COLUMN経営コラム

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インボイスの対応にはクラウド会計ソフトが最適!その理由を大公開!
投稿日:2024.05.02
更新日:2024.05.02
税務経理クラウド
インボイス制度とは、売手が買手に対して、正確な適用税率や消費税額等を伝えるための制度です。2023年10月1日から施行されており、消費税における仕入税額控除の取り扱いは大きく変わりました。インボイスに対応するためには、クラウド会計ソフトの導入がおすすめです。クラウド会計ソフトは、経理財務の効率化や正確性の向上に有用なツールですが、インボイス制度の導入によりその有用性はさらに高まっています。本記事では、インボイス制度にも対応しているクラウド会計ソフトの機能や、おすすめのクラウド会計ソフトについて紹介していきます。経営者の方や経理業務に従事されている方は、ぜひ参考にしてみてください。
▼ この記事の内容
インボイス制度とは
インボイス制度というのは、売り手が買い手に対し、適切な税率や消費税の金額等を伝達するための体系です。 この制度の正式な名称は「適格請求書等保存方式」で、「適格請求書発行事業者の名前または商号と登録番号」「取引の日付」「取引の詳細(軽減税率が適用される商品である場合はその旨)」「各税率による合計対価と適用税率」「消費税の金額」「書類を受け取る事業者の名前または商号」などの要素が、請求書や納品書に記入・保管される必要があります。この制度は、2023年10月1日から開始されており、インボイスの提供は、税務署長の登録を受けた適格請求書発行事業者だけが行うことができます。さらに、消費税の課税対象事業者でない場合、インボイスの発行事業者としての登録はできません。売り手である登録事業者は、買い手である取引相手(課税事業者)から要求された場合、インボイスを提供しなければなりません。また、提供したインボイスについては、コピーを保管しておく必要があります。一方、買い手は仕入税額控除を受けるために、基本的に、取引相手(売り手)である登録事業者から提供されたインボイスを保管する等が必要です。さらに、インボイス制度では、法人や個人事業主が会計業務で頻繁に使用する領収書やレシートは、「簡易インボイス(適格簡易請求書)」として扱われます。インボイスの記載事項について、現行の区分記載請求書との比較を下表にまとめます。
区分請求書 | インボイス(適格請求書) |
発行側の企業名や氏名 | 発行側の企業名や氏名 |
取引年月日 | 取引年月日 |
内訳 | 内訳 |
金額 | 金額 |
宛名 | 宛名 |
軽減税率対象商品の旨 | 軽減税率対象商品の旨 |
税率ごとに対価した額 | 税率ごとに対価した額 |
– | 登録番号(課税事業者のみ登録可) |
– | 適用税率 |
– | 税率ごとに区分した消費税額等 |
インボイス制度を対応するのにクラウド会計を導入するのがおすすめ
インボイス制度への対応には、クラウド会計を導入するのがおすすめです。近年ではビジネスのDX化が進んでいる中で、経理業務もその例外ではありません。特に、インボイス制度や電子帳簿保存法の導入は、企業として対応すべき事項が増えるという側面だけではなく、自社の経理体制を一新するチャンスとなる可能性も秘めています。そのため、インボイス制度や電子帳簿保存法での対応を自社の成長に繋げるためには、適切なツールを効果的に活用する必要があるのです。クラウド会計ソフトは、その利便性と効率性から多くの企業に選ばれています。インボイスの発行から消費税の帳簿入力、確定申告まで、一連の会計業務を自動化し、手間を大幅に削減します。また、リアルタイムでのデータ更新やリモートアクセスの可能性など、ビジネスの柔軟性を高める機能も備えています。インボイス制度は、取引の透明性を高め、税務管理を効率化するための制度ですが、その運用には適切なシステムが必要となります。クラウド会計ソフトでは、インボイスの自動発行やデータの一元管理など、インボイス制度を効果的に運用するための機能を提供します。これらの点から、クラウド会計ソフトの導入は、インボイス制度に対応するための最良の選択と言えるでしょう。
インボイス制度に必要なクラウド会計ソフトの機能
