COLUMN経営コラム

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税理士を変えるデメリット|面倒なリスクを回避し円滑に変更する方法

2022.10.31

税務経営

「税理士を変えたい」と考えるほど今の税理士に不満があるなら、早急に対策を打つべきです。

しかしながら、税理士の乗り換えは大きな決断です。デメリットを踏まえて判断したいとお考えになるのは当然でしょう。

この記事では、税理士を変える際のデメリットを「避けられないもの」「避け得るもの」に分けて解説していきます。

基本的に避けられないデメリットは重大なものではありません。

大切なのは、避け得るデメリット(リスク)を想定し、対策を打っておくことです。

それでは、判断の助けになるよう、対策が打てるよう、お話していきます

税理士を変える【避けられない】デメリット

冒頭でお伝えしたとおり、税理士変更に伴う避けられないデメリットは重大なものではありません。

税理士変更を考えるほどの不満がある今、課題が解消される税理士に変更できるならメリットしかないと考えて良いでしょう。

新しい税理士選びのポイントは、税理士に対する不満別にこちらの記事で解説しております。

避けられないデメリット①会社への理解・肌感覚は引き継げない

会社の事業や財政状況に対する理解・肌感覚は、新しい税理士には引き継がれません。時間をかけて理解を深めていってもらうことになります。

共に長く仕事をして初めて見えてくる部分が、多かれ少なかれあるからです。

しかしこれは当たり前のことですし、大きな不満が解消されるというメリットを考えれば気にする必要はないでしょう。

経営コンサルティングを受けない場合は気にしなくて良い

決算申告など経理業務のみ税理士に依頼する場合は、会社への理解が引き継がれないデメリットをそもそも意識する必要がないと考えます。

決算書等を元にした通常のアドバイスは、新しい税理士でも普通は可能だからです。

顧問税理士から経営コンサルティングを受けたい場合に、このデメリットを認識いただければよいかと思います。

税理士を変える【避け得る】デメリット|対策あり

この見出しでは、税理士を変える際の避け得るデメリットについて解説いたします。

絶対的なデメリットではなく、避けるためにいかに対策するかが問題です。「デメリット」というよりは「リスク」と表現したほうが適切かもしれませんね。

可能な限り対策し、円滑に税理士を変更してください

避け得るデメリット①引き継ぎがスムーズに行われない可能性がある

税理士を変えるリスクとして、今の税理士から新しい税理士への引き継ぎがスムーズに行われない可能性があります。以下の具体例をご覧ください。

  • 書面での引き継ぎになり、追加料金が発生した
  • 今の税理士がデータを渡してくれない
  • 今の税理士に経理関係のデータを全て削除された

今の税理士が書面で引き継ぎした場合、新しい税理士に支払う引き継ぎ料金に追加料金が発生することはよくあります。

書面での引き継ぎの場合、データでの引き継ぎに比べて、新しい税理士事務所・会計事務所の労力が大きいためです。このデメリットは比較的よくあるものです。

逆に、今の税理士がデータを渡さない、削除してしてしまったという事態は、頻繁には起こりません。しかし事実として、稀にそのようなお話を聞くことがあります。

これは、税理士の性格や考え方に難がある場合に生じるリスクであるといえます。税理士としての能力以前の問題でしょう。

経営者が取れる対策

今の税理士との関係を、できるだけ良好にしていくことをお勧めいたします。税理士を変えると決めた後の断り方・伝え方にも最大限の配慮をしましょう。

これは、今の税理士に引き継ぎを少しでも協力的に、スムーズに行ってもらうためです。

気が進まないとは思いますが、前向きに引き継ぎ業務を行ってもらうには、気分良く働いてもらうのが実際一番の対策なのです。

たとえ今の税理士が気に入らなくても、「終わりよければ全て良し」の気持ちで綺麗に終わらせましょう。

「揉めたくない」「残りの業務を積極的に行ってほしい」

税理士変更時の具体的な断り方はこちらの記事で解説しております。
【揉めたくない】税理士を円満に変更する断り方|コツ&トラブル対策

避け得るデメリット②税理士を変えるタイミング次第で税務に支障が出る

税理士を変えるタイミングによっては、新しい税理士が行う決算申告業務に支障をきたす可能性があります。

