COLUMN経営コラム

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クラウド会計ソフトで白色申告をより簡単に!選び方やお勧めソフトも

2024.04.12

税務経理クラウド

個人事業主やフリーランス等が行っている白色申告。

年間の収入に対し所得税や法人税を計算して納税を行う際、使える方法のひとつが白色申告ですが、申告の基礎となる取引の帳簿への記載や請求書の発行等を手書きで対応していると面倒を感じている方も多いのではないでしょうか?

そこで帳簿づけから白色申告までの面倒臭さや煩雑さを解決してくれる方法のひとつがクラウド会計ソフトの利用です。

クラウド会計を使えば、日頃の帳簿づけから白色申告時の帳簿作成まで簡易に済ませられ、大きく時間の効率化が図れます。

この記事では、白色申告で利用できるクラウド会計ソフトについて、大手3社を徹底比較しつつ、導入を検討されている個人事業主やフリーランスの方に有益な情報を提供します

なお、本記事はクラウド会計や白色申告に詳しいプロフェッショナルが在籍する団体が執筆を担当していますので、信頼いただきお読み下さい。

白色申告ソフトの選び方

クラウド型白色申告ソフトの選び方にはポイントがいくつかあります。

選び方のポイントに沿ってソフトを選べば、導入後に使いづらさから後悔したり、やり直しを強いられたりすることも少なくなります。

以下、4つの選定ポイントを説明します。

導入目的

クラウド型白色申告ソフトの選定ポイントの1つめは導入の目的です。

導入にあたり、自分がどういう目的で白色申告ソフトを必要としているか、目的を明確にして選ぶようにしましょう。

そもそも白色申告とは、青色申告とともに、個人事業主等が確定申告で選択する方法のひとつです。

白色申告は、帳簿づけなどのルールがゆるく申告のための経理作業が単純なため、経理手続きに苦手意識のある方には多く利用されている方法ですが、一方で税制上の優遇措置がなく節税メリットも薄いという特徴があります。

また手入力による経理手続きや確定申告に煩わしさを感じている方には、白色申告ソフトの導入は、日々の取引にかかる記帳事務や確定申告時の手続きを簡素化してくれます。

さらにクラウド会計は、ネット環境さえあればデバイスに関係なくどこからでも利用できるのも魅力です。

クラウド型白色申告ソフトを取り入れることで、経理手続き全般がさらに簡素化されることが確認できるならば、迷うことなく導入すべきでしょう。

機能

選定ポイントの2つめは機能です。

白色申告ソフトにも無料で使えるものと有料対応のプランがあり、それぞれ使える機能に違いがあります。

自分が白色申告を行うに当たり、どの程度の機能を使えば満足した結果が得られるか、よく検討して導入する必要があります。

求める機能としては、単式簿記対応か、将来の複式簿記にも対応しているか、取引の明細データを自動取込みできるか、収支内訳書や請求書の作成は可能か、電子申請や電帳法への対応などあり、検討する範囲は多岐に渡ります。

導入時の注意点

選定ポイントの3つめはソフトを導入時に注意しておく点です。

たとえばクラウド会計ソフトが使いやすいかどうか、導入前にUI(ユーザーインターフェイス)をしっかりチェックしておく必要があります。

特に入力画面などは複雑で使いにくいと導入後に煩わしさから後悔することになります。

また白色申告ソフト(クラウド型)を使う場合、入出力にパソコンやスマホなど色々なデバイスを利用することになります。

特に最近は持ち運びの利便性や機能性の向上からスマホの利用者が増加しており、白色申告ソフトの導入でもスマホに対応しているかどうかが重要なポイントになっています。

検討に際しては、上記の点をしっかり確認してから導入を決定しましょう。

料金・価格相場

選定ポイントの4つめは白色申告ソフトの利用料金・価格相場です。

白色申告ソフト(クラウド型)を利用する場合、有料プランなら当然料金がかかります。

クラウド型でも無料プランはありますが、利用できる機能に制限がかかっていることもあり、利用者の状況と照らし合わせて最初から有料のコースを選択することもあります。

また料金に関しては、利用したい機能に見合った適切な相場の白色申告ソフトを選ぶべきです。

一方白色申告ソフトには、クラウド型に加え、販売先から直接ソフトを購入して自社のパソコンにインストールして利用するタイプもあります。

しかしインストール型の申告ソフトは、クラウド型に比べ、利用者に会計や税務に対する一定の知識が必要なほか、法改正や税制の変更等にタイムリーに対応できにくいなどのデメリットもあり、導入には十分な検討が必要です。

可能なら当初から充実したユーザーサポートが受けられ、法改正等、最新の動きにも仕様変更でタイムリーに対応してくれるクラウド型申告ソフトの導入を検討された方が良いでしょう。

