COLUMN経営コラム

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会社設立に必要な書類一覧|準備と手続きのポイント
投稿日:2024.12.29
更新日:2024.12.29
経営

会社を設立しようと思ったら、準備しなければいけないものがいろいろ出てきますが、そのうちの一つが必要書類です。様々な書類を用意して、提出しないといけません。そこで今回は、会社設立で必要な書類から、書類準備での注意点、必要書類の提出先と手続きなどを徹底解説します。会社設立検討中の方はどうぞ参考にしてください。
本記事は各分野のプロフェッショナルが在籍する団体が執筆を担当しています。確かな記事であると自負していますから、安心してお読みください。
▼ この記事の内容
会社設立に必要な書類とは?
早速、会社設立時に必要な書類をチェックしてみましょう。
会社設立に必要な基本書類
まず、会社設立に必要な基本書類を紹介します。
最初は「定款」。「定款」は会社運営の規則を定めた書類です。「定款」がなければ会社運営がスムーズに進みませんし、ないとなると、会社設立を認めてもらえません。「定款」は公証役場で認証を受けた上で提出します。
次は「印鑑証明書」。会社設立時には発起人や取締役の個人の実印がなければいけません。実印は印鑑登録申請をし、受理されたはんこのことです。
実印を使った取引や法律行為を行うときに必要なのが「印鑑証明書」です。これで確かに自治体に登録された実印であることが証明され、まがい物ではないということになります。
会社設立時には、「定款」の認証の際に「印鑑証明書」が必須の書類となります。
「払込証明書」も基本的な必要書類です。「払込証明書」は資本金の払い込みが確かにあったことを証明する書類です。設立時発行株式数や払込を受けた金額、日付等が記載事項となります。
法務局で法人登記申請手続きを行う際に大事な必要書類です。
まだまだあります。
「設立登記申請書」も用意して、提出します。登記手続きのための基本書類ですが、記載条項が決まっています。”会社・法人の本店又は主たる事務所の所在地””商号””代表者の住所””代表者の氏名”等です。
「登録免許税納付用台紙」も欠かせない基本書類。会社設立時には登録免許税を納めることになっていますが、収入印紙を貼りつけるという形で納めます。その収入印紙を貼る台紙が「登録免許税納付用台紙」というわけです。
会社設立時の必要書類として、「設立登記申請書」を挙げたりますが、これには別紙もあります。「登記すべき事項を記した書面またはCD-R」という書類です。登記事項で必要なことを記載した書類になります。
書類準備の重要性とスムーズな手続きのためのポイント
会社設立時に必要な書類が整わないと、会社設立が認められません。会社と名乗りたくても、公的な存在とは言えないのです。
会社設立を検討しているのなら、必要書類を早めに集めて制作し、いつでも提出できるようにしておきましょう。
会社設立時は必要書類の準備以外にもすることが多いですが、必要書類の提出で躓けば、ほかの準備の意味がなくなることがあります。そのため、スムーズに会社設立手続きを行いたければ、必要書類の内容と記載事項を法務省のホームページなども見ながら確認の上、提出してください。
参照:会社設立の登記手続き完全ガイド!必要書類や費用、流れを解説
会社形態別に異なる必要書類
会社設立と言っても、どのような形態の会社を設立することになるのかは各事業主ごとに異なります。
実はその会社設立の形態ごとに必要な書類もあるのです。そのような書類の内容を解説しましょう。
株式会社の追加書類
設立する会社が株式会社の場合、「設立時代表取締役の就任承諾書」などの追加書類を準備しないといけません。
株式会社を設立する際は代表取締役を選任するでしょうが、選任された人物がその任務を受けることを承諾する書類が「設立時代表取締役の就任承諾書」です。
なお、会社設立時に必要になる基本書類として、「設立登記申請書」を取り上げましたが、株式会社なら「株式会社設立登記申請書」になります。
合同会社の特徴的な書類
設立する会社が合同会社なら、追加書類も変わります。
まず、「職務執行者の選任に関する書面」を準備しましょう。合同会社の代表社員が法人であるときに準備すべき書類です。併せて、「職務執行者の就任承諾書」も必要になります。
