COLUMN経営コラム

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電子帳簿保存法改正とは:わかりやすく解説!重要なポイントを押さえる
投稿日:2023.08.09
更新日:2025.03.07
経理クラウド
2022年1月1日、改正電子帳簿保存法が施行されました。
この記事では、その改正内容を各分野のプロフェッショナルが在籍する団体監修の元にわかりやすく解説していきます。重要なポイントが含まれますから、しっかり押さえておいてください。
▼ この記事の内容
電子帳簿保存法とは?

まずは、電子帳簿保存法とは、どんな法律なのかから解説しましょう。
概要
電子帳簿保存法は、通常紙で保存されることになる国税関係の帳簿や書類を電子データで保存することを認める法律です。合わせて、保存するときの取り扱いも定めています。
区分
電子帳簿保存法で保存される帳簿や書類は次の3つの区分に分類されます。
区分 | 特徴 | 例 |
電子帳簿等保存 | コンピューターで作成した帳簿や書類をそのまま電子データで保存すること | 会計ソフトなどで作成した帳簿や決算書類などをそのまま電子データで保存 |
スキャナ保存 | 紙で受領・作成した書類を画像データとして保存すること | 相手から受け取った請求書や領収書をスキャンして保存 |
電子取引データ保存 | 電子的に授受した書類をデータ保存すること | 注文書や契約書などの取引情報を電子データでやりとりした場合の電子保存 |
メリット
電子帳簿保存法によってデータを電子保存するメリットがどこにあるのか、考えてみましょう。
経理業務が効率化される
これまで紙で扱われていた経理の書類や帳簿が電子データで保存されるようになると、業務が大幅に効率化されます。
紙データというものは量も膨大になり、取り扱いも大変ですが、電子データなら抽出も読み込みも簡単です。自動仕分けによる経理の自動化もできます。
リモートワークに対応できる
紙による請求書や領収書の処理・確認では、出社して行わなければならず、リモートワークには対応できませんでした。
ところが、電子データで保存となれば、クラウド保存などによりオフィス外からの確認もしやすくなり、リモートワークで経理業務を遂行できるようになっています。出社しなくても、仕事ができるのです。
紙の書類や帳簿の保存スペースが必要なくなる
書類や帳簿を電子データで保存できるようになれば、紙の書類や帳簿の保存スペースが必要なくなります。
国税関係帳簿書類については7年~10年分の保存をしなければいけないのですが、これを全部紙で保存するとなると、かなりのスペースを取ります。
一方、電子保存ならそのようなスペースがなくても大丈夫です。オフィススペースのミニマム化という点でも、電子保存が役に立ちます。
コスト削減
電子データの保存ではコストも削減されます。
紙の書類や帳簿の保存では、紙代、インク代、切手代、ファイル代、保管スペースの確保にかかる費用など、様々なコストが生じます。
電子データでの保存ではそのようなコストは必要ありません。 さらに電子契約も導入すると、印紙代もかからないため、余計なコストの節約ができます。
リスク軽減
紙の書類や帳簿を保存する場合は、鍵を掛けておくでしょうが、鍵が壊されて盗難されることもあります。また、火事や不注意による紛失リスクもあります。
電子データ保存にもリスクはありませんが、強固なセキュリティ設定をしておくと、そのリスクも最小限で済むでしょう。データをバックアップしておけば、紛失したときも回復ができます。
電子帳簿保存法の改正内容