白色申告ソフト(クラウド型)のおすすめ比較

白色申告ソフト(クラウド型)を大手3社で主な機能や料金等で比較しつつ、どのソフトがおすすめか、お役に立つ情報を提供します。

まずは各社の白色申告ソフトを料金及び主な機能中心に一覧表で確認してみましょう。

 やよいの白色申告オンライン  マネーフォワード・クラウド確定申告freee会計  
料金(税込)月額契約0円(フリープラン)1,280円(パーソナルミニ) 1,680円(パーソナル)1,480円(スターター) 2,680円(スタンダード)
年額契約9,200円(ベーシックプラン/1年間無料) 初年度8,400円次年度より16,800円(トータルプラン)10,800円(パーソナルミニ) 15,360円(パーソナル) 35,760円(パーソナルプラス)11,760円(スターター) 23,760円(スタンダード) 39,800円(プレミアム)
帳簿づけ手入力
自動仕訳
確定申告書の作成
請求書の作成Misoca(ミソカ)と連携(注1) 月11枚以上は有料対応クラウド請求書と連携(注2) 回数無制限(ただしパーソナルミニのみ取引先の登録数上限15軒)○ 回数無制限
電子申告(e-Tax)パソコンから○(使用面でやや面倒あり)
スマホから
電子帳簿保存法への対応
スマホアプリの対応簡易的帳簿づけ(手入力)、レシート撮影等に特化○ 業務全般に対応○ 業務全般に対応

(注1)請求書作成では同社提供のMisocaというクラウドサービスを使います。またMisocaは無料でも使えますが、書類を月に11通以上作成する場合は、有料プラン(8800円~/年)への加入が必要です。さらにやよいの白色申告オンライン/フリープランはずっと無料ですが、Misocaは当初1年間だけ無料対応ですので注意して下さい。

(注2)クラウド請求書はマネーフォワードが提供する請求書作成のクラウドサービスです。

クラウド請求書の個人向けプランの料金はこちらです。有料プラン10800円~/年

やよいの白色申告オンライン

やよいの白色申告オンラインの良さは「フリープラン」があり、料金が「無料(0円)」にも関わらず有料プランと同じ機能が使える点です。

そのため、導入初年度は優待価格(1年間無料)を使ってサポート付きの有料プラン(ベーシック)で開始し、使い方に慣れてサポートが不要になればフリープランへ切り替えるのがおすすめです。

また確定申告を行うときには、同社が提供している電子申告ソフト(確定申告e-Taxオンライン)を使えば簡単に電子申告ができます。

一方スマホアプリは2つ種類があり、「手入力による帳簿づけ」「レシート撮影による帳簿づけ」に機能を特化しているので、主にスマホでソフトを利用したい個人事業主にはやや不便を感じるかもしれません。

マネーフォワード・クラウド確定申告及びfreee会計

マネーフォワード・クラウド確定申告及びfreee会計は、白色申告において有料対応のクラウドサービスです。

原則、やよいの白色申告オンラインのような無料対応はないので注意して下さい。(ただしマネーフォワードなら1カ月間無料で有料プラン(パーソナル)をトライアルで体験できるサービスがあります)

どちらも有料対応のため、請求書等の作成機能、電子申告への対応、スマホアプリの充実度など、いずれもやよいの白色申告オンラインより優れています。

たとえば無料対応の「やよい」でも請求書の作成は可能ですが、無料作成には通数に上限(月10通まで)があり、取引書類を多く作成する個人事業主だと追加料金がかかりがちになります。

一方「マネーフォワード」と「freee」なら追加料金なしで何通でも書類作成ができるので利用上のメリットが多いです。

また両クラウドソフトとも確定申告に必要な機能が一通り備わっており、安心して利用できます。

ただし各社ごと、機能に若干の違いがあるので注意も必要です。

たとえば「マネーフォワード」では、OSやデバイスに関係なくスマホからのみ電子申告が可能で、パソコンから申告する場合には、Windows・Macのいずれもe-Taxソフトを使う必要があります。

一方、「freee」は、OSやデバイスに関係なく電子申告ができたり、アプリの機能が充実していることからパソコン版と同じように使えたりします。

ただし有料対応の料金相場に関しては、「freee」が「マネーフォワード」を若干上回っているため、必要な機能を比較しつつ、自社に合った白色申告ソフトを選べば良いでしょう。

まとめ

今回はクラウド会計で白色申告に使える会計ソフトを大手3社に絞り比較して詳しく解説しました。

これから白色申告でクラウド会計の導入を検討している方にとって重要なことは、どの会社の白色申告ソフトが自分の業務や申告状況にマッチして使いやすいかだと考えます。

基本知識なしにソフトを導入すれば、料金的に自社に合わないとか、機能足らずや逆に余計な機能が付随して使いにくいことも起こります

そのためにも事前にクラウド会計についてよく調べてから導入が必要です。

本記事もその参考になりますのでぜひご活用下さい。

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この記事の執筆者

末松和真

税理士法人FLAGS代表社員。税理士。 (株)FLAGSホールディングス 代表取締役 税理士として税務・会計はもちろんの事、経営支援・クラウド会計支援・融資実行・補助金に強く、幅広い知識とサービスで企業の成長を支援している。