによってサポート体制は異なります。当然のことではありますが、サポート体制が充実している業者の給与計算ソフトを使いたいところです。
そこで、対応窓口の営業時間やメール・チャットなどの連絡手段も確認してみましょう。どのようなサポート体制が敷かれているのかを見たうえで、給与計算ソフトを選んでみるのです。
自社の企業規模に合っているか
給与計算ソフトを選ぶときは、自社の規模とマッチしたものにしないといけません。企業規模によって給与計算ソフトに求める機能なども変わってきます。
小規模企業ならシンプルな機能で充分な場合もあるでしょうが、規模の大きい企業になると、給与管理・計算も複雑化してくるので、より高機能なソフトが必要になる場合もあります。
ただ、多機能な製品がよいのではなく、自社の課題を解決する機能を網羅していることが大切です。
給与計算ソフトおすすめ比較
給与計算ソフトの選定基準を説明しましたが、その内容を踏まえたうえで、おすすめのソフトを紹介しましょう。
マネーフォワードクラウド給与
画像引用元:MoneyForwardクラウド給与|給与計算をもっと簡単に
「マネーフォワードクラウド給与」は個人向け、小規模~中小企業向け、IPO準備・中堅~上場企業向け給与計算ソフトです。勤怠集計データの連携・自動計算・Web給与明細の発行など、毎月発生する給与管理・計算業務をより簡略化してくれます。
特徴をみてみましょう。
- 給与計算対象者を自動判定し、各種保険料や所得税などは自動計算し、前月比較機能でチェックもカンタンにできる
- 連携外部サービスが豊富で、現在利用中のシステムとのサービス連携により業務を効率化できる
- クラウドでの給与明細の確認が可能で、ペーパーレス化を図れ、リモートワークにも適している
- 給与明細や支給控除一覧、賃金台帳など給与計算と関係する帳票の出力が可能
「マネーフォワードクラウド給与」より、企業の給与管理・計算・支給は効率化します。
弥生給与 Next
画像引用元:弥生|流れに沿って自動計算。給与計算のストレスを解消!
「弥生給与 Next」は毎月の給与計算から年末調整まで効率化してくれる給与計算ソフトです。特徴は以下のようになっています。
- 給与管理・計算業務に必要なタスクを初心者にもわかりやすくリスト化してくれる⇒給与支給や年末調整などの給与業務のフローはタスク化する
- 給与・賞与明細書の作成は自動計算をし、ミスもなく効率的に行える⇒勤怠情報を入力するだけで、あらかじめ設定された保険料率・税率により給与支給額を自動計算する
- 従業員とのやり取りはWebで行い、スムーズな配信・回収が可能⇒年末調整に必要な各控除申告書はWebで回収できる。給与明細書や源泉徴収票はWebで配布する
- 法令改正には自動対応で安心⇒クラウドソフトになっているので、面倒な法令改正には自動で対応
「弥生給与 Next」なら、全ての機能を初年度無料で利用できます。
freee人事労務
画像引用元:freee|シェアNO.1の人事労務ソフト
「freee人事労務」は人事労務ソフトで、給与専門ソフトではありませんが、給与関連の機能も充実しています。いくつか機能を挙げてみましょう。
- 給与計算(固定時間制、フレックス/変形労働・管理監督者・裁量労働制)
- web給与明細
- 会計連携(人事マスタ連携・給与仕訳連携)
- マイナンバー管理
- 複数時給・変動手当
- カスタム項目を用いた変動手当(プランによる)
- 年末調整
給与計算以外の機能では、労務管理、勤怠管理、人事管理などもあります。豊富な機能で企業の従業員管理をサポートしてくれます。
まとめ
今回は、給与計算ソフトについて詳しい説明をしました。
従業員の給与管理や計算で大きな力を発揮するのが給与計算ソフトです。様々な業務が自動化・効率化され、担当者の業務負担も大幅に軽減します。手入力などによるミスも防ぎやすくなっています。
そのほかにも様々なメリットがあり、導入する意味も大きいです。ぜひ皆さん方の企業でも、自社にふさわしい給与計算ソフトを導入して、業務の効率化を図ってください。