COLUMN経営コラム

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【揉めたくない】税理士を円満に変更する断り方|コツ&トラブル対策
2022.11.25
税務経営
税理士を変更したいと考えても、長い間お世話になった税理士に契約解除を伝えるのは勇気がいるものです。
契約解除を告げられた税理士の表情が歪むイメージに、どうしても気が重くなります。
そこでこの記事では、できる限り円満に、揉めることなく、現在の税理士に契約解除を伝えるコツを解説いたします。
気が重い挨拶・引き継ぎを無事済ませることができれば、心機一転、新しい税理士によるサポートが待っています。ぜひお役立てください。
▼ この記事の内容
税理士を円満に変更する断り方【伝え方のコツ】
顧問税理士の変更は、最近では珍しくありません。ですが、以下のように引き継ぎを面倒なものにするトラブルの例も存在します。
- 資料が返してもらえない
- 紙の資料のみ返され、データを返してもらない
現在の税理士に、引き継ぎを協力的に行ってもらうことが大切です。
契約解除を伝える際は、以下のコツを踏まえて揉めづらい断り方をしましょう。
- 話が通じそうな場合 → 変更理由を正直に伝える
- 揉めそうな場合 → 「やむを得ない事情」を伝える
- 感謝の気持ちを伝える
- 長々言い訳をしない
コツ①話が通じそうな場合 → 変更理由を正直に伝える
税理士変更の理由を率直に伝えても問題ないように思われる場合、税理士変更の理由を誠実に伝えましょう。
実際、「正直に伝えてもらえれば、応援する」という税理士もたくさんいます。
ただし注意点ですが、不満は伝えないようにしてください。不満は”希望”の形に変換するのがおすすめです。
不満「あなたの税理士料金が高い」
→希望「料金の安い税理士に変更したい」
断られる側の税理士を否定し感情を逆なでしない、配慮ある言葉選びを意識していただくと上手くいきやすいのではないでしょうか。
コツ②揉めそうな場合 → 「やむを得ない事情」を伝える
税理士を変えたい理由を正直に伝えると揉めることが予想される場合は、「やむを得ない事情」を伝える断り方が有効です。
税理士が「そういう事情ならやむを得ない」と諦めてくれれば、余計なトラブルの余地が小さくなります。また、税理士が契約継続を交渉する可能性も下がるでしょう。
具体的には「やむを得ない事情」として、以下の断り方をおすすめいたします。
【やむを得ない事情】
- 友人・知人の税理士が独立した
- 身内にお願いすることになった(兄弟や親戚)
- 知人・友人・取引先に税理士を紹介された
自然な形で伝える工夫が必要
「やむを得ない事情」の方便を使う際は、状況に対して違和感がないよう、できるだけ自然な形で伝える工夫が必要です。
なぜかというと、上記の断り方はよく知られた方便でもあるため、経験ある税理士であれば「これは方便だな…」とわかってしまうことがあるのです。
特に「親戚が税理士になったから」は昔からよく使われる方便です。税理士が経験豊富な場合は、安直に使って気分を害することがないよう注意してください。
コツ③感謝の気持ちを伝える
現在の税理士に対して、「感謝の気持ちを伝える」断り方をすることで、穏やかに税理士変更できる可能性が高まります。
税理士に対する不満から税理士変更に至った場合、感謝の気持を伝えるのは抵抗を感じられるかもしれませんね。ですが、円滑に断るには必要な要素です。
一般的に、感謝の気持ちを伝えられた相手はポジティブな感情を持ちます。
契約解除を告げられた税理士は、多かれすくなかれネガティブな気持ちになりますから、少しでもポジティブな断り方をしたほうが円滑にいくのです。
コツ④長々言い訳をしない【交渉の余地を与えない】
長々と説明せず腹を括って断ることで、「考え直してほしい」と交渉される余地を小さくできます。交渉が長引く面倒を防ぎやすくなるのです。
付き合いの長い税理士であればあるほど、あるいは逆に税理士との相性が悪ければ悪いほど、断りの入れ方には頭を悩ませるはずです。
しかしながら、曖昧な様子を見せてしまうと付け入る隙を与え、交渉に突入、余計に断りづらくなる可能性があります。
経営者の方であれば、腹を括るご経験も豊富なはず。ここは腹を括って、配慮しながらも簡潔な断り方を心がけましょう。
【重要】トラブルを防ぐ断り方
