COLUMN経営コラム

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青色申告でお困りの方必見!クラウド会計ソフト選びから各社特徴まで

2024.04.09

税務経理クラウド

毎年の確定申告シーズンには、多くの人々が「青色申告」という言葉を耳にするでしょう。青色申告は、白色申告と比較して、最大65万円の控除が可能な、税金対策の中でも非常に効果的な方法です。しかしながら、それぞれの書類を作成する際には、決まった入力や計算方法が必要であり、簿記の知識がない場合や手作業で行う場合には、時間のロスやミスの発生といったリスクが高まります。クラウド会計ソフトを活用することで、金額などの必要事項を入力するだけで、正確な帳簿を作成することができます。本記事では、青色申告を効率化するためのクラウド会計ソフトの利用方法と選び方について詳しく解説しています。また、各ソフトの対応環境や料金に関する情報も掲載しておりますので、ぜひ参考にしてください。

青色申告ソフトとは

青色申告ソフトとは、個人事業主が青色申告の手続きを効率化するためのツールです。初心者でも簡単に操作でき、簿記の知識がなくても指示に従って入力するだけで、仕訳や帳簿の作成が可能です。さらに、一部のソフトウェアでは、金融機関やクレジットカードの明細を自動的に取り込んだり、領収書をスキャンしてデータ化したりする機能も提供されています。青色申告は会計ソフトなしでも行えますが、複式簿記には一定の知識と手間が必要です。簡易簿記を選択した場合でも青色申告は可能ですが、控除額は10万円まで下がります。そのため、個人事業主の確定申告に際しては、青色申告ソフトの利用が推奨されるのです。

青色申告ソフトの選び方

ここでは、青色申告ソフトの選び方について解説します。青色申告ソフトを選択する際には、導入目的や機能、注意点、料金・価格相場を確認して選びましょう。以下で詳しく説明していきます。

導入目的を確認

青色申告ソフトの導入を検討する際には、導入目的をはっきりさせることが重要です。一般的な導入目的には、「日々の記帳、仕訳などを自動化し本業務に時間を使いたい」「確定申告にまつわる作業を短縮したい」といったものが挙げられます。日々の記帳、仕訳などを自動化し本業務に時間を使いたい場合、会計業務や請求業務まで一元管理できるタイプの青色申告ソフトがおすすめでしょう。一方、確定申告にまつわる作業を短縮したい場合、会計業務や請求業務まで一元管理できるタイプの青色申告ソフトがおすすめと言えます。

機能を確認

青色申告ソフトの機能は多岐にわたります。そのため、導入目的や課題に応じて必要な機能を選択することが重要です。例えば、自動読み込み機能やテンプレート機能は、仕訳入力をスムーズに行いたい場合に役立ちます。また、e-Taxに対応したソフトは、インターネット上で確定申告書の提出を行いたい場合に適しています。青色申告ソフトの基本的な機能と、特定の課題・用途・業界に特化した機能について、それぞれ下表にまとめます。

基本的な機能

機能詳細
帳簿入力帳簿の入力を簡単に行える機能
伝票入力日付や科目など入力項目が設定されており、簡単に入力できる機能
仕訳入力読み込んだデータの自動仕訳を行う機能
取引入力複式簿記の帳簿を作成できる機能
申告書作成決算や申告資料の作成を行う機能
試算表入力した取引データから残高試算表に自動集計する機能
データ保存・共有作成したデータの保存やドライブ上での共有を行える機能

特定の課題・用途・業界に特化した機能

機能詳細
自動読み込みレシートや金融機関の取引データを自動で読み込む機能
会計データテンプレート業種別にあらかじめ用意されたテンプレートを利用できる機能
e-Taxe-Taxデータの書き出しから直接送信までを行える機能
まとめ仕訳同じ科目の取引を月ごとにひとつの仕分けとして作成できる機能

導入時の注意点

青色申告ソフトを導入する際には、次の注意点も確認しましょう。自社のデバイス環境に対応しているかどうか、プランや導入形態に間違いはないか、電子帳簿保存法やインボイス制度などの法的要求事項に対応できるかどうかを明確にしておくことで、導入後のトラブル発生の可能性を最小限に抑えることができます。