ここでは、インボイス制度に必要なクラウド会計ソフトの機能について解説します。クラウド会計ソフトは、経理財務の効率化や正確性の向上に有用なツールですが、インボイス制度の導入によりその有用性はさらに高まっています。クラウド会計ソフトの機能を正しく理解し、自社のビジネス環境とニーズに最適な会計ソフトを選択するようにしましょう。以下で詳しく説明していきます。
インボイスの発行
クラウド会計ソフトを使用すると、計算が必要な項目を含めて、インボイスの記載項目を自動で作成することが可能です。これにより、手間を省き、エラーを減らすことができます。
消費税の帳簿入力
クラウド型の会計ソフトウェアは、取引ごとに消費税率や請求書のカテゴリーを分けて記録する機能があります。これにより、集計作業の負担を軽減することができます。さらに、インボイス制度が導入されてもすぐに免税事業者からの仕入税額控除ができなくなるわけではありません。免税事業者との取引でも、下表の通り一定期間は特定の控除を受けることが可能です。ただし、この経過措置を利用するためには、「80%控除対象」などの表現を明記する必要があります。そのため、経過措置に対応した会計ソフトウェアが必要となります。
免税事業者に係る経過措置の期間 | 仕入税額相当額に対する控除率 |
2023年10月1日から2026年9月30日 | 80% |
2026年10月1日から2029年9月30日 | 50% |
2029年10月1日以降 | 全額控除が不可 |
消費税の確定申告
クラウド会計ソフトは、消費税の確定申告にも対応しています。消費税を納付するには、所得税だけでなく消費税の確定申告も行わなければなりません。消費税の確定申告は、所得税の確定申告と比較して複雑です。こちらはクラウド会計ソフトでも対応していますが、取引数が多い場合には専門家に依頼することも検討しましょう。
簡易課税制度に対応
クラウドベースの会計ソフトウェアは、消費税の簡易課税制度に対応しています。下表の通り、対象となる期間に売上高が基準を満たしていれば、消費税の簡易課税制度を適用することが可能です。しかし、申告時に提出する書類が通常とは異なるため、導入を検討しているクラウド会計ソフトがこの制度に対応しているかどうかを確認することが重要です。
事業形態 | 売上高 |
個人事業主 | 前々年の課税売上高が1,000万円以下 |
法人 | 前々事業年度の課税売上高が5,000万円以下 |
軽減税率に対応
クラウド会計ソフトは、軽減税率にも対応しています。事業者によっては、複数の税率の商品を取り扱うこともあります。その場合には、軽減税率・標準税率を区分して会計できるソフトを選ばなければなりません。また、小売業や飲食業のような少額で多数の取引がある事業者の場合、適格簡易請求書を利用することになります。
改正電子帳簿保存法に対応
クラウド会計ソフトは、改正電子帳簿保存法にも対応しています。インボイスには7年間の保存義務がありますが、改正電子帳簿保存法に対応していて、請求書の自動保存ができる会計ソフトであれば手間もかかりません。インボイス制度も改正電子帳簿保存法も互いに証憑の管理や運用に関わる法令であるため、両方に対応できるクラウド会計ソフトを選ぶことで効率化が図られます。クラウド会計ソフトが電子帳簿保存法に役立つ理由は、義務化された電子データ保存に他システムを入れずとも自動対応できること、任意制度のスキャナ保存も他システムを入れずとも対応できること、全ての証憑を電子保存で統一でき、保存場所も1つのクラウド会計システムとなることが挙げられます。
クラウド会計ソフトでインボイス制度を対応するメリット・デメリット
ここでは、クラウド会計ソフトでインボイス制度を対応するメリット・デメリットについて解説します。クラウド会計ソフトを利用することには、多くのメリットがある一方で、導入される企業によってはデメリットと感じられる事象が発生する可能性もあります。以下で詳しく説明していきます。
メリット
クラウド会計ソフトでインボイス制度を対応するメリットには、下記の4つが挙げられます。
- 最新の税法への対応: クラウド会計ソフトは、常に最新の税法等に対応したシステム構成になっているため、バージョンアップ等の手間が省けます。これにより、導入企業は税法の変更に迅速に対応することができます。