契約解除する際の伝え方のコツについてお伝えしてきました。
伝え方はもちろん大切なのですが、税理士変更にまつわるトラブルはもっと様々な角度から防がねばなりません。この見出しでは、断り方にまつわる様々なトラブル対策をご紹介します。
税理士変更そのもののデメリット・リスクについてはこちらの記事で解説しております。
税理士を変えるデメリット|面倒なリスクを回避し円滑に変更する方法
ポイント①トラブルを防ぐ断り方の流れ
断りを入れるタイミングを間違わないことで、後々のトラブルや面倒を防げる可能性が高まります。
税理士変更の手順 | ポイント |
<1>顧問契約書の内容を確認する | 契約違反にならないかを確認する |
<2>新しい税理士を見つけておく | 税理士不在になることを防ぐため、早めに探す
※変更理由別の新しい税理士探しのポイントはこちら |
<3>現在の税理士に断りを入れる | この記事を参考に円満に断ってください |
<4>現在の税理士に預けていた書類を返却してもらう | 協力的に返却してもらうため、断り方が大切 |
<5>新しい税理士に引き継ぎを行う | 普通、現在の税理士は引き継ぎには立ち会わない |
契約解除に関する条項を確認する
税理士変更の一番最初の段階で、以下を確認しておきましょう。
- 契約解除の意思表示ができる期間
- 期間外に契約解除する際の違約金
「このタイミングでの税理士変更は、契約違反だった」と、後から気づく自体は防いでおきます。
◯条(契約期間及び解除)
本契約期間は令和◯年◯月◯日から、令和◯年◯月◯日までとする。ただし、同期間終了の2ヶ月前までに、双方に意思表示がない場合、自動継続することを妨げない。
この条項の場合ですと、契約期間終了まで2ヶ月を切れば自動更新となります。
いくら断り方に配慮したとしても、契約に反した契約解除ではトラブルを作りにいくようなものです(違約金を払ってスムーズにいくこともあります)。
こちらの記事で徹底解説していますので、より良いタイミングでの変更にお役立てください。
【徹底解説】税理士を変える”全タイミング”|変更スケジュールも
ポイント②口頭だけでなくメールも送ると安心【証拠作成】
対面・電話など口頭で伝えるだけでなく、メールを入れてやりとりの記録を残しておくと後々助かります。
【メールで伝えるメリット】
- 言った言わないの泥沼のトラブルを避けられる
- 第三者機関に相談する際、スムーズに相談できる
- 裁判の際は証拠になり、より有利に裁判を進められる
特に揉める可能性が高そうな場合は、必ず何らかの記録を残しておくことをおすすめいたします。
ポイント③担当者ではなく所長の税理士に伝える
担当制の税理士事務所の場合、担当者ではなく所長の税理士に直接伝えたほうが確実です。
【直接所長の税理士に伝えるメリット】
- 担当者から所長税理士へと、意図しない伝わり方になることを防ぐ
- 重要な話は直接伝えるという誠意を見せる
ポイント④解約の期日は明確に伝える
いつ時点で解約するのかは、明確に伝えるようにしましょう。
特に月次契約の場合、毎月料金が発生しますから、期日設定によって料金発生の有無が変わります。
契約解除を拒否された場合の対応
契約に反しないのに不当に契約解除を拒まれた場合、相談先としては税理士会がおすすめです(地域の税理士会をこちらから探す)。
税理士会には全国の税理士が登録しており、税理士の指導や監督も行っているんですよ。
裁判にもつれ込むことを避けたい場合、地域の税理士会に対し紛議の調停(話し合いによる合意で解決する制度)を申し立て、穏便に解決することも可能です。
(税理士会の会則)
・・・・・・
2 税理士会の会則には、次の事項を記載しなければならない。
七 会員の業務に関する紛議の調停に関する規定
この記事のまとめ
正直な理由を伝える場合であっても、やむを得ない事情を伝える場合であっても、断られる側の税理士に対する心遣いが円満な断り方のポイントとなります。
感謝の気持を伝えつつ、交渉の余地のない簡潔な伝え方を心がけましょう。
無事、現在の税理士に断りを入れられそうでしょうか?良い税理士との出会いがあるといいですね。
もし私達がお力になれることがございましたら、その際は全力でサポートさせていただきます。
【税理士法人 末松会計事務所】
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