注意点詳細
対応デバイスWindows対応、Mac対応、スマートフォン対応など対応しているものを確認しておく
プラン個人事業主向け、法人向け
外部ツール連携口座や請求管理、POSレジなどの既存の利用中ツール
電子帳簿保存法基準に対応しているか
インボイス制度要件に必要な仕分け入力に対応しているか
無料トライアル期間が設けられているか
セキュリティ厳重な体制が取られているか
サポート体制どのようなものを受けられるか

料金・価格相場

青色申告ソフトの料金は、各ソフトやプランによって異なります。各ソフトの料金プランを確認する際には、必要な機能や要件が適切に備わっているかを重視しましょう。クラウド型の場合は、主に年額制や月額制のプランが提供されています。年額制の場合、料金は幅広く設定されているため、ソフトウェアによって異なります。また、初期費用が必要な場合もあるため、事前に確認が必要です。

青色申告ソフト(クラウド型)のおすすめ比較

ここでは、クラウド型の青色申告ソフトについて、おすすめのソフトを比較して紹介していきます。自社のニーズを確認しつつ最適なソフトを選択するようにしましょう。以下で詳しく説明していきます。

やよいの青色申告オンライン

やよいの青色申告オンラインは、必要な情報を入力するだけで、確定申告に必要な書類を作成できる便利なツールです。操作はボタンを押して情報を入力するだけで行え、簿記の知識がなくても利用できます。クラウド型であるためインストールが不要で、パソコンやタブレット、スマートフォンなど、どのデバイスからでも利用可能です。そのため、経理処理のために特別な場所に行く必要がなく、容量の心配もありません。また、操作方法が分からない場合でも、丁寧なオペレーターがいつでもサポートしてくれます。業界最大規模のオペレーターが常駐しており、24時間365日のメールサポートも提供されています。画面共有サポート機能を使えば、オペレーターが直接画面を操作し、初心者でも安心して利用できます。注意点としては、やよいの青色申告オンラインとやよいの白色申告オンラインは別々に提供されているので、間違えないようにしましょう。各プランの価格について、下表にまとめます。

やよいの青色申告オンラインの価格

プラン名年額料金(税抜)
セルフプラン8,800円(1年間無料)
ベーシックプラン13,800円(1年間無料)
トータルプラン24,000円(初年度半額)

(出所: https://www.yayoi-kk.co.jp/shinkoku/aoiroshinkoku/price/)

マネーフォワード クラウド確定申告

マネーフォワード クラウド確定申告は、経費精算システムや給与計算システムとの連携が便利な確定申告ツールです。最大5人までの利用者は追加料金なしで利用でき、バックオフィス業務もサポートします。銀行口座やクレジットカードの登録によって入出金データを自動で取得できるのも魅力です。「マネーフォワード クラウド会計・確定申告のサービス利用に関するアンケート」によると、手作業での入力から自動化することで会計業務を月19時間から約半分の9時間に短縮できました。この短縮の理由は、自動取得される銀行口座やクレジットカード、電子マネーなどのデータにあります。さらに、最新機能への無料アップデートやデータの自動保存によって、作業は常に最新かつ安全な状態で行えます。他のデバイスでも作業が継続できるため、パソコンの故障や買い替えの際もデータの心配はありません。クラウド型の会計ソフトを利用することで、データの紛失や破損といったリスクを大幅に軽減できます。各プランの価格について、下表にまとめます。

マネーフォワード クラウド確定申告の価格

プラン名年額料金(税抜)
パーソナルミニ1,0800円(月額900円~)
パーソナル15,360円(月額1,280円~)
パーソナルプラス35,760円(月額2,980円~)

(出所: https://biz.moneyforward.com/tax_return/)

(出所: https://biz.moneyforward.com/support/payroll/faq/plan/fee.html)

freee(フリー)

freee(フリー)は、多くの個人事業主によって利用される確定申告ソフトで、簿記の知識がない初心者でも手軽に利用できます。特に、勘定科目の登録においては、ポップアップで分かりやすい説明が提供されるため、スムーズな仕訳作業をサポートします。使いやすいデザインや口座との連携、スマートフォンでの入力にも対応しており、操作性にも優れています。Excelとの自動連携も可能で、青色申告が初めての方でも安心して利用できます。freeeは、クラウド会計ソフトとして、確定申告に必要な全ての書類の作成から提出までを網羅しています。経理の知識がなくても、質問に答えるだけで申告書を完成させることができ、提出は電子申告にも対応しています。また、レシート画像の自動読み取り機能があり、手入力の手間やミスを軽減します。さらに、スマホアプリも提供されており、レシートをすぐに読み取ることができます。エクセルでのデータ管理も可能で、データの引き継ぎもスムーズに行えます。その他にも、所得や控除の入力も簡単に行えるため、税金対策にも役立ちます。各プランの価格について、下表にまとめます。

freeeの価格

プラン名年額料金(税抜)
スターター11,760円(月額980円~)
スタンダード23,760円(月額1,980円~)
プレミアム39,800円(月額3,316円~)

