COLUMN経営コラム

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コロナ関連の給付金や補助金には税金がかかるのか?
2021.12.03
税務補助金助成金
新型コロナウイルスの蔓延にともない、困窮する家庭や休業を余儀なくされる事業・売上が減少してしまった会社などのために、多くの補助金や給付金が支給されています。
今後も新たな補助金の交付や給付金の支給が行われるかもしれません。
では、これらの補助金や給付金には税金がかかるのでしょうか?
結論を言いますと、税金がかかるかどうかは補助金や給付金それぞれで異なります。
この記事では、補助金・給付金について
- 税金がかかるかどうか
- 課税・非課税の判断基準
- 税金がかかる場合に注意したいこと
を詳しく説明します。
すでに存在する補助金や給付金についてはもちろん、今後の新しい制度にも応用できる知識となっていますので、どうぞ最後までお読み下さい。
▼ この記事の内容
補助金・給付金に消費税はかかるか
一般的に補助金や給付金は消費税の課税対象となりません(つまり消費税がかからない)。これを不課税であるといいます(参考:国税庁HP「課税の対象とならないもの(不課税)の具体例」)。
消費税には課税の対象でない不課税と、本来は課税すべきだけれども政策上消費税を課さないこととしている非課税があって厳密に区別され、この区別は消費税の税額に影響する場合があります。
詳しくは国税庁HP「仕入控除税額の計算方法」
に説明がありますが、まずは顧問税理士に聞いてみましょう。
「御社には関係ありません」で済む場合が多くあるからです。無駄な勉強をせずに済むことも、顧問税理士の嬉しい利点の一つですね。
補助金・給付金に所得税・法人税はかかるか
所得税・法人税はともに個人・法人の収益にかかる税金です。
どんな補助金や給付金であっても、それを受ける個人や法人の収入であることは確かです。
では、どんな補助金・給付金に税金がかかり、どのようなものにはかからないのか。実際にはそれぞれ調べるしかありません。
しかし、基本的な基準を知っておけば、目安になるかと思います。以下、その目安を紹介していきます。
前提知識|所得税・法人税の課税・非課税
所得税・法人税では、個人や法人の収入について「課税」か「非課税」かの2つに分かれます(不課税という概念はありません)。
特に個人の所得税では、税金がかかる所得の区分や実際の税額、確定申告の要不要が複雑にからみ合っています。
これについては次回の記事で詳しく説明することにしますが、ここでは「所得税や法人税では課税・非課税の違いだけがある」ということを覚えておきましょう。
したがって以下の説明では単純に、「課税=税金がかかる」「非課税=税金がかからない(申告も不要)」と考えて下さい。
非課税の給付金|一般家庭に広く支給されるもの
一般家庭に広く支給される給付金等は、基本的に所得税(※1)がかかりません(非課税)。
所得税が非課税となっている給付金には、以下のようなものがあります。
これらに共通するのは「消費者としての国民(または国内在住者)に対して広く支給される(※2)もの」であることです。
このような給付金は、様々な法令措置で所得税がかからないように工夫されています。
ただし、これはあくまで一般論。新しい(またはここに掲載していない)給付金などについてはその都度、担当省庁などに確認するようにしましょう。
課税される補助金や給付金|事業者や法人に支給されるもの
個人事業主や会社・企業(法人)の売上補填・経費補填・特定の事業内容推進などのために支給される補助金や給付金は通常、支給を受けた個人事業主や法人の収入として所得税や法人税がかかります。
課税対象となる補助金・給付金は、コロナに関わるものだけでもかなり多数に上ります。
本記事では、それらを税金計算上の取り扱い別に整理していきます。
「課税される」と既に申し上げましたが、それ以上の税金計算上の取り扱いとは何でしょうか? それは「いつ課税されるか」という違いです。
収入が課税されるタイミング|収入とは? 益金とは? 算入の時期とは?