2022年1月、電子帳簿保存法が改正されましたが、従来の法律から変更になった点がいくつもあります。以下でその変更点をまとめてみましょう。
区分 | 改正点 |
電子帳簿等保存 | 税務署長の事前承認制度の廃止 |
優良な電子帳簿に係る過少申告加算税の軽減措置 | |
最低限の要件を満たす電子帳簿についても、電磁的記録による保存などが可能になった | |
スキャナ保存 | 税務署長の事前承認制度の廃止 |
タイムスタンプ要件・検索要件等の緩和 | |
適正事務処理要件の廃止 | |
不正があった場合の重加算税が加重された | |
電子取引 | タイムスタンプ要件・検索要件等の緩和 |
適正な保存を担保するための見直しが行われた |
電子帳簿等保存に関する改正内容
まず電子帳簿等保存の改正内容を見てみます。
税務署長の事前承認制度の廃止
従来の法律では、電子帳簿等保存を希望する場合は、事前に税務署長に届出をして、承認を受けなければいけませんでした。電子帳簿保存法の改正以降はこの手続きが不要になります。
この改正により、だれもが電子帳簿等保存に取り組みやすくなりました。準備さえ整えば、いつでも開始可能です。
優良な電子帳簿に係る過少申告加算税の軽減措置が整備された
電子帳簿保存法の改正により、一定の要件を満たすと、申告漏れがあった際の過少申告加算税が5%軽減されます。一定の要件とは以下のようなものです。
- 一定の国税関係帳簿について優良な電子帳簿の要件を満たして、電磁的記録による備え付けおよび保存を行う
- 過少申告加算税の軽減措置を受ける旨を記した届出書をあらかじめ所轄税務署長の提出している
最低限の要件を満たす電子帳簿についても、電磁的記録による保存などが可能になった
最低限の要件(3つ)を満たす電子帳簿についても、電磁的記録による保存などが可能になりました。これまでは電子保存の適用要件が8個もありましたが、3つだけでよくなったのです。
3つとは、次のような内容です。
- システム関係書類等を備え付けること
- 保存場所に各種機器やそのマニュアルを備え付け、整然とした形式および明瞭な状態で出力できるようにしておくこと
- 税務署員が質問検査権に基づいて電磁的記録のダウンロードを求めたときに応じられるようにしておくこと
システム関係書類等とは、システム概要書、システム仕様書、操作説明書、操作処理マニュアルなどのことです。
各種機器は電子計算機(パソコンなど)、プログラム、ディスプレイ、プリンターなどのことで、これらに合わせてマニュアルも準備しておきます。
スキャナ保存に関する改正内容

次に、スキャナ保存に関する電子帳簿保存法の改正内容を確認してみましょう。
税務署長の事前承認制度の廃止
これは、電子帳簿等保存と同じ改正内容です。
タイムスタンプ要件・検索要件等の緩和
タイムスタンプとは、ある時点においてデータがたしかに存在していること、それ以降データが改ざんされていないことを証明する仕組みのことです。
スキャナ保存では、タイムスタンプを付与しなければいけないことになっています。
これまでのルールではタイムスタンプの付与期限は3営業日以内でした。電子帳簿保存法の改正以降は、これが最長約2ヵ月と概ね7営業日以内に延長されています。
受領者等がスキャナで読み取る際の国税関係書類への自署も不要になりました。
電磁的記録について訂正または削除を行った場合、その記録が残せるシステムに保存すれば、タイムスタンプの付与が必要なくなります。
検索要件の記録項目はこれまでたくさんありました。取引年月日や勘定科目、取引金額、さらに「2つ以上の任意の項目で検索できる」などの条件がついていました。
これが電子帳簿保存法の改正により、検索要件の記録項目が取引年月日・取引金額・取引先のみになりました。
また、以前は税務職員による電磁的記録のダウンロードの求めに応じられる場合には、範囲指定と項目を組み合わせて条件を設定できる機能を確保する必要がありましたが、不要になっています。
適正事務処理要件の廃止
国税関係書類をスキャナ保存する場合は、様々な適正事務処理要件が定められていました。次のような要件です。
- 事務処理は2人以上で行う
- 定期検査を実施する
- スキャンデータと紙を照合する
- 検査完了まで紙の原本保管をするなど
法改正以降はこの適正事務処理要件が廃止されました。その結果、スキャナ保存がしやすくなっています。
不正があった場合の重加算税が加重された
スキャナ保存が行われた国税関係書類の電磁的記録を隠蔽または仮装した場合、重加算税が10%加重されました。これは適正な保存を担保するための措置ですが、罰則が強化された格好になっています。
電子取引に関する改正内容