そのほか、定款で本店所在場所を決めていない場合は、「本店所在場所の決定を証する書面」という書類も提出することになります。本店所在場所は社員の過半数の一致をもって決定します。
「資本金の額の決定を証する書面」も合同会社設立と関係がある書類です。
合同会社の代表社員、又は業務執行社員を特定の社員だけに該当させて選任する際はは、「業務執行社員、代表社員の選任を証する書面」という必要書類もあります。
「設立登記申請書」については、株式会社では株式会社用でしたが、合同会社では当然「合同会社設立登記申請書」となります。
参照:会社設立の登記手続き完全ガイド!必要書類や費用、流れを解説
書類準備で注意すべきポイント
会社設立時に必要になる書類の紹介をしましたが、準備できそうですか。、ただ、それらの書類を準備する際に注意しなければいけない項目がいくつもあります。ご確認ください。
定款作成時の注意点
会社設立時に必要になる書類の一つが定款ですが、定款作成時にはいくつも注意していただきたいことがあります。
まず、記載すべき項目をしっかり把握しておきましょう。次のような項目を記載することになっています。
- 絶対的記載事項
- 相対的記載事項
- 任意的記載事項
絶対的記載事項
「絶対的記載事項」というのは、文字通りの意味です。絶対に記載してくださいと言うことで、この項目を記載していていないと、定款としての効力を発揮しません。認めてもらえないので、会社設立にまでこぎ着けることができません。
絶対的記載事項は次のような項目です。
- 商号(会社名)
- 事業目的
- 本店所在地
- 資本金額
- 発起人の氏名と住所
▶商号(会社名)
商号とは会社名のことですが、会社の種類(株式会社とか合同会社など)を会社名の前か後ろに記載することになっています。
他の会社の会社名をマネすることは所在地さえ違っていれば構わないのですが、不正競争防止法により損害賠償請求される恐れがあるので、やめておく方が無難です。
インターネットなどで検索・調査して、同じような会社名をつけないようにしたいところです。
シェアオフィスやバーチャルオフィスを利用する場合は、ちょっと注意が必要です。同一住所で同一の会社名はつけられませんから、確認しておいてください。
会社名をつける際は、使える文字や符号が決まっていて、それ以外の文字を使用した定款では無効になります。
▶事業目的
事業目的は設立する会社が行うことになる事業の種類や範囲を記載する項目です。ここに記載してない事業を行うことはできません。
そのため、将来行う予定の事業も記載に含んでおく必要があります。
ただ、あまり多くの事業を記載しすぎると、焦点がぼやけ、何の会社なのか分かりにくくなってしまいます。記載数に制限はないのですが、社会的信用という観点からも、10項目以内程度に押さえておきたいところです。
▶本店所在地
本店所在地には、会社登記するときの住所を記載します。番地を記載するときは、ハイフンで数字を囲まずに、「○丁目○番地○号」のように正式な形で記載します。
番地を省いても構いません。最小行政区画(東京の場合は「区」、そのほかの場合は「市」「郡」「町」「村」など)までの記載でもダイジョウブ。このような記載にしたときは、同じ行政区内で本店所在地が移動しても、定款を書き直す必要はありません。
▶資本金額
資本金の下限規定はないので、1円であっても問題はないのですが、創業融資などを希望する場合は、資本金額が影響してくるので、適当な額を準備して、記載したいところです。
▶発起人の氏名と住所
発起人とは、会社設立に貢献した人物のことです。具体的には、定款の作成や資本金の出資などの手続きをした人物です。
会社設立時には、定款に発起人全員分の氏名と住所を記載しなければいけません。
相対的記載事項
相対的記載事項とは、法律的には定款に記載しなくても構わない項目ではあるものの、記載しておかないと、効力がなくなってしまう事項のことです。
カンタンに相対的記載事項の内容を説明しましょう。
- 株券発行:記載しないと、株券を発行しない会社になる
- 役員の任期の伸長:会社法で定められた役員の任期を延ばす場合に記載
- 株主総会、取締役会及び監査役会招集通知期間短縮:株主総会の通知期間を短縮する場合に記載
- 変態設立事項:会社の財産に大きな影響を及ぼす事項を記載
任意的記載事項
任意的記載事項は任意で自由に記載できる項目です。
決めても決めなくても構わないし、定款に記載しなくても構わないという項目です、他の規定で定めることもできます。
商号決定時の注意点
