COLUMN経営コラム

COLUMN経営コラム

インボイスの消費税の端数処理とは?分割請求や差額調整の対応を解説

2024.02.28

税務経理

インボイス制度の対応をしていると、消費税の計算方法は知っておく必要があります。従来までの対応では、消費税の計算は法的に決まっておらず、事業者間で決めてよいものでした。しかし、インボイス制度が導入されてからは、消費税の計算方法も具体的に決まったため、会計担当として知っておきましょう。

今回は、インボイスの消費税の端数処理について、分割請求や差額調整の対応を解説します。

インボイス制度の消費税計算とは?

インボイス制度は、事業者の消費税に対して、仕入税額控除がおこなえるルールを指します。消費税のルールであるため、対応には消費税の計算が必要です。ただ、1円未満の端数に関してのルールについて、インボイス制度では端数処理が必要です。

ここでは、インボイス制度における消費税に関する基本的な点について、解説します。

① 消費税の発生タイミング
② 消費税の納税タイミング

消費税の発生タイミング

消費税は原則的に、売上と仕入れの2回のタイミングで発生します。ただ、インボイス制度では、仕入れで発生した消費税を売上から控除できるルールであり、その差額が納税に必要な消費税ということになります。例えば、A事業者とB事業者間の仕入れ取引で100万円を売り上げ、その後B事業者はCの事業者に150万円で販売した場合には、仕入れの消費税は10万円、売上の消費税は15万円です。インボイス制度では、売上から仕入れの消費税を差し引きするため、実際には差額5万円の納税が必要です。

消費税の納税タイミング

消費税の納税タイミングは、原則的に1年に1度であり、決算の翌日から2ヵ月以内と定まっています。例外的に、前年度の消費税の納税額が48万円を超えた事業者であれば、中間納付が可能で、1年で複数回の納付が可能です。

インボイス制度での消費税の端数処理とは?

インボイス制度において、消費税が1円未満の端数となった場合には処理をおこなわなければなりません。従来は「割り戻し計算」と呼ばれる年間総売上から税額を算出する方法を用いていましたが、インボイス制度では新たな計算方法も選択可能になりました。

ここでは、インボイス制度での消費税の端数処理について、解説します。

① 【原則】適格請求書1枚につき、1税率1回
② 「積上げ計算」が選択可能

【原則】適格請求書1枚につき、1税率1回

インボイス制度における端数処理の回数は、適格請求書1枚につき1回となります。ただ、税率ごとの回数となるため、例えば税率8%と10%の商品を1枚の請求書でまとめた場合には、それぞれ1回までの端数処理をおこないます。

「積上げ計算」が選択可能

インボイス制度では、消費税の計算に「積上げ計算」を選択できます。これは各商品・サービスで発生する消費税を都度合算していく方法です。

特に、小売店などの事業においては、積上げ計算を採用した方がより多くの利益を得られる可能性があり、計算方法の選択は重要なポイントとなるでしょう。そのため、会計担当者であれば、消費税の計算方法は全体的なシミュレーションを通じて判断するのがおすすめです。

このような場合は?分割請求や差額調整時の対応を解説

インボイス制度の対応をしていると、分割請求や差額調整などの対応を迫られるケースがあります。このような場合についても、原則的なルールを把握しておけば、大きなトラブルを回避できます。

ここでは、分割請求と差額調整時の対応について、解説します。

① 分割請求時は累計価格と発注価格を一致させる
② 差額調整時は端数を切り捨てる

分割請求時は累計価格と発注価格を一致させる

事業をおこなっていれば、1つの注文でも分割して請求するケースがあります。このようなケースでは、請求書の累計価格発注価格を一致させる必要があるため、注意が必要です。仮に、一致していない場合には、消費税の端数処理が必要となります。

差額調整時は端数を切り捨てる

インボイス制度において仕入税額控除をおこなったあとに端数が生じた場合には、その端数を切り捨てる調整をおこないます。基本的には1円未満の端数を切り捨てる点は把握しておきましょう。

まとめ

今回は、インボイスの消費税の端数処理について、分割請求や差額調整の対応を解説しました。この記事の内容をおさらいすると次の通りです

▼インボイス制度の消費税計算の基本
 ① 消費税の発生タイミングは売上と仕入れ
 ② 消費税の納税は1年に1回が原則


▼インボイス制度の消費税の端数処理
 ① 原則的に、1枚の適格請求書で1税率1回
 ② 「割り戻し計算」と「積上げ計算」の2つの方法から選択可能


分割請求や差額調整時の対応
 ① 分割請求時は累計価格と発注価格を一致させる
 ② 差額調整時は端数を切り捨てる

インボイス制度のルールは、非常に細かいものが多く、専門家でなければ不明瞭な点もあります。ただ、基礎となる部分は担当者であっても知っておくべきであり、インボイス制度の知識は勉強しておくのが無難です。時に、税理士や会計士などのプロに相談するのも良いでしょう。

ぜひ、経営の守りの面を固め、自身の事業拡大に集中できる環境づくりをしてください。

『末松会計グループ』が“クラウド会計導入”をサポートします!

『末松会計グループ』が“クラウド会計導入”をサポートします!

クラウド会計を導入したい!けど…

「導入方法が全く分からない」

「上手く効率化できるか不安」

「今の税理士が対応してくれない」などなど。

会計ソフトを導入し、使いこなすためには

さまざまなハードルがありますよね。

マネーフォワードプラチナ公認メンバーの

『末松会計グループ』は

クラウド会計導入支援実績400件超!

クラウド会計未経験の方でも安心してお任せ頂けます。

▼『末松会計グループ』のクラウド会計導入(公式ページ)

お気軽にお問い合わせください!

アバター画像

この記事の執筆者

末松和真

税理士法人FLAGS代表社員。税理士。 (株)FLAGSホールディングス 代表取締役 税理士として税務・会計はもちろんの事、経営支援・クラウド会計支援・融資実行・補助金に強く、幅広い知識とサービスで企業の成長を支援している。