各種補助金・給付金が課税されるタイミングを説明するために、まずは「収入」「益金」などの用語について簡単に説明します。
なぜ、用語の説明が必要なのか。それはこの記事をご覧いただいている方に、本記事の内容を応用していただくためです。
新しい補助金などに出会ったとき、税務上の取り扱いについても調べる事があるでしょう。その際に、この記事で用いている用語の知識があれば、正しい理解に役立つはずです。
収入|益金
収入は、法人でも個人事業でも同じく「売上・その他の収入全般」のことを指します。
個人事業の確定申告では「収入に計上する」と「課税対象の収入として認識する」はほとんどイコールです。
対して、法人税では必ずしも「収入計上=課税対象」ではなく、申告書上で調整が行われます。課税対象の収入を「益金」と呼びます。
個人事業の確定申告では「収入計上」、法人では「益金算入」。この両者がほぼ同じ意味で、その時点で課税の対象となります。
確定主義|収入・益金を認識するタイミング
収入や益金を計上・算入するのは基本的に、その収入などの権利が確定したときです。これを「(権利)確定主義」といいます。
小売店なら商品を渡した日(代金を受け取った日ではないことに注意)。その他の取引なら普通は請求書の発行日がそれにあたるでしょう。
こういった通常の取引では、法人(会社)でも収入計上と益金算入が同時に行われます。
① 支給(交付)決定時に収入計上・益金算入するもの
権利確定主義からいえば、支給や交付が決定してその通知を受け取った日が収入・益金の認識すべき時期となります。これが基本です。
支給(交付)決定時に収入計上・益金算入するべき補助金・給付金は以下のようなものです。
共通点は、売上減少の補填であること。こういった補助金は、支給決定の通知を受けた日に収入として計上します。
② 対応する経費の発生時に収入・益金を認識するもの
上記①が基本ですので、大まかに言えば全ての補助金・給付金について支給や交付が決定し、通知を受け取った日に収入として計上し、法人ならば益金に算入することになります。
しかし、特定の経費を補填するための補助金が対象となる経費支出と違う年度に確定すると、税金の不均衡が生じます。
対象の経費を支払った年度の税金は少なくなる反面、補助金確定年度の税金が非常に高くなるのです。
このような事態を防ぐために、
といった制度では、対応する費用を支出する事業年度に合わせて補助金・給付金収入を認識することとなっています。
これらは全て、経費の補填という性質を持っています。
経費補填の特徴を持つ補助金などを受給する際には、収入の計上時期に気をつけましょう。
③ より注意が必要な補助金など
上記②と同様の目的ですが、補助金等の給付による一時的に過大な税負担を避けるため、圧縮記帳など特殊な処理を認めている場合もあります。
圧縮記帳などの処理方法などについてここでは詳しく説明しません。ただ、税負担が短期間にかたよらないように用意されている制度だということを述べるにとどめたいと思います。
例えば以下のような補助金では支給される金額が大きいため、支給決定の事業年度に一度に課税されれば、受給者にとって大変な税負担となります。
こういった補助金の受給によって一度に過大な税金を支払わなくて済むように、圧縮記帳ほかの制度が設けられています。
まとめ:補助金・給付金の申請前に税金まで含めた計画を!
補助金・給付金などには、税金がかかるものが多くあります。
申請する前に、税金がどうなるのかをよく確認するようにしましょう。
補助金・給付金の手続きは、「①申請 ②交付決定 ③受給」で完結したような気がしがちですが、それにかかる税金の申告・納税も重要な手続きの一つです。
まずは顧問税理士に相談しましょう。
万が一、補助金の申請等を顧問税理士以外の有資格者に頼んでいる場合でも、そのことを事前に必ず顧問税理士に伝えてください。
顧問税理士は全ての情報を持っていなければ、あなた(の会社)に最適な税務処理を選択することができません。
したがって、どのような補助金・給付金の申請も、申請する前に顧問税理士に相談しないと、その恩恵を充分に受けることができないので注意が必要です。
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