COLUMN経営コラム

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経理代行とは?企業が知っておくべきサービス内容と活用法
投稿日:2024.10.13
更新日:2024.10.13
経営経理

企業が事業を行う上で欠かせない業務が経理です。ただ、経理業務を行うためには専門的な知識や経験も必要で、人材確保、体制構築などの点で苦労することもあります。そこで、経理業務を外注することができるのですが、それが経理代行というサービスです。今回は、この経理代行の基本的な概要、メリット・デメリット、経理代行が向いている企業、具体的なサービス内容などを解説します。
この記事は各分野のプロフェッショナルが在籍する団体が執筆を担当していますから、確かな内容となっています。
▼ この記事の内容
経理代行とは?基本的な概要

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まず、経理代行の基本的な概要を説明します。
経理代行の定義
冒頭でも説明したように、企業の経理業務を代わりに行ってくれるのが経理代行サービスです。
企業の規模によっては、経理業務専門の人材を確保できないことがあり、一般社員が担当することもあります。しかし、経理業務には知識も経験も必要で、一般社員の手に余ることもあるのです。
そのようなときに経理業務の外注先としての経理代行サービスがあります。
経理業務の外部委託の一般的な事例
経理業務の外部委託の一般的な事例としては、次のようなものがあります。
- 中小企業や個人事業主で、経理専門担当者を雇う余裕がない
- 経理担当者が辞めてしまった
- 本業に集中したい
- 経理担当者が長期休暇中
社内経理との違いと役割分担
社内経理と経理代行では、次のような違いがあります。
社内経理 | 経理代行 | |
業務を行う人 | 企業内の社員 | 外注先の専門家 |
掛かる費用 | 人件費と機器代 | 依頼費用 |
ノウハウの蓄積 | 社員が業務を行うことで、ノウハウが蓄積される | 外注することになるので、社内にはノウハウを蓄積できない |
時間 | 社員がすぐに実行する | 導入準備に時間が掛かることがある |
社内経理と経理代行の役割分担については、外注先によっても依頼できる範囲が異なります。ここでは、主なケースを紹介しましょう。

依頼する業務 | 特徴 |
記帳代行を依頼する | 領収書や請求書、通帳コピーなどの資料を送付し、会計ソフトへの入力や帳簿作成をしてもらう 請求書の発行などは自社内で行う |
経理代行すべてを依頼する | 記帳代行+売掛金や買掛金管理+振込・支払い業務+給与計算など、経理に関する業務をすべて依頼する |
経理担当による入力処理と経理代行のチェック体制 | 会計入力などの基本的な記帳作業や請求書その他の経理業務は社内で行う チェック作業を依頼する |
経理代行のメリット・デメリット

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経理代行サービスを利用することで、どのようなメリット・デメリットがあるでしょうか。確認してみましょう。
経理代行の主なメリット
まず、経理代行の主なメリットから解説します。次のようなメリットがあります。

- 時間・コスト削減
- 専門性
時間・コスト削減
経理代行サービスを利用することで、時間とコストを削減できます。
時間で言えば、専門家に経理業務を任せることになるので、スピーディーかつ正確な作業を期待できます。経営者自身や一般社員が経理業務を担当している企業では、作業を進めるのにも苦労し、時間も手間もかなり掛かりますが、経理代行サービスを利用すればそのようなことはありません。
コストで言うと、人件費の削減があります。企業が経理業務を企業内担当者に行わせようと思うと、人材採用や教育も必要だし、給与も支払わなければいけません。人件費が掛かるということです。
もちろん、経理代行サービスに依頼する費用は掛かりますが、社内で専門担当者を置き、給与を支払うよりは安価に済むことも多いです。そのため、経理代行サービスの利用で、コスト削減も成されます。
経理代行サービスの利用で、時間やコストが削減できれば、社員も本来の業務に専念しやすくなるでしょう。
専門性
経理代行サービスで実際の業務を担当するのはまさに経理の専門家です。経理に関する知識も経験も豊かな人です。
そのため、確実に的確な作業をしてもらえます。作業でミスをすることも少ないでしょうし、企業が求めるレベルでの作業もしてくれるでしょう。ここが専門家に依頼する大きなメリットです。
デメリット
続いて、経理代行サービスを利用するデメリットの方を確認してみましょう。次のようなデメリットがあります。