- 業務効率化: クラウド会計ソフトは、他の業務システム(販売管理システムや帳票発行システム)と連携することで業務を効率化できます。これにより、導入企業は業務プロセスをスムーズに進め、生産性を向上させることができます。
- リモートワーク対応: クラウド会計ソフトは、クラウドにアクセスできる環境があれば、どこでも業務が進められます。これにより、リモートワークなどの柔軟な働き方に対応することが容易になります。
- インボイス制度の対応: クラウド会計ソフトは、受け取った請求書の要件確認から、発行する請求書のインボイス対応まで、一連のインボイス制度の要件を満たすことができます。これにより、企業はインボイス制度の導入と運用をスムーズに進めることができます。取り込んだインボイスに対して、取引先がインボイス対応しているか否かを、インボイス番号から自動判定できる機能もあります。また、インボイスのOCR読み取りにより、消費税区分に応じた自動仕訳が可能です。その他、インボイス制度の要件を満たす適格請求書を発行し、それをクラウド上で自動保存することができます。これにより、インボイス制度だけではなく、電子帳簿保存法にも対応が可能です。
デメリット
クラウド会計ソフトでインボイス制度を対応するデメリットには、下記の2つが挙げられます。
- 業務フローの混乱: クラウド会計ソフトは、従来の会計システムや販売管理システムと設計や利用方法等が大きく異なる場合があり、導入後の業務フローなどの混乱が起きる場合があります。新しいシステムの導入には、時間とコストがかかるという点ではデメリットがあると言えます。
- 業務フローの見直し: クラウド会計ソフトは、他のシステムとの連携などを行う際にも業務フローの見直しが必須であり、会社のバックオフィス業務全体を俯瞰した業務フローやデータの流れの再設計が必要となります。クラウド会計ソフトを導入する際には、システムの導入だけではなく、その運用にも注意が必要であることを理解しておきましょう。
インボイス制度などの法令改正に自動対応してくれるおすすめの会計ソフト
ここでは、インボイス制度などの法令改正に自動対応してくれる、おすすめの会計ソフトを比較して紹介していきます。自社のニーズを確認しつつ最適なソフトを選択するようにしましょう。以下で詳しく説明していきます。
弥生会計オンライン
弥生会計オンラインは、日々の取引入力の自動化から経営状況の見える化、会計事務所との連携から決算書の作成まで、小規模法人に必要な会計業務を一手に担うクラウド会計ソフトです。インボイス制度や電子帳簿保存法にも対応しており、最新の税法変更にも迅速に対応することが可能となります。弥生会計オンラインは、その効率性と便利さから、多くの小規模法人に選ばれています。会計業務をこれひとつで完結させることができるため、企業の財務管理を一新する大きなチャンスと言えるでしょう。各プランの価格について、下表にまとめます。
弥生会計オンラインの価格
プラン名 | 年額料金(税抜) |
セルフプラン | 27,800円(1年間無料) |
ベーシックプラン | 37,600円(1年間無料) |
(出所: https://www.yayoi-kk.co.jp/kaikei/price/)
マネーフォワードクラウド会計
マネーフォワードクラウド会計は、日々の取引の入力から経営状況の見える化、そして会計事務所との連携まで、一手に担うクラウド型の統合会計ソフトです。また、インボイス制度や電子帳簿保存法にも対応しています。具体的には、仕訳入力画面で適格請求書発行事業者との取引か、それ以外の事業者との取引かを簡単にチェックボックスで区別できます。消費税の免税事業者などの、適格請求書発行事業者以外の取引先との仕訳を登録する場合、このチェックボックスを外して登録することによって、取引日に応じた経過措置による仕入税額控除の額が適用されます。各プランの価格について、下表にまとめます。
マネーフォワード クラウド会計の価格
プラン名 | 年額料金(税抜) |
スモールビジネス | 35,760円 |
ビジネス | 59,760円 |
クラウド会計Plus | 要見積もり |
(出所: https://biz.moneyforward.com/accounting/price/)
