COLUMN経営コラム

COLUMN経営コラム

インボイス制度の返還適格請求書とは?振込手数料の対応の違いを解説

2024.02.01

税務経理

インボイス制度の対応が本格始動して、さまざまなトラブルが生じています。これらのトラブルの原因は、ルールの知識不足や勘違いによるものが多いです。特に、取引先からの仕入の返品や値引きなどの売上返還対応などもインボイス制度で対応しなければならないことを知らない方が多くいます。今回は、インボイス制度の返還適格請書について、概要や振込手数料の対応の違いを解説します。

インボイス制度の「返還適格請求書」とは?

インボイス制度は、適格請求書発行事業者(インボイス制度に登録した課税事業者)が仕入税額控除を活用できる制度です。消費税が生じる事業者すべてが対象であり、2023年10月からルールが始動しました。ルールのなかでも「返還適格請求書」は、仕入品などの返品や値引きが発生した際におこなう売上の返還で交付しなければならない書類です。具体的には、売り手が買い手に返還適格請求書を交付する必要があります。書類の記載事項や取扱い方法などで細かなルールが設けられており、知っておかなければトラブルに巻き込まれるかもしれません。

インボイス制度の「返還適格請求書」に必要な記載事項とは?

インボイス制度の「返還適格請求書」には、記載事項のルールが設けられています。必要な記載事項がなければ、返還適格請求書とは認められません。そのため、取引先からの返品や値引きなどで売上の返還が生じそうな場合には、返還適格請求書のルールを知っておきましょう。

ここでは、インボイス制度の「返還適格請求書」について、必要な記載事項を紹介します。

① 事業者の氏名または名称、登録番号
② 返還などをおこなう年月日
③ 返還などのもとになった取引年月日
④ 返還などの取引内容
⑤ 返還などの金額
⑥ 返還などの消費税額または適用税率

事業者の氏名または名称、登録番号

売上の返品や値引きによって、売上を返還した事業者の氏名または名称を記載します。法人であれば名称、個人事業主であれば氏名や屋号の記載が必要です。また、登録番号もあわせて記載しましょう。これはインボイス制度登録時に税務署から付与された登録番号であり、「T+13桁」となっています。

返還などをおこなう年月日

返還などをおこなう年月日の記載も必要です。消費税額の時期を確定させるために、あいまいな表記ではなく、必ず日付までを明記しましょう。

返還などのもとになった取引年月日

返還などのもとになった取引についても記載する必要があります。具体的には、取引年月日を記載しましょう。記載には「◯〜◯月分」のような包括的な記載も認められます。

返還などの取引内容

返還などの対象となった商品やサービスの「取引内容」を記載します。特に、軽減税率の対象となる商品・サービスの場合には、その旨の記載も必要です。

返還などの金額

返還などの対象となった商品・サービスの金額を記載します。記載する際には、税率(標準か、軽減か)の区分ごとに記載しましょう。

返還などの消費税額または適用税率

返還などで生じた消費税額や適用税率を記載します。どちらかの記載は必須ですが、両方とも記載しても不備となりません。

払込手数料による返還適格請求書の対応の違いとは?

インボイス制度の返還適格請求書には、払込手数料の有無によっても対応方法が異なります。特に、払込手数料が売り手負担か、買い手負担かによって、請求書のルールが異なるため注意が必要です。ここでは、払込手数料による返還適格請求書の対応の違いについて、簡単に解説します。

【買い手】金融機関・取引先からの適格請求書が必要

買い手が払込手数料を負担して、その手数料を課税仕入れとした場合には、金融機関・取引先からの適格請求書が必要です。ただし、少額特例によって、1万円未満の仕入額であれば、帳簿の保存のみでインボイスの対応は不要というルールも設けられています。基準期間内での課税売上が1億円以下、あるいは指定期間内での課税売上が5,000万円以下の事業者に限るため、事業の課税売上を事前に確認しておきましょう。

関連記事:https://sue-tax.com/column/invoice-special-case/

【売り手】取扱いの方法と払込手数料額によって対応が異なる

売り手が払込手数料の負担をおこなった場合、次のパターン別で対応方法が異なります。

・支払手数料として扱う場合
 適格請求書の対象となるため、取扱いルールも適格請求書と同様になります。

・売上値引きとして扱う場合
 特例によって1万円以下であれば、返還適格請求書の交付義務は免除です。
 もし1万円を超える場合には、交付しましょう。

まとめ

今回は、インボイス制度の返還適格請書について、概要や振込手数料の対応の違いを解説しました。

この記事の内容をおさらいすると次の通りです

▼インボイス制度の「返還適格請求書」
 返品や値引きが発生した際におこなう売上の返還で交付しなければならない書類

▼インボイス制度の「返還適格請求書」の記載事項
 ① 事業者の氏名または名称、登録番号
 ② 返還などをおこなう年月日
 ③ 返還などのもとになった取引年月日
 ④ 返還などの取引内容
 ⑤ 返還などの金額
 ⑥ 返還などの消費税額または適用税率

▼返還適格請求書は売り手と買い手で対応が異なる

インボイス制度のルール自体は浸透し始めた時期です。しかし、まだまだ細かなルールでつまずいてしまう方も多いのが現状です。このような経営の守りは会計士や税理士などのプロに任せてしまうのも1つの方法でしょう。任せられる点は任せてしまい、自身が経営に集中できるように体制づくりを検討してみるのもおすすめです。

『末松会計グループ』が“クラウド会計導入”をサポートします!

『末松会計グループ』が“クラウド会計導入”をサポートします!

クラウド会計を導入したい!けど…

「導入方法が全く分からない」

「上手く効率化できるか不安」

「今の税理士が対応してくれない」などなど。

会計ソフトを導入し、使いこなすためには

さまざまなハードルがありますよね。

マネーフォワードプラチナ公認メンバーの

『末松会計グループ』は

クラウド会計導入支援実績400件超!

クラウド会計未経験の方でも安心してお任せ頂けます。

▼『末松会計グループ』のクラウド会計導入(公式ページ)

お気軽にお問い合わせください!

アバター画像

この記事の執筆者

末松和真

税理士法人FLAGS代表社員。税理士。 (株)FLAGSホールディングス 代表取締役 税理士として税務・会計はもちろんの事、経営支援・クラウド会計支援・融資実行・補助金に強く、幅広い知識とサービスで企業の成長を支援している。