COLUMN経営コラム

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医療機関が対応すべき「インボイス制度」とは?健診や予防接種で注意

2023.10.05

税務経理

「インボイス制度」はさまざまな業種・事業に影響を与え、早急に対応を迫られている事業者も少なくありません。これは医療機関においても同様であり、とくに健康診断や予防接種などの自費診療の売上が多い場合には注意が必要です。

今回は、医療機関が対応すべきインボイス制度について、制度の概要や導入を判断するポイントも交えて解説します。

【前提】医療機関に影響する「インボイス制度」とは?

消費税が生じる事業であれば、すべての事業に対象となる制度が「インボイス制度」です。自費診療の売上が多い医療機関では、インボイス制度の対応を迫られる可能性があります。その点も踏まえて、まずは「インボイス制度」の概要を理解しておきましょう。

ここでは、医療機関に影響する「インボイス制度」について、以下の2つを解説します。

①仕入税額控除が受けられる
②適格請求書発行事業者になる必要がある

仕入税額控除が受けられる

消費税に関するルールではこれまでに「請求書等保存方式」が取られていましたが、消費税の二重課税を防ぐ目的もあり、「仕入税額控除方式」に変わります。「仕入税額控除」を導入すれば、売上で得た消費税から仕入れなどに支払った消費税を差し引けるようになります。

適格請求書発行事業者になる必要がある

インボイス制度で仕入税額控除を活用するためには、「適格請求書発行事業者」になる必要があります。ただし、課税売上が1,000万円を超えていなくても課税事業者となるため消費税の申告などが必要です。

とくに医療機関の場合は、公的医療保険でまかなっている取引が多く、適格請求書発行事業者との取引が少ない点には注意が必要です。後述のように、どのような相手と取引しているかは事前に確認しておきましょう。

インボイス制度の対象となる医療機関とは?

医療機関では公的医療保険制度の兼ね合いから、インボイス制度の対象となる取引は限られています。そのため、インボイス制度の検討をする前に、まずご自身の事業のなかで対象となる取引がどれくらいあるのかは確認しておきましょう。ここでは、インボイス制度の対象となる医療機関について、以下の2つのポイントを解説します。

①事業者とのやり取り(請求書・領収書など)がある医療機関
②自費診療の売上が年間で1,000万円を超える医療機関

事業者とのやり取り(請求書・領収書など)がある医療機関

医療機関の中には、健康診断や予防接種などで企業と取引をしているケースがあります。このような事業者とのやり取りしている医療機関である場合には、インボイス制度の対象となる可能性があります。ただし、インボイス制度は取引相手が「適格請求書発行事業者」の必要もあり、必ずインボイス制度で対応すべき訳ではないため確認しておきましょう。

自費診療の売上が年間で1,000万円を超える医療機関

健康診断や予防接種などの自費診療の売上が年間で1,000万円を超える医療機関は、インボイス制度の対象となります。課税売上が一定の基準を満たしているため、課税事業者に分類され、消費税の申告などが必要となるためです。インボイス制度の対応が求められるため、ご自身の事業売上も確認しておくのがおすすめです。

【重要】医療機関でインボイス制度を考える際の3つのポイント

医療機関ではインボイス制度の対象となる事業者が限定されるため、必ずしもインボイス制度に対応する必要がありません。ただ、インボイス制度に関するトラブルを引き起こさないためにも、ご自身の事業がインボイス制度に対応すべきかどうかは考えておきましょう。ここでは、医療機関でインボイス制度を考える際のポイントについて、以下の3つを解説します。

①自費診療で年間にどれくらいの売上があるのか?
②すでに取引のある事業者がどうなのか?
③対応している患者がどのような人たちか?

自費診療で年間にどれくらいの売上があるのか?

医療機関の場合には、課税売上の対象となる「自費診療」の売上がどれくらいあるかが重要なポイントになります。自費診療の売上が年間で1,000万円に近ければ、インボイス制度の対応も考えておく必要があるでしょう。

すでに取引のある事業者がどうなのか?

自費診療で取引が長い事業者がいても、相手が「適格請求書発行事業者」でないケースもあります。そのため、取引相手の事業者がインボイス制度の対応をどのように考えているのかは確認しておくのがおすすめです。

対応している相手がどのような人たちか?

医療機関として利用している相手がどのような取引(診療)を行っているかは1つのポイントです。公的医療保険制度の対象となる取引であれば消費税の対応が不要ですが、自費診療の場合には対象となる可能性が高まります。そのため、対応している患者や企業などの相手がどのような人なのかは確認しましょう。

まとめ

今回は、医療機関が対応すべきインボイス制度について、制度の概要や導入を判断するポイントも交えて解説しました。この記事の内容をおさらいすると次の通りです

▼医療機関に影響する「インボイス制度」
 ①仕入税額控除が受けられる
 ②「適格請求書発行事業者」になる必要がある

▼「インボイス制度」の対象となる医療機関
 ①事業者とのやり取り(請求書・領収書など)がある医療機関
 ②自費診療の売上が年間で1,000万円を超える医療機関

▼医療機関でインボイス制度を考える際の3つのポイント
 ①自費診療で年間にどれくらいの売上があるのか?
 ②すでに取引のある事業者がどうなのか?
 ③対応している患者がどのような人たちか?

この記事で解説のように、医療機関であってもインボイス制度の影響を受ける可能性があります。ご自身の事業がインボイス制度の対象かどうかは、個人で判断するだけでなく、税理士や会計士のプロに判断してもらうのがおすすめです。インボイス制度でトラブルにならないためにも、しっかりと確認した上で対応を進めていきましょう。

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この記事の執筆者

末松和真

税理士法人FLAGS代表社員。税理士。 (株)FLAGSホールディングス 代表取締役 税理士として税務・会計はもちろんの事、経営支援・クラウド会計支援・融資実行・補助金に強く、幅広い知識とサービスで企業の成長を支援している。