freee(フリー)
freee(フリー)は、経費精算システムや給与計算システムとの連携が可能なクラウド会計ソフトです。インボイス制度や電子帳簿保存法にも対応しており、最大5人までの利用者は追加料金なしで利用でき、バックオフィス業務もサポートします。また、銀行口座やクレジットカードの登録によって入出金データを自動で取得できるのも魅力です。従来の手作業での入力から、自動取得される銀行口座やクレジットカード、電子マネーなどのデータから作業を自動化することで、会計業務を月19時間から約半分の9時間に短縮できた事例もあります。その他にも、データの自動保存が行われるため、作業を安全に進めることが可能であり、無料アップデート機能により、常に最新のバージョンに保つことができます。各プランの価格について、下表にまとめます。
freeeの価格
プラン名 | 年額料金(税抜) |
ミニマム | 23,760円 |
ベーシック | 47,760円 |
プロフェッショナル | 477,600円 |
(出所: https://www.freee.co.jp/accounting/small-business/pricing/)
HANJO会計
HANJO会計は、カシオ計算機株式会社が提供する飲食店に特化したクラウド型会計ソフトです。スマホでレシートや領収書を撮影すると、AI解析エンジンが文字認識を行い、勘定科目を自動推測し登録してくれます。これにより、会計作業が効率化できます。また、HANJO会計にはナビ機能が搭載されていて、画面の指示に従うだけで記帳や確定申告書の作成が完了します。シミュレーションによって売上げを予測してくれる機能や、過去データとの比較機能も搭載されているので、過去の経営に比べて現在がどのような状況になっているのかも把握できます。HANJO会計は、インボイス制度にも対応しており、飲食店の経理業務を1つのシステムで完結させることができる利便性の高いソフトです。リーズナブルな料金設定も魅力的であり、下表の通りです。
HANJO会計の価格
プラン名 | 月額料金(税込) |
通常プラン | 月額1,078円 |
(出所: https://tenpo.casio.jp/service/accounting/index.html)
クラウド円簿
クラウド円簿は、中小零細企業や個人事業主、そしてこれから独立・企業を考えている方向けのクラウド会計ソフトです。アップデートを含む全ての機能が無料であり、機能制限も期間限定もなく利用することができます。また、経理初心者にも分かりやすい画面構成となっているため、簿記の知識がない方でも安心して使うことができます。弥生会計との互換性もあるため、これまでの会計データをスムーズに同期することが可能です。
クラウド円簿の価格
プラン名 | 年額料金(税抜) |
クラウド円簿 | 0円 |
(出所: https://www.yenbo.jp/service-info/kaikei.html)
まとめ
本記事では、本記事では、インボイス制度にも対応しているクラウド会計ソフトの機能や、おすすめのクラウド会計ソフトについて紹介しました。インボイス制度は、対応すべき事項が多いため担当者にとっては負担となりますが、自社の経理体制を一新し、取引の透明性を高め、税務管理を効率化するチャンスでもあります。クラウド会計ソフトは、インボイス制度への対応を効率かつ正確に進めるために有用なツールです。導入前には導入目的や機能、料金体系などを十分に検討し、最適なクラウド会計ソフトを選ぶことが重要です。FLAGSグループは、名古屋市で50年以上にわたり、中小企業の継続的な発展を支援するサービスを提供しています。 経験豊富な専門家が集結し、インボイス対応やクラウド会計ソフトの導入はもちろんのこと、公的制度支援やM&A支援など幅広いサービスが提供可能です。変化の激しい経済環境において、顧客のニーズに迅速に対応し、総合的なサポートを続けています。インボイス制度をはじめとする法律や制度の改正への対応にお困りの方や、クラウド会計ソフトの導入等の経理業務の効率化を考えていらっしゃる方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。