商号(会社名)の決め方のポイントはすでに説明しましたが、再度確認しておきましょう。
- 他社の商標は使わない
- 会社の種類を混同のないように入れる
- 公序良俗に反するような言葉は使用しない
- 不正競争防止法に抵触しないように注意
- 同一住所で同一商号は×
- 業種に合わせて決める
- 使用できない文字を確認しておく
参照:会社設立の登記手続き完全ガイド!必要書類や費用、流れを解説
必要書類の提出先と手続きの流れ
会社設立に必要な書類が準備できたら、今度は提出する番です。そこで、必要書類の提出先と手続きの流れをご案内しましょう。
書類提出先(法務局)と提出方法(窓口、オンライン)
会社設立時の必要書類の提出先はいくつかあります。以下にまとめてみましょう。
提出先 | 提出する書類 |
公証人役場 | ◆定款 ◆株主全員の印鑑証明書 |
法務局 | ◆登記申請書 ◆認証済みの定款 ◆取締役・代表取締役の就任承諾書 ◆発起人の決定書 ◆資本金振込を証明する書類 ◆印鑑届出書・印鑑カード交付申請書 |
税務署 | ◆法人設立届出書 ◆給与支払事務所等の開設届出書 ◆青色申告の承認申請書 ◆源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書 |
今回の記事で取り上げていない必要書類も含まれますが、上記の機関に提出してください。
必要書類によって提出方法が変わることもありますが、基本的に窓口提出、郵送提出、オンライン提出が可能です。
手続きの流れ(申請から登記完了まで)
会社設立時の手続きの流れ(申請から登記完了まで)を解説します。
①会社の基本情報を定める
会社設立に当たって、その会社の基本情報を定めます。
定款の絶対的記載事項に盛り込む内容のほか、会社設立日や会計年度、役員や株主の構成等も決めましょう。
②会社用の実印を作成する
オンラインで会社設立登記をする場合は、会社の実印がなくても構わないのですが、会社設立後は取引においても何かと必要になるものですから、用意しておきましょう。
③定款を作成する
会社設立に必要な書類として定款を挙げていますが、作成しましょう。定款作成時の注意点はすでに説明しました。
④定款を認証してもらう
株式会社設立の場合は、作成した定款を公証役場で認証してもらう必要があります。認証を受けて、はじめて定款として公的に認められるのです。
認証手続きは予約して行ってもらうか、オンライン上でも可能です。
事前にファックスや郵送で定款を公証役場に送ることもでき、こうすると当日手続きが順調に進みやすくなります。
⑤資本金の払い込みを行う
定款の認証が済んだら、資本金を払い込みます。法人口座はまだできていないでしょうから、発起人の個人口座への払い込みとなります。
⑥登記申請書類を準備し、登記申請する
ここまでの手続きが済んだら、最後にすることは登記申請書類を準備して、登記申請をします。登記申請が行われると、法務局の登記官が提出された書類を精査・審査し、コンピューターに記録。そのうえで、一般公開します。
登記が完了した時点で、登記事項証明書(登記簿謄本)が発行され、これを持って自他共に認められた会社設立の完了となります。
画像引用元:freee|会社設立の基礎知識
参照:会社設立の登記手続き完全ガイド!必要書類や費用、流れを解説
専門家に相談するメリット
会社設立を自身で行おうとすると、分からないことも多く、戸惑う場面も多々生じるものです。かなり大変な手続きになることも考えられます。
そこで相談したいのが会社設立に関する専門家です。そのような専門家に相談するメリットを紹介しましょう。
書類作成や確認の効率化
会社設立に必要になる書類の作成では苦労することもあります。どんな内容を記載すればいいのか、どのように体裁を整えればいいのかなど、確認すべき事項も多いです。
その点、専門家に相談すると、必要書類作成のポイントや確認について適切なアドバイスを受けられる上に、作業も大幅に効率化します。
これで会社設立のハードルも一つ減るでしょう・
手続きミスの防止とスムーズな進行
初めての会社設立ともなると、分からないことだらけで、手続きミスなども起こりやすくなります。そうなると、やり直しということにもなりかねず、大変です。
ここでも専門家に依頼するメリットがあります。専門家の指導を受けながら手続きをすれば、ミスも起こりにくいし、手順もスムーズに進行するものです。
独力で手続きを行うよりもはるかに事がうまく運ぶでしょう。