(出所; https://www.freee.co.jp/accounting/individual/pricing/?referral=moshimo)

HANJO会計

HANJO会計は、カシオ計算機株式会社が提供する、飲食店経営者向けのクラウド会計ソフトです。スマートフォンでレシートを撮影するだけで、簡単に記帳や仕訳作業を行い、確定申告書の作成が可能です。20の会計機能が搭載されており、自動入力や推測仕訳によって効率的に帳簿付けができます。さらに、申し込み日から全ての機能が利用できるのも魅力です。HANJO会計の価格について、下表にまとめます。

HANJO会計の価格

プラン名月額料金(税込)
通常プラン月額1,078円

(出所: https://tenpo.casio.jp/service/accounting/index.html)

クラウド円簿

クラウド円簿は、株式会社円簿インターネットサービスが提供する、青色申告ソフトの完全無料版です。広告収入によって収益を得ており、基本的な機能は無料で提供されています。通常、無料プランでは機能が制限されますが、このソフトでは全ての機能が制限なく利用可能です。したがって、青色申告のコストを抑えたい方に最適な選択肢です。

クラウド円簿の価格

プラン名年額料金(税抜)
クラウド円簿0円

(出所: https://www.yenbo.jp/service-info/kaikei.html)

ツカエル青色申告オンライン

ツカエル青色申告オンラインは、株式会社ジョブカン会計が提供する、クラウド版の青色申告ソフトです。キーボードとエンターキーを中心に、使いやすい操作性が実現されています。また、複数の画面をタブ表示できる機能を備えており、複数の帳簿を効率的に切り替えることができます。さらに、1つのデータを複数人で同時に操作できるため、テレワーク企業向けにも適しています。WindowsおよびMacに対応しているため、幅広いユーザーに利用されています。ツカエル青色申告オンラインの価格について、下表にまとめます。

ツカエル青色申告オンラインの価格

プラン名年額料金(税抜)
個人12,000円

(出所: https://bluereturnlp.jobcan.biz/)

商工会クラウド

商工会クラウドは、日本商工会が推奨している経理ソフトで、オンラインのASPサービスとして提供されています。全国38県に導入されており、商工会連合会が入力データの一元管理を行うことで、セキュリティにも配慮されています。また、丁寧なサポートも提供されていますので、安心して利用できます。商工会クラウドの価格については、要問合せとなっているためお近くの商工会へ確認する必要があります。

まとめ

本記事では、青色申告を効率化するためのクラウド会計ソフトの利用方法と選び方について解説しました。青色申告は、準備する書類が多いため手間がかかりますが、最大65万円の控除が可能です。そのため、青色申告をおすすめします。経理に自信がない方でも、会計ソフトを利用すれば、入力作業だけで青色申告に必要な書類を作成できます。青色申告ソフトは、個人事業主の方々が業務を効率化し、青色申告作業を円滑に進めるために不可欠なツールです。導入前には導入目的や機能、料金体系などを十分に検討し、最適な青色申告ソフトを選ぶことが重要です。末松会計グループは、名古屋市で50年以上にわたり、中小企業の継続的な発展を支援するサービスを提供しています。経験豊富な専門家が集結し、クラウド会計の導入はもちろんのこと、公的制度支援やM&A支援など幅広いサービスが提供可能です。変化の激しい経済環境において、顧客のニーズに迅速に対応し、総合的なサポートを続けています。青色申告のことでお困りの方や、クラウド会計ソフトの導入を検討されている方は、ぜひお気軽にご相談ください。

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この記事の執筆者

末松和真

税理士法人FLAGS代表社員。税理士。 (株)FLAGSホールディングス 代表取締役 税理士として税務・会計はもちろんの事、経営支援・クラウド会計支援・融資実行・補助金に強く、幅広い知識とサービスで企業の成長を支援している。