決算申告業務は、今の税理士が行ってきたその年度の業務と連続性があるためです。

経営者が取れる対策

税理士を変えるタイミングは、その年度の税理士の仕事が全て終わったときが理想的です。

具体的には、法人税申告書の提出が終わった直後であれば、最もスムーズに税理士を変更できます(税務調査が入る場合は、修正申告の対応が終わってから)。

他のタイミングで税理士を変える場合は、決算の3ヶ月以上前であれば比較的スムーズに引き継ぐことができますよ。

注意点といたしまして、今の税理士に断りを入れる前に新しい税理士を見つけておかれた方が良いでしょう。次の税理士が見つからずに慌てる事態を防げます。

「ベストタイミングで変更したい」「今、変更したい」

少しでも良いタイミングで税理士を変更できるよう、こちらの記事で徹底解説しております。
【徹底解説】税理士を変える”全タイミング”|変更スケジュールも

避け得るデメリット③新しい税理士にも不満を抱く可能性がある

たとえ税理士を変更しても、新しい税理士に対しても不満が出てくる可能性は当然あります。

経営者が取れる対策

今の税理士に対する不満・課題を整理し、問題が解消される税理士を探しましょう。

要望に沿った税理士を見つけられるよう、事前の確認が重要になってきます。

税理士を変えて失敗された方のお話|何の確認を怠ったのか

お話①
「新しい税理士に変えたら、税理士費用がかなり高くなった」

税理士事務所の料金体系は不明確である場合も多いですから、事前に料金体系を確認しておくことは非常に大切です。

「税理士費用の相場」についてはこちらの記事をご覧ください。

お話②
「新しい税理士が感情で仕事をする部分があり、処理に不安を覚える」

信頼できる税理士かどうか、事前によく見ておきましょう。人間対人間ですから相性の確認も重要です。

お話③
「新しい税理士と連絡が取りづらく、税理士の業務も遅れている」

税理士事務所がレスポンスの早さを重視しているかや、信頼できる税理士事務所かの確認が大切です。

デメリット?「税務調査に入られやすくなる」について

デマだろうとは思っても、「税務調査に入られやすくなる」という情報はどうしても不安を煽ります。

結論、税理士を変えたから税務調査に入られやすくなるなど、ありえません。安心していただいて大丈夫です。

税務調査の目的は申告の漏れや間違いを見つけること。税理士変更と申告漏れ・間違いは結びつきません(世の中、税理士が変わったからといって、申告漏れやミスが多発するなんてことにはなっていませんよね)。

そもそも税務署職員は、税理士が誰かなど気に留めていません

万が一あり得るとすれば、悪徳税理士として税務署にマークされているような税理士と顧問契約した場合は、税務署に目をつけられるとは思います(そんな税理士は選びませんよね)。

しかしこれは税理士が変わることが問題なのではなく、脱税のリスクが明白であるから目をつけられるのです。

<迷いがある場合>今の税理士の能力を引き出す方法もある

税理士を変えるか迷いがある場合は、こちらから税理士に対してより好意的に接し、今の税理士の能力を引き出すのも1つの方法です。

「不満があるのになぜこちらから歩み寄らないといけないのか」と思われるのはごもっともです。

しかし税理士も人間です。先程の引き継ぎのお話と同様、人間の行動は多かれ少なかれ感情に影響を受けます。

税理士も対人コミュニケーション要素の強い仕事ですから、様々な接客業と同様、感謝の気持がサービスの質を上げる面はどうしてもあるのです。

たとえ税理士を変える決断をした場合でも、前向きに引き継ぎ業務を行ってもらえるよう円満な税理士変更を目指すことになりますから、いずれにせよまずは税理士との関係を修復してみるのも選択肢のひとつとなります

この記事のまとめ

税理士を変えるデメリットは、今の税理士への不満が解消されることを思えば大きなものではありません。対策可能なリスクに対しては十分な対策を行い、円滑に税理士を変更してください。

税理士も人間です。研究熱心な方もいれば、そうでない方もいらっしゃいます。

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この記事の執筆者

末松和真

税理士法人末松会計事務所代表社員。税理士。 (株)FLAGSコンサルティング 代表取締役 税理士として税務・会計はもちろんの事、経営支援・クラウド会計支援・融資実行・補助金に強く、幅広い知識とサービスで企業の成長を支援している