COLUMN経営コラム

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サラリーマンの節税に会社設立は有効?法人化のメリットと注意点
投稿日:2025.03.05
更新日:2025.04.29
税務経営

働き方の変化や企業の副業解禁に伴い、サラリーマンの方が副業や投資、不動産収入などを通じて給与以外の所得を得るケースが増えてきました。給与以外の所得が一定水準に達した場合、各種節税手法の活用や法人化によってメリットを享受できる可能性があります。
本記事では、給与以外の所得があるサラリーマンの方に向けて、賢い節税方法や会社設立に取り組む方法について詳しく解説いたします。具体的な節税方法や、会社設立の手続き、得られるメリット・デメリット、留意すべきポイントについて、わかりやすく説明しますので、ぜひご参考ください。
▼ この記事の内容
サラリーマンのための節税対策と会社設立の基本
給与所得のみでは節税の余地が限られていますが、副業や投資、不動産収入など、給与以外の所得が増えてくると、個人ではなく法人として事業を運営することで、より有利な税制措置が適用されるケースがあります。
本節では、サラリーマンの方でも実践しやすい節税方法と、会社設立に踏み切る際の基本事項についてご紹介いたします。
サラリーマンでもできる簡単な節税方法
サラリーマンでもできる簡単な節税方法には、住宅ローン控除や医療費控除の活用が挙げられます。
また、給与の他に副業などで得た収入がある場合、雑所得として申告するのではなく、開業届を提出して「事業所得」として申告することで、青色申告制度の活用が可能となります。事業所得として申告するメリットは、青色申告特別控除を受けられる点にあります。
青色申告は、複式簿記による正確な記帳が必要ですが、65万円、55万円、または10万円の控除が得られ、さらに最大3年間の純損失の繰越控除が認められるため、所得を圧縮し節税効果を高めることができます。
ただし、青色申告が適用される所得の種類は、「事業所得」「不動産所得」「山林所得」のいずれかに限られます。給与所得のみの方はこの制度を活用できませんので注意が必要です。
青色申告の活用方法
青色申告は、複式簿記による正確な記帳と帳簿管理が必要となるため、最初は手間がかかると感じられるかもしれません。
しかし、その分、青色申告特別控除として最大65万円の控除が得られるほか、純損失の繰越控除など、税負担を大幅に軽減できるメリットがあります。事業を継続的に行うためにも、日々の取引を正確に記録し、領収書や請求書などの証憑をしっかりと保管することが重要です。
これにより、経費として認められる支出が明確になり、節税効果がより確実なものとなります。
経費の計上方法
経費とは、事業活動に必要な支出のことであり、正当な事業関連性が認められる費用は、経費として計上することができます。
たとえば、パソコンや通信費、交通費、業務に必要な書籍代など、業務遂行に直接関係する費用は、領収書や明細書などのエビデンスを適切に保管しておくことで、正確に経費計上が可能となります。具体的な費用の計上にあたっては、支出の理由や業務内容を明確にしておくことで、税務調査時における備えにもなります。
住宅ローン控除や医療費控除の活用
住宅ローン控除は、マイホームの購入やリフォームに伴い住宅ローンを利用した場合に、年末時点での残高の一定割合(通常は0.7%)を所得税から控除できる制度です。新築、中古、リフォームといった幅広い住宅購入に適用され、税制改正により環境に配慮した住宅が優遇されるなどの特徴がございます。控除期間や控除額は住宅の条件により異なり、最新の制度内容に基づいて確認することが大切です。
また、医療費控除は、1年間に支払った医療費が一定金額を超えた場合に、超えた分の金額を所得控除できる制度です。総所得金額が200万円以上の場合は10万円、200万円未満の場合はその5%を超える医療費が控除対象となります。
これらの制度を活用することで、給与所得のみのサラリーマンの方であっても節税メリットを享受することができます。
会社設立の基本知識とメリット・デメリット
会社設立は、個人事業主では得られにくいさまざまな節税効果を享受できるほか、社会的信用の向上や、資金調達の幅が広がるなど、経営戦略上も大きなメリットがあります。
一方で、設立に伴う初期費用や、決算・申告などの事務作業が煩雑になるというデメリットもあります。法人化することで、役員報酬の調整による所得分散が可能となり、結果として法人税率の適用が受けやすくなるなど、税率面でのメリットが期待されますが、事業規模や収入の状況を見極めた上で、慎重に判断する必要があります。
会社設立の流れ
会社設立は、会社概要の決定から定款の作成、資本金の拠出、登記手続きなど、複数の段階を経て実現されます。
まず、会社の概要(社名、所在地、資本金、設立日、事業目的など)を決定し、法人用の実印を作成します。
次に、定款を作成し公証人役場で認証を受け、認証済みの定款に基づいて資本金を払い込みます。
その後、必要書類を整え、法務局に登記申請を行うことで、正式に法人格を取得する流れとなります。
各段階での手続きには、専門家のサポートを受けることで、書類の不備や申請ミスを防ぎ、スムーズな設立が可能となります。
サラリーマンから会社設立のメリット・デメリット
サラリーマンが会社設立を行う主なメリットとしては、所得によっては個人よりも低い法人税率が適用されるため、節税効果が期待できる点が挙げられます。法人として経費に計上できる項目が広がり、赤字の繰越期間が最長10年間認められるため、経営の安定化や将来の事業拡大に寄与するメリットもあります。
