COLUMN経営コラム

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インボイス制度の特例とは?少額特例(1万円未満)の要件を確認

2024.01.17

税務経理

2023年10月からスタートしてインボイス制度は、事業者の負担を軽減するための特例措置があります。特例措置を活用すれば、面倒な手続きを簡略化できます。ただ、特例措置の内容や要件など、細かなルールを理解している方は多くありません。今回は、インボイス制度の特例について、少額特例(1万円未満)や2割特例のルール・を解説します。

【簡単に解説】インボイス制度とは?

そもそもインボイス制度とは、インボイス制度の登録をした事業者(適格請求書発行事業者)が仕入税額控除を利用できるルールです。登録をした事業者は、仕入税額控除を活用できるため、消費税の二重負担を回避できます。インボイス制度では、請求書の書式や保存ルールなどのルールが定められており、インボイス制度を活用するためにはルールにしたがって対応を進めていく必要があります。

インボイス制度の少額特例(1万円未満)を活用しよう!ルールや要件を確認

インボイス制度には、一定規模以下の課税仕入れに対して、面倒な事務負担を軽減するために「少額特例」が設けられています。少額特例を活用すれば、細かな仕入れに対して、インボイスの保存が簡略化可能です。ここでは、インボイス制度の少額特例(1万円未満)について、解説します。

少額特例(1万円未満)のルールとは?

インボイス制度では、少額(1万円未満)の課税仕入れに対して、インボイスの保存を不要とする少額特例のルールを設けています。取引先がインボイス発行事業者かどうかを問わず、免税事業者であっても少額特例が適用できます。

少額特例を活用すれば、1万円未満の課税仕入れについては、インボイスの保存対応が不要であるため、細かな事務手続きをおこなう必要がありません。特に、細かな取引が多い事業者は、少額特例を活用するだけでも多くの手間と時間を短縮できるでしょう。

少額特例(1万円未満)の要件とは?

少額特例では、以下の要件を満たす必要があります。

① 一定の事項を記入した帳簿の保存
② 基準期間の課税売上が1億円以下
③ 特定期間の課税売上が5,000万円以下

2029年9月までにおこなわれた課税仕入れが少額特例の対象であり、上記の要件を満たしていれば、インボイスの保存対応は不要です。

小規模事業者の多くがあてはまる内容となっているため、利用されていなければ面倒な手間を省くためにも、少額特例の利用がおすすめです。

【注意】インボイス発行事業者の交付義務は免除されない

一方で、少額特例は、インボイス発行事業者の交付義務を免除するものではありません。そのため、例えば取引先から交付申請を受けた場合には、インボイスの交付対応が必要です。

あくまでも課税仕入れのインボイス保存を不要とするための特例である点には注意しておきましょう。

【ちなみに】インボイス制度の2割特例とは?

インボイス制度には、少額特例以外にも「2割特例」があります。少額特例とはまた違った特例措置であるため、混合して考えてはいけません。

ここでは、インボイス制度の2割特例について、解説します。

2割特例のルールとは?

2割特例とは、インボイス制度を機に課税事業者になった事業者を対象に、仕入税額控除額を消費税の80%とすることができる特例措置です。事前手続きが不要であるため、要件さえ満たしていれば、納税額をシンプルにでき、会計・税金周りの手続きが楽になります。

適用される期間は2026年9月30日までであり、期間内の事務負担を軽減する意味では大切な特例措置と言えるでしょう。

2割特例の要件とは?

2割特例では、対象となる事業者に以下のような要件を課しています。

インボイス制度を機に免税事業者から、課税事業者(インボイス発行事業者)になった事業者

そのため、もともと課税事業者となっていたケースや課税期間を1〜3ヶ月短縮する特例を受けていたケースなどでは、2割特例が認められません。 特例の主旨から考えても、インボイス制度の登録を促す特例措置であるため、上記の要件には注意したうえで特例措置を受けるかどうかを検討しましょう。

まとめ

今回は、インボイス制度の特例について、少額特例(1万円未満)や2割特例のルール・を解説しました。この記事の内容をおさらいすると次の通りです。

▼【前提】インボイス制度とは?
 ① 適格請求書発行事業者が対象
 ② 仕入税額控除が受けられる
 ③ 適格請求書での手続き対応が必要

▼インボイス制度の少額特例とは?
 ① 少額(1万円未満)の課税仕入れが対象
 ② 一定の事項が記入された帳簿があれば、インボイス保存が不要である

▼インボイス制度の2割特例とは?
 ① インボイス制度を機に課税事業者になった事業者が対象
 ② 仕入税額控除額を「消費税の80%」とできる

インボイス制度がスタートして、まだまだ日が浅く、ルールの理解をしていない事業者が多いのが現状です。ただ、インボイス制度は税金に直結する制度であり、経営で言えば「守り」にあたる大切なルールです。ぜひ、ルールを理解したうえで、経営の守りを固めていきましょう。

守りを固める際には、会計士・税理士のプロに依頼するのがおすすめです。自身のリソースを経営に集中するためにも、プロへの依頼もあわせて検討しましょう。

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この記事の執筆者

末松和真

税理士法人FLAGS代表社員。税理士。 (株)FLAGSホールディングス 代表取締役 税理士として税務・会計はもちろんの事、経営支援・クラウド会計支援・融資実行・補助金に強く、幅広い知識とサービスで企業の成長を支援している。