COLUMN経営コラム

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インボイスの自動販売機特例制度とは?収入を得た際の注意点を解説

2024.03.18

税務経理

「インボイス制度」がスタートとしてまだまだ日が浅く、その概要や手続きの変更点などを理解していない事業者が少なくありません。また、事業ごとに特例措置が設けられ、細部までの理解は難しいのが現状です。これは自動販売機のオーナーも例外ではありません。

今回は、インボイスの自動販売機特例制度について、収入を得た際の注意点を解説します。

インボイス制度とは?

インボイス制度は、2023年10月からスタートした消費税にまつわる新たなルールです。インボイスを利用すれば、事業得た収入に対して「仕入税額控除」がおこなえます。これまで支払っていた消費税が抑えられる可能性が高いルールであるため、自動販売機のオーナーも一度確認しておくと良いでしょう。ここでは、インボイス制度の基本的な特徴について、解説します。

① 仕入税額控除が使える
② 適格請求書発行事業者のみが使える

仕入税額控除が使える

インボイス制度を利用すれば、「仕入税額控除」がおこなえるようになります。この「仕入税額控除」とは、事業得た収入から、仕入で支払った消費税を差し引ける措置です。仕入税額控除を利用すれば、これまでに支払っていた税金を抑えられる可能性があります。結果的に事業収入が高められるため、もしインボイスを利用していなければ、検討してみるのが良いでしょう。

適格請求書発行事業者のみが使える

ただ、インボイス制度を利用するためには、「適格請求書発行事業者」になる必要があります。インボイス制度の導入前では、免税事業者と課税事業者の2つの区分が存在していました。課税収入1,000万円以下が「免税事業者」、超えた場合は「課税事業者」の位置付けとなっています。免税事業者であれば、消費税の申告・納税が不要です。一方で、インボイス制度の「適格請求書発行事業者」は課税事業者としての位置付けです。仕入税額控除を活用できますが、消費税の申告や納税の必要があります。これまでに免税事業者であった方は、どのような点が変更となるのか、どのようなメリットがあるのかをしっかりと把握しておきましょう。

インボイス制度の「自動販売機特例」とは?定義やルールを確認

自動販売機のオーナーもインボイス制度の対象です。ただ、自動販売機の事業には「自動販売機特例」が存在しており、通常の事業とは対応方法が一部異なります。これからインボイス制度の導入を検討している事業者は、概要を理解しておくのがおすすめです。ここでは、インボイス制度の「自動販売機特例」について、解説します。

インボイス制度の「自動販売機」とは?

インボイス制度では、「自動販売機特例」の対象となる定義を以下のように定めています。

● 自動販売機
● コインロッカーやコインランドリー
● ATM

上記のように取引が「機械」だけで完結するものが対象です。ただ、コンビニエンスストアのセルフレジなどのように、精算のみを対応する機械は対象外となります。また、ネットバンキングのように、「機械」を利用せずに完結するサービスも対象外であるため、注意が必要です。

「自動販売機特例」はインボイスの交付・保存義務の免除特例

インボイス制度の「自動販売機特例」は、税込3万円未満の取引となる物品購入でのインボイス交付・保存義務が免除される措置となっています。本来、インボイス制度の仕入税額控除を利用する場合、インボイスの交付・保存義務が必須要件でした。しかし、小さな取引が多い事業において、すべての請求書・領収書の発行は困難を極めます。このような事業を考慮して、特例措置が定められました。ただし、帳簿の保存は必要である点には注意が必要です。

「自動販売機特例」の注意点とは?

最後に、インボイス制度の「自動販売機特例」における注意点について、まとめました。

① 帳簿の記載事項は?
② 令和6年税制改正の大綱での変更点は?

帳簿の記載事項は?

自動販売機特例では、インボイスの交付・保存義務はありませんが、帳簿の保存は必要です。この帳簿には、以下のような事項を記載する必要があります。

● 課税仕入れの相手方の氏名・名称
● 取引年月日
● 取引内容
● 対価額
● 課税仕入れの相手方の住所・所在地
● 特例の対象となる旨

令和6年度税制改正の大綱での変更点は?

令和6年度税制改正大綱では、帳簿の記載事項において「課税仕入れの相手方の住所・所在地」が不要となる案が出されました。そのため、以降の対応では、あえて住所・所在地を記載する必要はありません。

まとめ

今回は、インボイスの自動販売機特例制度について、収入を得た際の注意点を解説しました。

この記事の内容をおさらいすると次の通りです

▼インボイス制度の「自動販売機特例」とは?
 税込3万円未満の取引となる物品購入でのインボイス交付・保存義務が免除される措置

▼自動販売機特例の帳簿の記載事項は?
 ① 課税仕入れの相手方の氏名・名称
 ② 取引年月日
 ③ 取引内容
 ④ 対価額
 ⑤ 課税仕入れの相手方の住所・所在地
 ⑥ 特例の対象となる旨
 ただし、「課税仕入れの相手方の住所・所在地」の記載は不要となる見直し案あり

インボイスは全事業者に影響がある税金の大切なルールです。そのため、ルールを理解しておかなければ、大きなトラブルに発展しかねません。そのため、「事業の守り」を固める意味でも、インボイス制度の理解を深めておきましょう。もし会計や税金周りで困っていれば、会計士・税理士のプロに任せてしまうのも1つの手です。この機会に検討してみてはいかがでしょうか。

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この記事の執筆者

末松和真

税理士法人FLAGS代表社員。税理士。 (株)FLAGSホールディングス 代表取締役 税理士として税務・会計はもちろんの事、経営支援・クラウド会計支援・融資実行・補助金に強く、幅広い知識とサービスで企業の成長を支援している。