- 情報セキュリティのリスク
- コミュニケーションのコスト
- 経理業務のノウハウを社内に蓄積できない
- 経理担当者の採用より高額になるケースもある
情報セキュリティのリスク
経理代行サービスを利用する際は、社内にある経理に関する書類やデータを送付することになります。それが正しく管理されていれば問題はありませんが、何らかの理由で情報が外部流出する可能性を否定できません。情報セキュリティ上のリスクがあるということです。
中には企業の極秘情報や社員の個人情報も含まれるので、漏洩による損害は非常に大きくなります。
コミュニケーションのコスト
経理代行を依頼する際は、自社内と相手側とで細かい打ち合わせも必要になってきますが、その際にコミュニケーションコストも発生します。毎日コミュニケーションを取ることになれば、コストが上昇することもあります。
コミュニケーションコストとして、電話代、インターネット通信費、スマホ通信費、郵便代などがどのくらい掛かるかも、計算しておかなければいけません。
経理業務のノウハウを社内に蓄積できない
経理代行サービスは便利ではあるのですが、依頼することで、社内に経理業務のノウハウを蓄積できなくなるケースもあります。
毎月毎月全面的に経理代行サービスを利用し続ければ、社内に経理業務に通じた担当者もいなくなるかもしれません。そうなれば、知識も経験値も蓄えられず、今後も経理代行サービスを利用し続けなければいけなくなるでしょう。
経理担当者の採用より高額になるケースもある
経理代行サービスを利用する方が社内経理を行うよりも人件費が安くなって、相対的なコスト削減を図りやすいことは確かです。
しかし、状況により経理担当者の採用より高額になるケースもあります。特に総務や庶務などのオプションメニューなど、依頼業務が増えると、コストが割高になることもあります。
コストが高くなっても、経理代行サービスを利用するメリットはあるものの、社内で経理担当者を置くのとどちらがいいか検討する必要はあるでしょう。
メリットを最大化するためのポイント
経理代行サービスを利用することになったら、デメリットは最小化し、メリットを最大化しなければいけません。その方法を解説しましょう。
その方法とは、適切な業者選びです。自社のニーズに合った業者を選ぶことで、経理代行サービスのメリットを存分に活用できるでしょう。
では、自社のニーズに合った業者とはどのようなところかというと、次のようなポイントを押さえておいてください。

- 依頼したい業務に対応しているか
- サポート体制が整っているか
- コミュニケーションがスムーズか
依頼したい業務に対応しているか
経理代行サービスにどんな経理業務を依頼するかをまず考えてください。それぞれの企業の事情によっても、依頼内容が変わってきます。
業者選びをする際は、その依頼したい業務内容に対応しているかをチェックする必要があります。経理代行業者によっても対応できる業務が異なるので、必ず確認の上、業者選定をしましょう。
そうすれば、利用メリットも高まります。
サポート体制が整っているか
経理代行業者のサポート体制も見ておかなければいけません。サポート体制の種類も業者によって異なりますが、主なものとして次のような体制があります。
- 訪問サポート
- メールサポート
- チャットサポート
- 電話サポート
最近は、訪問サポートよりも、メールやチャットによるサポートを提供する業者も増えました。ただ、どのサポート体制を利用したいかは、各企業の事情によっても変わりますから、利用申込みをする前に確認しておきましょう。
そうすれば、納得のサポートを受けられるようになって、いざとなったときも安心できます。
コミュニケーションがスムーズか
経理代行サービスを利用する際は、企業側と業者側で様々なやりとりをすることになります。扱う情報も多いし、経理業務そのものに関する要請もあるでしょう。業者側からも聞きたいことがいろいろ出てくるものです。
それだけにコミュニケーションがスムーズに取れる業者と契約しないと、後々面倒などことにもなりやすいです。コミュニケーション不足では、依頼業務に支障が生じる恐れもあります。
それでは、経理代行サービスを利用するメリットどころではなく、デメリットの方が大きくなってしまいます。そのようなことがないように、コミュニケーションが図りやすい業者を選んでください。
経理代行が向いている企業とは?利用すべきケース