今度は、電子取引に関する改正内容を見てみます。
タイムスタンプ要件・検索要件等の緩和
こちらの改正内容はスキャナ保存の場合と同じですが、そのほか次のような改正も行われています。
基準期間の売上が1,000万円以下である方については、税務職員による質問検査権に基づく電磁的記録のダウンロードの求めに応じることができるようにしている場合の検索要件がすべて不要になりました。
基準期間とは、個人事業主では電子取引が行われた日の属する年の前々年の1月1日から12月31日までのことをいい、法人では電子取引が行われた日の属する事業年度の前々事業年度のことです。
適正な保存を担保するための見直しが行われた
電子取引では、法改正により適正な保存を担保するための次のような見直しが行われました。
- 申告所得税および法人税における電子取引の取引情報に係る電磁的記録について、その電磁的記録の出力書面等の保存をもってその電磁的記録の保存に代えることができる措置が廃止
- 隠蔽・仮装などの場合の重加算税が10%加重(スキャナ保存の場合と同じ)
改正電子帳簿保存法への対応の仕方

電子帳簿保存法の改正を受け、各企業でも対応しなければいけないことが出てきます。
ただ、電子帳簿等保存とスキャナ保存の場合は希望者のみになっているので、対応しないでも済みますが、電子取引データ保存は義務であることから、しっかり準備して臨む必要があります。
そこでどのように対応すればいいのか、以下にまとめてみました。
該当する取引を確認する
まずは、電子取引に該当する取引を確認しましょう。紙を介さない取引はすべて電子取引になります。例えば、電子メール、EDI、クラウドサービスなどにより授受された次のような書類が該当します。
- 請求書
- 領収書
- 見積書
- 納品書
- 注文書
このような書類で取引された電子データが電子取引の対象になります。
保存方法や保存場所を考える
電子取引に該当する取引の把握ができたら、保存方法や保存場所を考えましょう。保存では次の要件のうち1つは満たす必要があります。
- タイムスタンプが付与されたデータを受け取る
- 早急にタイムスタンプを付与する
- データの訂正や削除の記録が残るシステムか訂正や削除そのものが不可能なシステムを利用する
- 改ざん防止に関する事務処理規程を守る
そのほか、⽇付・⾦額・取引先で検索※できるようにし、ディスプレイやプリンターなども備え付けます。
※2年(期)前の売上が 1,000 万円以下であって、税務調査の際にデータのダウンロードの求め(税務職員への提示等)に対応できる場合には、検索機能の確保は不要です。
保存場所は部署ごとに異なることがないようにし、いつでも内容の参照・印刷ができるように整理しておかないといけません。
導入の準備
データの保存方法や保存場所を決めたら、システム導入の準備をします。改ざん防止、タイムスタンプ付与、訂正削除の記録が残るシステムを導入します。
導入にあたって初期費用はかかりますが、電子帳簿等保存やスキャナ保存に対応しているシステムもあり、幅広い用途に使えるでしょう。
適切な運用
電子データの保存ばかりに目を向けていてはいけません。システムの適切な運用ができるように社内でも方針をまとめ、社員に周知する必要があります。
電子取引の経過措置

電子帳簿保存法の改正により、電子取引のデータ保存が義務化されていますが、経過期間があります。2023年12月末までは、従来の紙による保存が許されているのです。
許される条件は2つあります。
- 税務署が認めるやむを得ない事情がある
- 保存すべき電子データを書面で出力し、税務調査等の際に提示できるようにしておく
ただ、経過期間終了まであまり時間がありません。早めに電子取引データの保存ができるように準備しておきましょう。
電子帳簿保存法改正に適切に対処しよう

この記事では、電子帳簿保存法の改正に関する情報をお届けしました。
電子帳簿保存法では、国税関係の書類や帳簿を電子データで保存する際のルールを定めています。そのルールが2022年1月の法改正により一部変更になりました。
今後電子データの保存をするときはその改正内容をしっかり確認しておく必要があるので、本記事の情報をぜひ活用してください。
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