特に、副業や投資、資産運用などで得られる収入が大きい場合、家族や親族を役員に任命して役員報酬を支給することで所得を分散し、税負担を軽減することができます。
ただし、家族や親族に対して役員報酬を支払う際には、勤務実態が伴っていることが必須ですので、税理士などの専門家に相談し安易に進めることのないようにしましょう。
一方、会社設立には初期費用や手続きの煩雑さ、さらに運営中も会計処理や税務申告の手間がかかるというデメリットがあります。
また、設立後の決算申告や複雑な会計処理、赤字であっても免除されない法人住民税の均等割なども留意すべき事項です。こうしたメリット・デメリットを十分に比較検討し、自身の事業規模や収入状況に応じた最適な判断が必要です。
詳しくは、会社設立の目的一覧!法人化で得られる戦略的メリットを解説および会社設立の種類を徹底解説|4つの形態と特徴を比較をご参照ください。
節税と会社設立の組み合わせで得られる効果
会社設立を行うことで、給与所得と事業所得を明確に分離でき、法人税率の低減や役員報酬による所得分散が可能となります。これにより、個人事業主として申告する場合に比べ、総合的な税負担を大幅に軽減できるケースが多く見受けられます。
特に、副業による課税所得が年間500万円を超える場合、法人化による節税メリットを享受できる可能性が高くなります。
また、法人として事業を運営することで、社会的信用が向上し、融資や助成金の取得が容易になるなど、節税以外の多くのメリットも享受できる点が大きな魅力です。
会社設立の具体的な手続きと必要書類
会社設立をスムーズに進めるためには、事前に十分な準備と正確な手続きが必要です。ここでは、設立に向けた具体的な流れと、必要書類の準備について詳しく解説いたします。
会社設立に必要な準備と手続きの流れ
会社設立を円滑に進めるためには、事前の準備と各手続きの正確な遂行が必要です。
まず、会社の概要を決定し、社名、所在地、資本金、設立日、会計年度、事業目的、株主の構成、役員の構成などを明確にします。
次に、法人用の実印や銀行印、社判など必要な印鑑類を作成し、定款を作成して公証人役場で認証を受けます。認証済みの定款に基づき、発起人の個人口座に資本金を払い込み、通帳のコピーなどで払い込み証明書を作成します。
最後に、必要書類を整え法務局に登記申請を行うことで、正式に法人として設立されます。手続きの一連の流れは、専門家のサポートを受けることで、書類の不備や手続きミスを防止し、スムーズな会社設立が実現します。
具体的な手続きの詳細については、会社設立の登記手続き完全ガイド!必要書類や費用、流れを解説をご参考ください。
会社設立後の税務手続きと注意点
会社設立後は、法人設立届出書、青色申告承認申請書、給与支払事務所等の開設届出書、源泉徴収税の納期の特例の承認申請書、棚卸資産の評価方法の届出書、減価償却資産の償却方法の届出書など、各種税務手続きが必要です。これらの書類は、正確な会計帳簿の整備と合わせて、期限内に提出することが求められます。
特に、青色申告承認申請書は、提出期限を過ぎると青色申告の適用が受けられなくなるため、注意が必要です。
また、給与支払事務所等の開設届出書は、従業員の雇用開始から1ヶ月以内に提出する必要があり、源泉所得税の納期特例を利用することで、事務作業の軽減が図れます。これらの手続きを迅速かつ正確に行うことが、今後の法人運営の安定につながります。
節税を実現するためにおすすめのサポートサービス
会社設立および節税対策を効果的に実施するためには、税理士やコンサルタントなどの専門家によるサポートが欠かせません。ここでは、各種サポートサービスの具体的な内容と、その利用におけるメリット・デメリットについてご紹介いたします。
税理士やコンサルタントを活用するメリット・デメリット
専門家のサポートを受けることで、最新の税制に基づいた最適な節税策の提案や、複雑な会計・税務手続きの代行が可能となります。これにより、日常業務に専念できるとともに、税務上のミスや不備を防ぐことができます。
一方で、外部専門家への依頼には一定の費用が発生するため、費用対効果をしっかりと検討することが求められます。双方のメリットとデメリットを踏まえ、最適なパートナー選びを行うことが、長期的な企業運営の成功につながります。
会社設立に付随するサポートサービスの種類
会社設立に付随するサポートサービスには、法人登記の手続き支援、税務・会計のコンサルティング、社会保険・労務管理のサポート、法務面のアドバイス、さらには事業計画の策定支援や融資・助成金の相談など多岐にわたります。
これらのサービスを組み合わせることで、設立前の準備から設立後の運営まで、ワンストップでサポートを受けることが可能となり、特に初めて法人化に挑戦される方にとっては、大きな安心材料となります。
まとめ
サラリーマンが副業や投資、不動産収入などを通じて得る給与以外の所得が一定水準に達した場合、各種節税手法の活用や法人化によってメリットを享受できる可能性があります。会社設立には初期費用や事務作業、決算申告などの手間が伴うため、事前に税理士や各分野の専門家に相談し、シミュレーションを実施することが重要です。
FLAGSグループは、名古屋市を拠点に50年以上の実績を有し、税理士、司法書士、社会保険労務士などの専門家が連携して、法人設立から運営、節税対策に至るまでワンストップでサポートしております。会社設立と節税対策を通じた将来の事業拡大や資産形成にご興味がある方は、ぜひお気軽にご相談ください。