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経理代行サービスのメリット・デメリットも踏まえた上で、どのような企業に向いているサービスなのかを考えてみましょう。利用すべきケースです。
中小企業やスタートアップでの経理業務の課題
中小企業では、専門の経理担当者を雇う余裕がなく、経営者や一般社員が経理業務を行うことがあります。その場合、専門的な知識や経験を持ち合わせてないので、業務遂行が滞りがちになることもあるでしょう。
それなら、経理代行サービスに依頼して、経理業務を行ってもらう方がスムーズに進むようになり、時間も労力も削減されます。
スタートアップ企業の場合、経理業務の量と複雑さで対応に苦労している場合もあります。担当者を置くにしても、まだ人材を雇えていない、教育が充分にできていないというケースもあるでしょう。
そのようなときは、経理代行サービスに依頼すれば、経理業務における課題を解決できます。
人手不足や内部リソースの限界に直面している企業
現代の企業の大きな課題になっているのが人手不足です。経理業務でも思うような人材を見いだせずに、業務遂行に支障が生じていることもあるでしょう。そのような企業では、内部リソースの確保も思うようにできないものです。
そこで活用したいのが経理代行サービスです。社内に経理の人材が不足していても、内部リソースが確保できなくても、依頼業者が経理に関する業務を行ってくれます。これで企業も安心して、本来の活動に専念できるようになるでしょう。
成長フェーズで効率を求める企業
成長フェーズにあり、各業務を効率化して収益を上げたいと思っている企業にも経理代行サービスがおすすめです。
経理代行サービスなら、経理業務が大幅に効率化され、手間も時間も掛からなくなります。依頼業務範囲にもよりますが、自社で行う業務は簡略化され、少なくなるでしょう。
その結果、社員の業務負担も減り、本来の業務に集中しやすくなって、利益アップに向けた活動もしやすくなります。
経理代行の具体的なサービス内容
経理代行では、どのようなサービスを利用できるのでしょうか。具体的なサービス内容を紹介しましょう。

日常的な経理業務の代行
経理代行サービスでは、日常的な経理業務の代行を依頼できます。これは基本中の基本とも言えるサービスで、仕訳、記帳、帳簿管理などを行ってもらえます。
給与計算や税務申告の補助
給与計算は経理担当者の主要な業務の1つですが、経理代行サービスでも依頼ができます。経理代行サービスに依頼すると、給与計算におけるミスも防ぎやすくなります。
税務申告に関する業務を経理代行サービスに依頼することも可能です。申告書の作成業務のほか、税務署への提出までしてくれる業者もあります。提出した申告書の控えは、後で企業側に送付してもらえるので、安心です。
売掛金・買掛金管理
売掛金は販売代金を後日受け取る代金で、買掛金は販売代金を後日支払う代金です。ともに将来のことになるので、経理業務が忙しいと、時期を忘れてしまうこともあります。
そのようなことがあれば、企業側にとっても損失となります。
ここでも経理代行サービスが役割を果たしてくれます。売掛金・買掛金管理をしてくるのです。これで企業の損失を防ぎやすくなるでしょう。
決算業務のサポート
企業の決算業務も経理代行サービスに依頼できます。
企業の決算では、1年間の収益とコストを決算書にまとめて報告しますが、この代行を依頼できるのです。
決算をするには、簿記や税法の専門的な知識も必要になってきますから、専門家でなければ対応もしにくいのですが、経理代行サービスに依頼すると、そのような心配がありません。
年末調整業務
毎年、年末になると企業に発生する業務が年末調整ですが、これも経理代行サービスに依頼できます。
年末調整は社員の数が多くなれば、業務量も増え、経理担当者も大忙しとなります。経理担当者以外が担当していると、対応しきれないことも出てくるかもしれません。
それなら、経理代行サービスに依頼するのがおすすめです。

自社に経理代行が必要か?判断するためのポイント

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経理代行が向いている企業を紹介しましたが、本当に自社に必要かどうかを判断する必要もあります。そのポイントを解説しましょう。

