COLUMN経営コラム

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不動産賃貸業にも影響するインボイス制度とは?個人事業主の対策も

2023.09.26

税務経理

2023年10月から「インボイス制度」が始まり、さまざまな事業に影響を与えますが、不動産賃貸業にも影響があります。法人や個人事業主を問わず、家賃などでオーナーとして収益を得ているのであれば、インボイス制度のルールは知っておくべきでしょう。

今回は、不動産賃貸業にも影響するインボイス制度について、対策も交えて解説します。

不動産賃貸業で知っておくべき「インボイス制度」とは?

インボイス制度は消費税に関するルールであり、消費税が生じる事業であればすべて対象となる大切な制度です。不動産賃貸業のなかでも事業所や店舗などのテナントで収益を得ていれば対象となるため、インボイス制度の特徴は把握しておきましょう。ここでは、不動産賃貸業で知っておくべきインボイス制度の特徴について、以下の3つを解説します。

①仕入税額控除
②適格請求書発行事業者
③賃貸住宅の家賃は対象外

仕入税額控除=消費税の二重課税を防ぐ

インボイス制度はこれまでの方式から、「仕入税額控除方式」に変わる制度です。この仕入税額控除は、売上で得た消費税から仕入れなどに支払った消費税を差し引ける制度です。

「適格請求書発行事業者」であれば仕入税額控除が活用でき、消費税の二重課税を防げます。

② 課税売上が1,000万円以下でも課税事業者に

インボイス制度を活用するために「適格請求書発行事業者」になる必要があります。ただ、適格請求書発行事業者になってしまうと、課税売上が1,000万円いかでも「課税事業者」となるため注意が必要です。免税事業者であれば不要であった消費税の申告や納付が必要となります。

③ 賃貸住宅の家賃は対象外

インボイス制度はあくまでも「消費税」に関するルールであるため、消費税が非課税となる賃貸住宅の家賃の収益は対象外となります。そのため、インボイス制度に必要な対応をする必要もありません。この点は不動産賃貸業ならではの注意点であるため、把握しておきましょう。

インボイス制度で変わる不動産賃貸業のルールは?

不動産賃貸業においても「免税事業者」か「課税事業者」かの立場によって、インボイス制度の影響が変わります。ここでは、インボイス制度で変わる不動産賃貸業のルールについて、解説します。

① 免税事業者の場合

自分が免税事業者であった場合、テナントの借主である相手が「適格請求書発行事業者」であってもインボイス制度を活用できません。そのため、借主はインボイス制度のメリットが受けられず、インボイス制度ができるテナントに移ってしまうリスクがあります。

課税事業者の場合

課税事業者は、「適格請求書発行事業者の登録申請書」を税務署に出せば、インボイスが活用できます。取引相手も適格請求書発行事業者であれば、お互いにインボイス制度のメリットが受けられるため嬉しいポイントです。

不動産賃貸業でインボイス制度に向けた対策とは?

このようにインボイス制度によってルールが変わってしまいますが、今から準備をしておけばルールにしたがった取引や対応が取れるようになります。また、メリットを最大限活用できるため、事業にもプラスの効果があるでしょう。

ここでは、不動産賃貸業でインボイス制度に向けた対策について、以下の3つを解説します。

①借主の状態を確認する
②適格請求書発行事業者への検討
③賃料の減額を検討する

ここで解説する内容は法人であっても、個人事業主であっても活用できる対策です。ぜひ、不動産賃貸業で事業をしている方は、対策をとるための参考にしてください。

① 借主の状態を確認する

テナントの借主がいる状態であれば、取引相手がどの事業者であるのかを確認しておきましょう。相手の状態によって、インボイス制度のメリットが受けられるかどうかも異なります。もし、適格請求書発行事業者であれば、適格請求書発行事業者になることも検討しておく必要があるでしょう。

② 適格請求書発行事業者への検討

インボイス制度のメリットは自分だけでなく、相手も受けられます。そのため、すでに取引をしている相手やこれから取引する相手との兼ね合いで選択できます。インボイス制度のメリットを活用すれば、借主が増える可能性もあるため、ぜひ、積極的に適格請求書発行事業者になるのを検討しましょう。

③ 賃料の減額を検討する

免税事業者のままで運用する予定であれば、賃料の減額も検討すべきでしょう。もし免税事業者として、そのまま賃料に消費税を上乗せして借主に貸していると、借主は適格請求書発行事業者であってもインボイスで仕入税額控除が利用できません。そのため、控除が使えない理由でほかのテナントに移られる可能性もあり、減額の検討は最優先で考えるべきでしょう。

まとめ

今回は、不動産賃貸業にも影響するインボイス制度について、対策も交えて解説しました。

この記事の内容をおさらいすると次の通りです

▼不動産賃貸業で知っておくべき「インボイス制度」
仕入税額控除が使える
インボイスのためには「適格請求書発行事業者」になる必要がある
賃貸住宅の家賃は対象外

▼ 免税事業者か課税事業者によって、影響が異なる

▼ 不動産賃貸業のオーナーがすべきインボイス制度の対策
借主の状態を確認する
適格請求書発行事業者への検討
賃料の減額を検討する

インボイス制度は知らなければトラブルに発展しやすい制度でありますが、活用できれば事業にもプラスになる良い制度です。ただ、活用するためには「適格請求書発行事業者」になるなどの準備が必要であり、また取引相手への配慮も必要です。法人や個人事業主を問わず、制度の対象となってしまう点から、この記事をお読みの方はぜひとも、インボイス制度との向き合い方を考えてみましょう。

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この記事の執筆者

末松和真

税理士法人FLAGS代表社員。税理士。 (株)FLAGSホールディングス 代表取締役 税理士として税務・会計はもちろんの事、経営支援・クラウド会計支援・融資実行・補助金に強く、幅広い知識とサービスで企業の成長を支援している。