COLUMN経営コラム

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税務調査でミスや違反を指摘されるとどうなる?|ペナルティや手続きについて詳しく解説。

2021.12.10

税務

前回は税務調査の対応方法について説明しました。

何事もなく税務調査が終わればなによりですが、ミスや違反を指摘されるケースももちろんあります。そこで今回は、

  • 税務調査で指摘を受けるとどうなるのか
  • 税務調査ではどのような指摘が考えられるか
  • 調査官の指摘に対して、どのように対応すべきか

について解説したいと思います。

本記事は基本的に中小企業の法人税について記述していますが、個人事業主の方・規模の大きな法人の経営者・経理担当者様にもたいへん有用な内容ですので、ぜひ最後までお読み下さい。

税務調査後の手続き・納税

税務調査は税務上の処理の、間違いや違反(※)を見つけ、それを正すために行われるものです。

(※)ここで言う間違いや違反とは、「故意ではない誤り」を指します。
わざと不正を働けばそれは脱税行為であり、最悪の場合逮捕・起訴される可能性があります。本記事ではこういったケースには触れません。

したがって、調査官からミスを指摘されることもあります。

ミスや違反を認めるかどうかは、税理士とよく話し合って決めましょう。

ミスや違反が確定した場合、どのようなペナルティや手続きがあるのかを説明します。

税務調査後の手続きや納税

税務調査で過誤を指摘された場合、それを是正して必要な金額を納税する必要があります。具体的な手続きや納税について見てみましょう。

① 修正申告をする

調査を受けた申告内容に過誤があったのですから、修正申告をしなければなりません。

修正申告書は通常、立ち会った顧問税理士が作成してくれます。費用は事業規模などによりますが、中小企業ではだいたい3~10万円程度でしょう。

② 払い漏れていた税金を支払う

修正申告をする場合、普通は追加で納税の必要があります。

税額については事前に税務調査官と税理士で打ち合わせが済んでおり、納税者の了解も得ています。

この納税は「本来であったら支払うべきであった税金」を納めることですので、いわゆるペナルティではありません。

③ 延滞税・加算税などの納付

上記税金を納付すると、延滞税・過怠税などの通知が来るのでそれも納付する必要があります。

延滞税は、納税が遅れたことによる利息に相当する税金。計算は税務署がしてくれるので、通知の通りの金額を支払います。

計算方法や税率を詳しく知りたい方は、国税庁HP「延滞税について」をご参照下さい。

加算税はよりペナルティ色の濃いものです。

法人税調査で主に課せられる加算税は過少申告加算税で、大雑把にいうと追加納税額の10%です。

詳しい計算方法や、その他の加算税については国税庁HP「加算税の概要」でご確認下さい。

税金は納税者(会社)が支払う!

「税理士に記帳代行や税務申告を依頼していて、いざ税務調査が来たら追加の納税があった。これを自社で支払うのは納得がいかない。」と思われるかもしれませんが、これは大変な勘違いです。

税金は納税者本人が納めるべきもの。経理業務や税務申告を外部に依頼するのも納税者(会社)が選択したことですので、税理士のせいにはできません(※)

(※)税理士に重大な過誤や契約違反などがあった場合には損害賠償を請求することもありますが、一般的ではありません。

そもそも、税務調査に立ち向かう税理士や担当者の姿を見ていれば、責任を問う気持ちなどを持つことはないでしょう。

税務調査で受ける(かも知れない)指摘 | それぞれの危険度を整理する

法人税の税務調査では様々な指摘が考えられます。

調査が入ると決まれば、顧問税理士との事前打ち合わせで「こういった指摘や質問が考えられます」といった説明があるでしょう。

ここで紹介するのは、顧問税理士との打ち合わせにお役立ていただける指摘事項の危険度に関する知識です。

危険度(※1)タイプ事例(※2)
低い(短期間で解消される=その年の税金は増えるが、翌年の税金が減るため、ダメージが少ない)。期ズレ(売上や経費を正しい期間に置かず、入金・支払ベースで計上している)。期末近くの未入金売上を計上していなかった。
仕入れに対する未入金のリベートを収入に計上していない。
お金が余ったので会社の家賃を一括年払いしたが、全額経費にしていた。
中程度(長期間では解消される=その年の税金は増えるが、数年~数十年に渡っての税金が減るため、税務調査のダメージが比較的小さい。)同上(2年以上に渡る)数年分を一括して支払った経費を全て当期の経費としていた。
生命保険などの処理を誤って、全額費用にしていた場合。
減価償却の費用計算(耐用年数など)が間違っている。
高危険(将来に渡っても解消されない過誤や違反)損金(法人税計算上の費用)に算入できない経費に分類される。社長など、個人の利益となるものが経費に入れられていた。
支払手数料などに経理・税務処理していた費用が交際費であると認定された。
(※1)ここでの「危険度」が意味するのは「その指摘による納税(本税部分)がどの程度の期間で取り戻せるか、または取り返せないのか」を示しています。
(※2)この表で示した事例が必ずしも損金にならないということではありません。顧問税理士にしっかりと確認しましょう。

調査官の指摘に対する対応方法

税理士が税務調査に立ち会う場合には、事前の打ち合わせは当然のことながら、実地調査の日毎に税理士や担当者から報告や面談が行われるはずです。

そこでは、最終日にどのような指摘が予想されるか、またそれに対する対応方法もレクチャーしてもらえますので、心配は全く必要ありません。

その折、経営者(事業主)や経理担当者が注意すべきは、まず必要な納税額。次に上記の危険度です。

無論、これらについて顧問税理士が丁寧に説明してくれるでしょうが、前提となる知識として本記事をご利用いただけたらと思います。

まとめ:税務調査官は「性悪説」を前提に考えている|だからこそ税理士や記帳代行の存在価値がある。

よく言われることですが、税務調査は「性悪説」ですすめられます。簡単に言うと「この納税者は何かしら過誤や隠ぺいをしているに違いない」という前提で調査に入るということです。

因みに、税理士も会計・税務の監査ではある意味で「性悪説」に立っています。

もちろん、クライアントを脱税の容疑者と考えているということではありません。

来たるべき税務調査に備えて、敢えて「性悪説」の立場から会計・税務の監査を行っているのです。

自社での会計処理・税務処理では真逆の「性善説」に偏りがちです。

客観的な視点を会計処理に導入するには、税理士事務所に記帳代行を依頼するのが最も簡単な方法です。

末松会計事務所では、記帳代行のご相談を受け付けています。以下よりお問い合わせ下さい。

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この記事の執筆者

末松和真

税理士法人FLAGS代表社員。税理士。 (株)FLAGSホールディングス 代表取締役 税理士として税務・会計はもちろんの事、経営支援・クラウド会計支援・融資実行・補助金に強く、幅広い知識とサービスで企業の成長を支援している。