社内経理のリソースと能力
経理代行が必要かどうかを判断するポイントの1つが、社内経理のリソースと能力です。
社内で充分経理リソースと能力を確保できるのなら、経理代行サービスを利用する必要はありません。社内ですべて対応できるでしょう。
社内経理のリソースと能力が不足している企業にこそ、経理代行サービスが必要です。
経費の削減効果と内部業務の効率化
経費の削減効果と内部業務の効率化が得られるかどうかも、経理代行サービスが自社に必要かどうかを判断するポイントです。
経理代行サービスを活用することで、経費が削減できる、経理業務が効率化される見通しが立った段階で依頼するのがおすすめです。
導入すべきタイミング
経理代行サービスを利用するにしても、導入するタイミングがポイントです。
導入タイミングについては、おすすめの時期があります。
- スタートアップ期:スタートアップ期にはまだ経理担当者を採用できない場合もあるので、経理代行サービスの利用がおすすめ
- 拡大期:取引先や社員が増えたときは、経理業務も増えるので、経理代行サービスの利用で業務効率化が図れる
- 安定期:安定期に入った企業でも、そのまま効率的に経理管理をする必要があるので、経理代行サービスの利用がおすすめ
- リスク管理期:法規制が複雑化したり、税務調査が入ったりする時期は専門の業者のサポートがあると心強いので、経理代行サービスの利用がおすすめ
- 経理担当者が辞めたとき:経理担当者が辞めたときは、経理代行サービスに移行する時期でもある
経理代行を検討するための次のステップ

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実際に経理代行サービスを導入することにしたら、いくつかのステップを踏む必要があります。そのステップを解説します。
経理代行の導入を検討する際に必要な事項
経理代行サービスの導入を検討するに当たって、まず社内の現状を把握しておきましょう。経理業務の進捗状況、担当者の数、経理代行サービスに依頼するメリット・デメリットなどを確認しておきます。
その上で、依頼する内容や機能を決めます。その後、業者選びとなるのですが、この点は事項で説明します。
経理代行サービスを利用することにしたら、社内で周知を図るようにしなければいけません。現在、社内に経理担当者がいれば、その役割も変わるので、引き継ぎ作業も必要です。
経理とは関係ない社員にとっても、誰が経理作業を担当しているのか知っておいてもらうことも大事です。
経理代行の比較ポイント
経理代行サービスを導入することにしたら、どの業者のサービスを選ぶかを決めなければいけませんが、その際の比較ポイントを解説しましょう。
料金
経理代行サービスの料金は、業者や依頼内容・範囲、オプション利用状況などによっても変わってきます。
ここをよく比較して、自社の予算内で対応してくれるサービスを選定しなければいけません。
実績
経理代行サービスを比較する上でチェックしなければいけないのが、各業者の実績です。どのような企業のどのような業務を過去に担当したことがあるのか、あるいはその数、経験年数、活用事例などを見る必要があります。
経理代行サービスを提供している業者のホームページにも実績について記載があるでしょうから、そこで確認してみましょう。その際に、自社と同じような業種で実績が豊富なら、信用しやすくなります。
サポート体制
経理代行サービスのサポート体制も比較ポイントです。サポート体制が充実しているサービスを選べば、いざ困ったときに助かります。
では、どのようにサポート体制をチェックすればいいのかをまとめてみましょう。
- サポート時間
- サポート手段(電話かメールかチャットか訪問かなど)
- 緊急時に連絡が取りやすいかなど
まとめ
今回は、経理代行サービスについて詳しい解説をしました。
企業にとって経理は重要な業務であり、経営を円滑に進めるためには業務遂行上の支障があってはいけません。
ただ、各企業の事情により、経理業務を担当するスタッフを雇えなかったり、大幅な手間や時間が掛かったりすることもあります。そのようなときにおすすめなのが経理代行サービスの利用です。これで経理業務が大幅に効率化します。
経理代行サービスにはメリットもデメリットもありますが、その内容を踏まえた上で、自社にも必要だと思ったら、ぜひ導入を検討してみてください。
